すしログ No. 208 すし佐竹@築地【2020年2月に閉店されました】

本記事は「すし佐竹」の記事となり、新生「佐たけ」の記事は下記のページにございます。

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【※以下は価格改定前に訪問した際の記事となります】

こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)です。

こちらは2016年8月にオープンした新進気鋭の鮨店です。

場所は銀座の中心から離れた築地市場駅の近く。

こちらに出店された理由を伺ったところ、鮨を心から味わってくれるお客さんに来てもらいたいから、との事。

立地的にグループでの接待や同伴の影響を蒙りにくいので、生粋の鮨好き、食好きには嬉しい限りですね。

すし佐竹の魅力とは?

頂いた感想としては、既に確固たる個性を確立されており驚嘆。

親方は硬派な仕事と王道のタネを用いて江戸前鮨の新境地を切り拓く職人さんだと感じました。

 

まず、生命線のシャリがとっても美味しい。

赤酢主体のシャリで酸味を強めに利かせつつ、塩気は赤酢のシャリとしては比較的穏やかで、ごく硬めの炊き加減(お酢はミツカンの特醸優撰と山吹をブレンド)。

砂糖は不使用で、つや姫の自然な甘みが活かされる。

 

硬さは結構攻めておられ、芯が残るギリギリのところで炊き上げておられます。

口の中でのほどけ方は素晴らしいの一言!

あたかも鳳仙花の如く美しく弾けます。

割と大振りなのに、ほどけが良いため軽妙に食べ続けられます。

 

そして、特筆すべきはシャリの温度。

定石では「人肌が最適」とされる酢飯ですが、こちらは脂や旨味の強いタネには、高温度帯のシャリを用いられます。

初めに頂いた時の衝撃は大きい。

お櫃の蓋を開けられた瞬間にもうもうと立ち上がる湯気。

「温かい」を通り越して「熱い」シャリは、予想を超えてタネと最良の調和を見せる。

熱いシャリに合わせて3貫スピーディに繰り出された後、気付いたら惚れ込んでいる自分がいました。

 

また、タネに対する考え方も硬派で素敵。

タネに味や薬味を加える「足し算」ではなく、「引き算」の仕事で魚の魅力を引き出す事を志向。

そして、当世流行りの熟成の仕事はタネを選んで使用される。

カンパチや鰤は熟成により旨味を引き出し食感をシャリに調整されつつ、白身魚には香りと食感を重視して過剰に寝かせる事はしない。

僕が理想とする熟成仕事の哲学を親方の口から聞き、正に我が意を得たり!と興奮してしまいました(笑)

(僭越な表現で恐縮!)

親方は「シャリを決めて、タネを探す」と仰られておりましたが、シャリありきの硬派な握りは今後の大きな可能性を秘めております。

すし佐竹のおまかせの詳細

頂いた握りは下記の通りです。

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若芽と茗荷

久兵衛一門で定番の先付。

ポン酢も自家製されており、先ずは一安心。

(胡麻は黄胡麻ではありませんが)

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ガリ

甘みを付加して、柔らかな辛みが特徴的。

割と古典的だが、スッキリ上品に仕上げている。

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鮪赤身

熱々のシャリに合わせ、名刺代わりの一貫。

頂いて、こちらのsignature sushiだと痛感!

熱々のシャリが赤身の旨味を刺激して、酸味が爽やかにまとめる。

不思議な事に、タネとシャリの温度差が気にならない。

鮨好きであれば意表を衝かれ、キョトンとする一貫である。

そして、また頂きたくなる。

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瑞々しい〆加減で、包丁を深く入れている。

肉厚だが食感と歯切れが良く、香りも上品に楽しませる。

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カンパチ

寝かせて旨味を強めつつ、香りを残している。

美味いし巧いなと思って伺ったところ、三日との事であった。

以上、最初の3貫が高温で供され、温度を馴染ませた後に次の2貫へ…

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北寄貝

包丁を細かく入れており、歯切れが良い。

甘みと香りもある。

シャリとも合っており、シャリの完成度の高さを再認識。

個人的に酢が強めの赤酢のシャリは、貝類との相性が難しいと考える為。

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ぷりぷりした食感で旨味が強く、香りも高まってゆく。

これまたシャリとの相性が良い。

貝に続いて白身魚にもバッチリ合わせられ、向かうところ敵無しのシャリか?

ここでシャリを替え、再び高温で。

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鮪トロ

高温のシャリが脂の甘みを言わずもがなに引き立てる。

そこにシャリの酸味が加わり、味覚の一体感が高い。

更に良い部位で頂いてみたくなる。

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しっかりと〆つつ、中心はしっとり。

鯖の香りを楽しませる良い仕事。

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一週間熟成。

旨味もさる事ながら、香りと余韻が良い。

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ノドグロ(アカムツ)

ノドグロは脂たっぷりで、香りもしっかり。

別々に食べるのではなく、混ぜてくださいと言われ、混ぜると脂とシャリの酸味が複雑に絡み合う。

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鯛の潮味噌汁。

濃厚な旨味に甘みのある味噌が合わさり、一片の柚子皮が清涼感を付加。

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穴子

ふっくら煮たものを、かすかにカリッとするまで炙って提供。

実に香ばしく、トロトロ過ぎず好きな仕事。

 

お昼で親方の実力とセンスを体感しましたので、今度は予算を上げて夜にお伺いしたいと思います。

すし佐竹のお店情報

店名:すし佐竹(すしさたけ)

シャリの特徴:酸味が強く、塩気は比較的穏やかで硬め。高温度帯を司る。

予算の目安:お昼4,800円、夜12,000円のおきまり、20,000円〜のおまかせ

→2018年6月よりお昼12,000円、夜25,000円に価格改定(記事は価格改定前の感想です)

最寄駅:築地市場駅から250m、東銀座駅から600m

TEL:03-6775-3878

住所:東京都中央区銀座8-18-16

営業時間:昼12:00〜14:00、夜17:00~22:00

定休日:不定休

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