すしログ No. 266 鮨さかい@中洲川端(福岡県)

今までは夏の訪問ばかりだったので、今回は自身初の冬訪問となります。

冬の魚の旨味がピークとなる時期に狙いを定めて訪問しました。

前回訪問時の記事はこちらとなります。

現在はお昼も営業されており、なんと1日3回転となっております。

しかも、お昼も夜と同じ内容との事で、濃密極まりないです(笑)

ただ、1日当たりの負荷を増やしつつ、お休みを連休にされるなど、既存の飲食業界を考慮するとホワイトな試みをされている点に、堺大悟親方の職人気質だけでなく優しいお人柄を感じます。

ワークライフバランスを確立するレストランが増えておりますが、そうでなければならないと感じる次第です。

多くのお客はいつでも美味しいものを頂けるのが当たり前だと考えがちですが、料理人の方が心身ともに充実してこその美食だと思いますので…

ちなみに、営業時間を延ばすと共におまかせの価格も変更されておりました。

以前はお酒を飲んで24,000円ほどだったところ、現在は33,000円ほど。

「値上がり」となりますが、酒肴のラインナップと仕入れが強化されておりました。

3万円オーバーのお店は人によって評価が大きく変わる可能性がありますが、堺さんの握りはそれでも人を惹きつける圧倒的な力があると再認識しました。

頻繁にお伺い出来る価格帯ではなくなりましたが、必ず再訪したいと感じさせる、説得力のある味わいです。

そして、改めて堺さんの赤酢のシャリは美味しく、タネとの相性を考え尽くされた味付けだと感じました。

以前よりも酸味を少し利かせているように感じましたが、旨味が引き出されたタネと馴染み、力強さを持ちながら、端正であり上品でもあるシャリだと感じた次第です。

温度管理や硬さは申し分ありません。

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この度頂いた日本酒

白糸酒造・シライト35純米大吟醸、木屋正酒造・而今特別純米、福禄寿酒造・一白水成純米吟醸、西田酒造店・田酒特別純米

鮨さかいさんの酒肴

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ノレソレ(穴子の稚魚)

甘酢をダイレクトに用いるとノレソレの風味が死ぬため、甘酢をジュレにして提供されている。

出汁と甘みの利かせ方が良い。

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子ヤリイカ

糸島産。食感と歯切れが良く、柔らかくほどける。

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九絵

対馬産の10キロ。1週間熟成。

堺さんの熟成仕事は香りを重視されている。

野趣ある香りが立ち込め、非常に強い旨味がほとばしる。

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毛蟹

北海道・噴火湾産。間違いない美味しさ。

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鱈の白子

根室産。現地で言うところの「タチポン」。

と思いきや、ポン酢ではなく出汁で和えておられる。

よって、白子の甘みをより強く感じる。

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虎河豚

福岡産の虎河豚に島根産のカワハギの肝酢を乗せた酒肴。

実に素晴らしい味わい!

「オープン以来、一番人気のおつまみ」との事。

濃厚ながらスッキリしたニュアンスのある調理。

肝酢は乳化状態にあり、言わずもがなで濃密な旨味があるが、2日寝かせたフグはそれにも負けない旨味と香り。

異なる魚の身と肝を合わせるのは日本料理的には少し飛び道具であるが、バランスが取れているため非凡な完成度である。

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黒鮑

唐津産で、師走に解禁されたそう。

まだまだ走りと言えども香りが官能的で、旨味もあるある。

思わず、翌日平戸漁港で入手して自分も調理した程(笑)

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鮟肝

産地は定番とも言える余市であり、堺さんが「一番美味しい」と考える。

出汁が奏功しており、甘みは抑え目。

鮟肝自体、鮨店の酒肴の定番中の定番だが、モノの味をストレートに表現した鮟肝である。

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虎河豚の白子焼き

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鰹出汁の銀餡と共に。

濃密で香り良く、冬の喜びを体感。

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ノドグロ(アカムツ)の味噌漬け

これも裏切らない味わい。

この後、握りに移行します。

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鮨さかいさんの握り

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アオリイカ

呼子産、2日寝かせ。

浅い包丁が活きており、アオリであるが甘みの前に食感を楽しませる仕事。

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針魚

小柴産の閂(カンヌキ)サイズ。

食感を楽しませつつ、柔らかなのは包丁故。

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メジマグロ

佐渡島産の15キロ、漬け。

味わいが大変面白いタネ。

酸味に加えて脂がふつふつと込み上げるような味わいは、成体の本鮪にはない楽しみ。

部位は腹側。

小鰭

小鰭

〆て2日寝かせ。

みっちりながら柔らかな印象を与える小鰭であり、シャリとの相性も良い。

鮪の産地は宮崎県・油津との事で珍しい。

魚体は144キロで、漁法は延縄。

10日ほど寝かせている。

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鮪赤身

甘みが強い赤身。

温度の戻し方が絶妙。

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鮪中トロ

噛みしめると脂がどんどん高まるが、下卑た感じた皆無。

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鮪大トロ

これのみ漬けていない。

筋っぽい見た目とは裏腹に、とろっとろ!

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ボタンエビ

増毛産。卵を噛ませて、表面のみ漬け(煮キリを塗り置く)。

表面は程良く凝縮しており、中はトロトロ。

卵の食感は全く気にならず、一体感が非常に高い。

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べったら漬け

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九十九里産。

噛みしめる喜びのある火入れ。

噛めば旨味と香りが高まり、シャリの酸味が活き、味を引き締める。

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海胆

一大ブランド・はだてのキタムラサキ海胆。

一瞬、粒感を舌に感じさせつつ、とろける海胆。

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海胆軍艦

走りの唐津産ムラサキウニ。

香りが鋭い点が印象的で、喉に香りと旨味が残る海胆。

旬モノに比べると弱いため、海苔を用いておられる。

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ボタンエビの頭の出汁の味噌汁。

磯の香りが横溢する。

味噌の使い方が上品。

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穴子

本当にトロトロで、飲み物のような穴子。

甘み強いが、野趣ある香りも残る。

対馬産(恐らく)としては強い風味が好印象。

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鉄火巻

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玉子

 

またお伺いする日を楽しみにしております!

鮨さかいさんのお店の情報

予約難易度が高いお店ですが、一休経由でWEB予約が可能です。

鮨さかい(一休のリンク)

店名:鮨さかい

シャリの特徴:赤酢を用い、塩気を利かせつつ、酸味は穏やか。硬さ、温度も抜群。→酸味は少し強めに

予算の目安:20,000円〜25,000円 →30,000円~35,000円

最寄駅:中洲川端駅から650m、天神駅から800m

TEL:092-726-6289

住所:福岡県福岡市中央区西中洲3-20 LANEラウンドビル2F

営業時間:3回転制、火~金12:00~、18:00~、20:30~ ※火曜は夜営業のみ、土曜夜は17:00~、19:30~

定休日:日曜、月曜、祝日

※完全予約制となり、予約電話は3ヶ月前まで、営業日の午前11時~午後4時の受付。

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