すしログ:札幌では珍しい端正な味の米酢のシャリ!隠れ家鮨店・鮨いその

鮨いその看板

こんにちは、食べログ低スコア店が好物のすしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)です。

札幌は日本屈指の「鮨激戦区」として全国に名を知られています。

しかし、まだまだ知られていない名店がある事を、今回の鮨旅行で確信しました。

以前、鮨しののめ(当時の食べログスコア3.06→現在3.50)さんをお伺いした時も、実力と情報量の乖離に驚きましたが、東京以上に「隠れた名店」を探す面白さがあるのが、現在の札幌です。

世間で「フーディー」と呼ばれる人たちは既に有名なお店や予約困難店に行きがちですが、真の鮨好きを自負される方は、今回ご紹介するお店に訪問されてみてください。

お店の名前は「鮨いその」さんです。

「鮨いその」の立地と雰囲気

お店は西8丁目駅から徒歩2分ほどの場所にあります。

ビルの1階に入っていますが、周囲に飲食店が多くないので、ひっそりした佇まいです。

北海道らしく二重扉になっていて、ガラスの扉を開けてお店の扉をくぐると、ギャラリーが出迎えてくれます。

ギャラリーを併設している鮨店なんて、言わずもがな珍しいですよね。

あたかもスタイリッシュなカフェのようなゾーニング。

そして、ギャラリーの奥にもう一枚の扉があります。

カウンターはその奥にあり、席数は9席。

いわゆる「隠れ家」感が強い鮨店と言えるでしょう。

内装は装飾がほとんど無くスタイリッシュですが、緊張感はありません。

「スタイリッシュ」であっても、一般的な高級鮨店とは異なる気安さがあり、落ち着きます。

親方の磯野直大(いそのなおひろ)さんの接客も軽やかなので、すぐに肩の力が抜けます。

 

親方・磯野直大さんについて

磯野親方はもともとは鮨職人、料理人ではなく、大学卒業後に会社員になったそうです。

しかし、鮨好きが高じて職人の道に入り、小樽の鮨店で修業を積んだ後、東京で2年間の修行を経て、2013年6月に札幌に開店されました。

その後、2016年8月に移転されたので、2020年で7年近く経過されていますが、ネット上の情報は決して多くありません。

食べログのスコアは3.3程で口コミも少ないですが、激戦区で続いている実力を体感させて頂きました。

 

なお、東京修業中は鮨職人の「二番手の会」で他の職人さんとの親交があったそうです。

お話を伺うと、鮨好きならば高確率で知っているお店の職人さんともお知り合いでした。

例えば、横浜関内の常盤鮨の林ノ内さんなど。

小鰭 すしログ:横浜で鮨なら関内の常盤鮨!名店・水谷で修行した三代目の仕事に惚れる

そして、地元、札幌でも若手職人さんとの親交があるようです。

お話を伺って、ご自身のセンスに加えて、他の職人さんとの交流も握りの味に影響しているのかな?と感じました。

決して奇抜な事をされずに、人と異なる仕事を生み出すのに成功していますので!

「鮨いその」のシャリと握りについて

磯野親方のシャリは今の北海道では珍しい、米酢のみの白いシャリです。

シャリの塩気と酸味は共に強めで、キリッとした味わい。

使用されているお酢は、恐らくミツカンの白菊。

シャリの温度はとても良く、粒に粘度があるものの、パラッとほどけて美味しいシャリです。

お米は北海道産の「ななつぼし」をブレンドせずに100%使用されているそうなので、粘度があっても炊き加減と握り方で制御して、お米の甘みを活かそうと言う魂胆なのかと思います。

「ななつぼし」と言えば「鮨しののめ」さんも同じお米ですが、非常に印象が異なり、鮨の面白さを感じさせてくれます。

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「鮨いその」さんのシャリの要素である、米酢100%、酸味、塩加減、粘度。

これらを考慮すると、札幌の鮨の中でも独特のスタンスを持っておられるなと感じます。

 

そして、握りについてはコンパクトなモーションで、少ない手数で握られています。

掌ポンは時折ありますが、捨てシャリは無く、ブレは殆どありません。

よって、終始タネとシャリの一体感の高さを楽しませてくれる握りです。

タネの構成としては江戸前の王道のタネを中心に、北海道らしいものを挟むスタイル。

どちらかに偏っていないので道民も東京人も両方楽しめる江戸前鮨です。

鮪の仲卸はやま幸で、旬と言うこともあるかもしれませんが、クオリティは高いです。

赤身で「漬け」を選び、コースの最後に配置するあたり、鮪の味を選ぶ舌をお持ちなのかと感じました。

そして、鮨の仕事の生命線と言える〆の仕事の精度も高く、鰊(ニシン)などは完璧に近い〆の仕事と個性でした。

鰊(ニシン)は北海道の幾つかのお店で頂いていますが、今までで一番美味しいと感じました。

 

コースはお昼も夜も2つずつ用意されています。

夜は10,000円(税サ込12,000円)、15,000円(税サ込18,000円)の2本。

お昼は【昼のコース】8,000円(税サ込9,600円)と【握り12貫】6,500円(税サ込7,800円)。

前者のコースは握りが6貫でしたので、握り原理主義の僕は後者を選択しました。

 

「鮨いその」の握りについての詳細

2020年11月訪問

ニ世古・特別純米

ニ世古・特別純米

ガリ

ガリ

甘みが無くスッキリした味のガリで、辛味は穏やか。

墨烏賊

墨烏賊

バツッと弾ける!味付けは塩と柚子。
良いスタート。

鰆

腹周りの部分で、脂がしっかり乗っていて、香りも強い。
シャリと良く馴染み、シャリの味を伝える上で魅力的なワンツーの流れ。

鮪大トロ

鮪大トロ

大間産の延縄。
しっかりした脂に加えて香りも楽しませてくれる大トロで美味。

小鰭

小鰭

〆加減は柔らかめで、皮の食感と歯切れを楽しませる小鰭。
柔らかめだが旨味も中々で、香りも良い。

蝦蛄

蝦蛄

北海道産。肉厚で香りが大変良く、甘みも抜群。
旨味を逃さぬようジューシィに仕上げている。

鮪中トロ

鮪中トロ

旨味が非常に強く、酸味は穏やかで香りの良い中トロ。

鰊

鰊(ニシン)

北海道産。上述の通り白眉!
恐らく立て塩で軽く〆て、酢を軽く浸透させている。
旨味が凝縮されており、食感はねっちりと濃密。
塩梅の良い〆で、シャリとの相性もバッチリ。
〆の味付け部分(塩味、酸味)を前面に出さずに、きっちり〆の仕事である脱水を行い、鰊の魅力を引き出している。

ソイ

ソイ

北海道産。むっちむちな食感で、味わいがしっかりしているソイ。
香りも強くて、冬に感じられる雄々しい白身魚の香りが堪らない!
「白身魚は香り」と信じる僕にとって印象深いタネであった。

いくらと海胆

いくらと海胆

味付けが強めのいくらで、濃厚な海胆の甘みに合わせる仕事かと思われる。

椀

日本料理の出汁的な潮汁。

鮪赤身

鮪赤身

強い旨味に加えて酸味も強い赤身。
鉄っぽい残り香も良い。
軽い漬けだが、鮪の個性を活かしているのが良い。

タラコ巻き

鱈子巻き

いきなりタラコとは驚いたが、恐らく北海道産の無添加タラコかと思われる。

穴子

穴子

むっちり且つぷりぷりな食感を楽しませてくれる。
これは魅力的な食感の煮加減。
北海道産の大穴子を使用しているとの事。

玉子

玉子

カステラ玉子よりも出汁巻き玉子派との事で、敢えての出汁巻き。

 

札幌の他店には無い鮨なので、今後の展開が楽しみです!

聞けば近日中に近場に酒場を出す計画もあるとか。

 

店舗情報と予約方法

予約については各種WEB予約に対応されています。

鮨いその(ヒトサラのリンク)

店名:鮨いその
シャリの特徴:米酢100%の白いシャリで、塩気と酸味を利かせ、お米の甘みを効果的に用いるシャリ。
予算の目安:お昼7,800円、9,600円、夜12,000円、18,000円
電話番号:011-272-2070
住所:北海道札幌市中央区南2条西7丁目8-2 南2条ビル1F

最寄駅:西8丁目駅から150m
営業時間:お昼(水曜~日曜、予約のみ)12:00~14:00、夜(火曜~日曜)18:00~22:00
定休日:月曜

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