すしログ日本料理編 No. 13 蕎麦の隠れ家 吉笑楽@上伊那(長野県)

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こちらは信州は上伊那郡の中川村にある蕎麦懐石のお店です。

なお、中川村は「日本でもっとも美しい村」連合に加盟しています。

「段丘と里山のある景観」が村の特徴との事ですが、こちら吉笑楽も坂の途中にある古民家がお店となっており、囲炉裏を囲んで蕎麦を頂く事が出来ます。

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お店のご主人は元々農家を経営されていたそうですが、蕎麦好きが高じてご自分で打つまでになったとの事。

蕎麦粉は地元の契約農家のものを使用。

水も陣馬山系の水を用い、「麦飯石」と「備長炭」を入れて撹拌しておられるそう。

 

さらには、自家製の塩が旨く、大鹿村の山に湧き出る塩泉の水を使用。

5日間煮詰め、2日間天日干しされており、20リットルから180gしか作れないそうです。

 

オープンされて既に11年経過したご主人の蕎麦は非常に端正で、敢えて伺う価値のあるお店だと感じます。

この度はお昼に伺いましたが、頂いたコースは夜のもの(3,500円)。

通常の昼のコースは2,500円となっており、何れにせよリーズナブルです。

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到着すると女将さんとともにメニューがお出迎え。

なんとも、期待が高まります。

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三珍

ベーコン、スモークチーズ、蜂の子

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信州・伊那は昆虫食のメッカ。

こちらの蜂の子は味をしっかり付けており、食感もサクッとしているので、抵抗がある方でも食べられるはずです。

スモークチーズと合わせてみたところ、相性が良かったので、オススメ。

 

小鉢

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蕎麦豆腐

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香りがしっかりあって、期待を高めてくれる。

ただ、他の料理は細部にこだわっておられるのに、これは何故だか既成品のチューブ山葵を使用。

早急に本山葵を使用された方が良いように感じます。

 

柚子味噌大根

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野沢菜

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醤油、酢、砂糖で味付けしており個性的。

 

蕎麦せんべい

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がんこ揚げ(天麩羅)

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蕗のとう以外は、蕎麦がき、本しめじ、林檎。

蕎麦がきの天麩羅は非常に面白い。

軽やかな揚げ方も良いが、揚げ粉に蕎麦粉を使用している点が魅力的。

 

蕎麦すいとん

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これは蕎麦がきの天麩羅と同様に強く印象に残った。

食感は硬めで、噛みしめると蕎麦の風味が力強く立ち込める。

出汁も蕎麦の香りを殺さぬ優しいもの。

続いて、待望の蕎麦。真打ち登場!

茹でる前の蕎麦を見せて頂きましたが、これが美しい。

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綺麗に切り付けられており、整然と整列している姿に見とれます。

茹で上がる直前にツユ、塩、薬味が供される。

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中でも特筆すべきは冒頭に記載した大鹿の自家製塩。

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刺々しさが一切無く、粒子はあたかもぬちまーすのように細やかなので、蕎麦を活かし切ります。

個人的には、甘みのあるツユよりも自家製塩と山葵で頂く方が気に入りました。

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蕎麦は極細でエッジが立っており、食感は硬め。

食感に加えて強い香りを兼ね揃えており、噛みしめるとギュムッギュムッと快感。

喉越しも爽快で、非常にレヴェルの高い蕎麦です。

聞く所によると、ご主人と女将さんは蕎麦の食べ歩きを精力的に行っておられる様子。

他店の蕎麦を食される事で、より際立った個性を体得されたのかと推察します。

なお、蕎麦湯は蕎麦粉を加えたトロトロタイプでした。

 

水菓子

蕎麦がきの胡桃ソース掛けと干し林檎。

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webサイトでは「創作そば料理」「田舎懐石」と謳っておられますが、真摯な創作欲を感じさせる充実したコースでした。

寛げる雰囲気も良く、女性のお客さんが多いという理由に納得です。

蕎麦好きであればわざわざ訪問する価値が有るかと思います。

 

お店の前の道路より

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店名:蕎麦の隠れ家 吉笑楽

食べるべき逸品:ご主人が厳選された素材を用いた端正な蕎麦。

予算の目安:2,500円~3,500円

最寄駅:伊那大島駅から2,400m、車がベター

TEL:0265-88-3623

住所:長野県上伊那郡中川村葛島931-1

営業時間:昼の部、夜の部。完全予約制のため要相談。

定休日:木曜

※完全予約制となります

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