【本記事は佐藤博之親方(現はっこく)が在籍されていた頃の情報となります】
こちらは新橋にほど近い、銀座八丁目のビルの地下にあるお店です。
信頼する鮨友達のみならず、グルメな方が手放しで絶賛されているため、兼ねてからの課題店でした。
この度、一ヶ月以上前に予約してお伺いしました。
お店はいかにも銀座的なクラブビルに入っておりますが、ひとたび暖簾をくぐると、清潔で凛とした空間が待っております。
酢の香りが心地良い…
ランチのコースは5,000円、8,000円、12,000円とあり、それぞれ10貫、13貫、16貫。
8,000円のコースをお願いしました。
12時に、満員の状態で一斉にスタートします。
こちらのシャリは圧倒的な個性を持っております。
赤酢をアグレッシヴに用い、砂糖は使わず、酸味と塩気を程良く利かす。
相当強いシャリなのですが、尖った香りや味わいはなく、非常に完成度の高いシャリです。
個性的ながらに好き嫌いが大きく分かれないようなシャリ。
温度管理は徹底されており、味わいと温度的には東京屈指と言えるのではないでしょうか。
ただ、温度管理を徹底されるが故に、シャリの交換を極めて頻繁に行っておられるのですが、毎回ムラがあり、硬さ(と言うか粘度)とほどけ具合に誤差があったのが残念なところ。
ピッチャーフライとホームランが混ざると、フライ、すなわち悪いほうが目立ってしまうもの。
温度だけでなく、硬さも均一化されれば、赤酢のシャリとしては非常に理想的な段階になるように感じました。
シャリは鮨の根幹ですので。
先付
蛸の桜煮
真子鰈
寝かしているようで、食感は落ち着いており、甘みが立ちます。
墨烏賊
嫌味ない酢橘。
真子鰈とは全く異なるシャリのほどけ具合で唸る。
エボダイ
酢橘とともに。
エボダイ特有の甘みが、赤酢のシャリと相性抜群。
鮪赤身
噂通り良質な鮪。
旨味、香りともに良いです。
こちらの鮪は是非とも北に遡上する時期に頂いてみたい。
鮪トロ
温度の戻し加減が素晴らしいです。
小鰭
強めの〆。
ややにおいが残りました。
春子
白眉。春子自体の甘みとおぼろの甘みがフィットし、ほの柔らかな食感も甘美。
シャリとの調和においても、芸術的なレヴェルでした。
〆る際、酢を使っていないようで、シャリから計算された仕事だと感じました。
車海老
レアに茹で上げ、軽く漬け込んでいるのでしょうか。
官能的な食感に甘みが絡みつきます。
海老の火入れにもしっかり個性を感じます。
タイラギ
良い包丁。生で頂く貝としては、非常に高い満足度。
鱚
かなり強めの昆布〆。
グルタミン酸の旨味が強すぎる印象。
蛤
これも火入れが良く、香り、余韻ともに楽しめました。
煮ツメはさっぱり目で、シャリの味わいに合っております。
鯵
爽やかな香りでありながら、旨味は結構あります。
寝かしているのでしょうか。
穴子
弁天山美家古寿司の【爽煮】のような仕上げ。
鉄火巻き
赤酢のシャリ、鮪、山葵、海苔がグッときます。
玉子
なんと表面をキャラメリゼ。Fantastic Japanese sweets!
椀
全体的に、シャリの個性とタネのクオリティを考慮すると、非常に満足度が高い内容です。
「握りの美味さ」と「個性」の点においては、若手職人さんの中で五指に入るのではないかと思います。
ひとえにシャリの安定だけが切実な願いです。
季節を変えて再訪し続けたいと感じました。
→その後、何度も試みたが予約が取れず仕舞いです(笑)
店名:鮨 とかみ
シャリの特長:赤酢を全面に出したアグレッシヴなシャリ。それでいて、好き嫌いを分けない。
予算の目安:昼5,000円、8,000円、12,000円〜
最寄り駅:新橋駅から250m
TEL: 03-3571-6005
住所: 東京都中央区銀座8-2-10 銀座誠和シルバービル B1F
営業時間:12:00~14:30、17:30~23:00
定休日:日曜、祝日
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