すしログ No. 277 すし岩瀬@新宿

こちらは新宿の都庁近くにある、すし匠系のお店です。

かつて新宿駅東南口、Victoriaの横のビルに入っていた際、ランチにばらちらしを頂いて以来の訪問となりました。

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前回の訪問は2013年で、お店のオープンは2012年9月。

割と直後に伺っていたようです。

親方の岩瀬健治氏は、すし匠系列のお店で修業され、すし匠まさ、すし昴、匠達広で腕を磨かれました。

当ブログを読んでくださっている鮨好きの方ならば既にお察しかもしれませんが、僕はすし匠系のお店にはあまり行きません。

その理由は極めてシンプルで、鮨店では握りを頂きたいからです。

すし匠系を特徴づける酒肴と握りの乱れ打ちは、お酒と合わせる事が前提。

握りは握りで頂きたい、と言うのが僕の本音となります。

ただ、この度、友人からすし匠系に興味を持ったとの連絡があり、頭に浮かんだのが岩瀬さん。

久々に伺ってみたいなと強く感じた次第です。

その理由としては過去の印象が良かった事と、今の東京の鮨相場の中でも、良心的な設定をされている事によります。

諸々の情報を確認したところ、フルで頂きお酒を入れても2万円強だろうと踏んで訪問しました。

結果的に予想は合っており、料理、お酒ともに心ゆくまで頂いて23,000円でした。

料理の内容は、酒肴19品、握り13貫(+巻物半分、玉子、椀、水菓子)となります(笑)

頂いたお酒は8種類で、後述の通りです。

岩瀬さんのコースの概観

そして、頂いた感想としては、これはこれでアリだと感じました。

握り単発だと正直なところ弱いものも含まれますが、酒肴とお酒の合わせ技により、満足度を相当上げてくれます。

「呑める鮨」としては確かに完成されており、前述の「すし匠スタイル」は大した発明だと感じました。

個人的には矢張り握りは握り中心で頂きたいし、シャリとタネのサイズ感的に握りを楽しめるサイズで頂きたいと思いますが、

お酒ありきの利用ならば満足しない人はいないお店だと感じました。

こちらの握りは酒肴として設計されたものとなります。

シャリ、タネの切り付けともに小さいものを組み込み、品数を行けるよう調整されております。

そして、赤酢と米酢のシャリを2通り使用し、シャリの交換はかなり頻繁。

頻繁に変えられるお店のデメリットとして温度と硬さにバラつきがある点は、酒肴と思えば許容できるかと思います。

仕事も味覚的に強めなのが多い点も、酒肴たる所以。

個人的に「すし匠スタイル」の最大の魅力は、「旬の食材を網羅的に頂けるところ」ではないかと感じました。

品数の多さが活かされており、マニアックなものも頂けます。

他の系列店はどうか分かりませんが、少なくとも岩瀬さんの仕入れは面白く、こちらでしか頂けない味があるなと感じました。

仕入れは豊洲(旧築地)は勿論、それに加えて地方からの独自ルートも持っておられるそうです。

これは素材の面白さとコストに表れており、お客に高額な支払いを転嫁されていない点は大変好印象です。

純粋に「品数が多い」と表現される事が多いすし匠スタイルですが、「食材を掘り下げる」魅力がある事を発見した次第です。

頂いた日本酒

日高見・超辛口純米、伯楽星・純吟、モダン仙禽無垢純米大吟醸、三諸杉・華きゅん純米吟醸おりがらみ、仙醸こんな夜に雷鳥・純米、屋守・純米中取り、寫樂・純米吟醸、穏・純米吟醸

 

岩瀬さんの酒肴と握り

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海葡萄

匠系列ならではの初手。

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のれそれ

盛り付けが素敵なのれそれ(穴子の稚魚)。

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海胆ご飯

酢飯が冷たかったが、これは温かい方(提供直前に盛り付け)がベター。

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佐島産、竹炭塩を振って。

食感をかなり強く残しており、意外な印象を受ける。

ただ、コリコリした身を噛みしめると、香りがどんどん強まり、これはこれで嬉しい調理。

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槍烏賊

印籠詰め。身は柔らかく、酢飯には干瓢、胡麻を混ぜ、柚子皮を振る。

ガリ2種類

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新生姜とひね生姜。

新生姜のガリは辛味が強く甘みも割と付けており、ひね生姜は甘み控えめ。

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甘鯛

産地は福岡と小倉の間あたりとの事。

腹と背側の異なる部位を小ポーションで食べ比べ。

食感はねっちり、トロトロで、かなり熟成を掛けている模様。

ただ、皮目には香りがある。

小ポーションでも楽しませるために熟成仕事が活きている。

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蜆の吸い物

バッチリと蜆の旨味が抽出されている。

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春子 赤(タネ名の後の色はシャリの種類となります)

かなりしっとり且つ強い味付けの春子に、黄身おぼろを合わせる。

黄身おぼろの味わいは過度に主張せず、バランスが良いと感じた。

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ホッケ 白

これは嬉しい一品!

北海道産のホッケを生で。

脂が乗っており、トロトロ。

昆布醤油のジュレは見た目通り味わいも存在感があるが、相性は良い。

春子の赤酢のシャリから打って変わって米酢だったが、こちらは硬めであった。

2種類のシャリと用いると、温度と硬さを合わせるハードルが高まる。

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小鰭 赤

天草産。包丁が深めなので、皮の食感は分散される。

旨味よりも、やや香りが勝つ。

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墨烏賊 白

桜塩を振って。身が薄いものを使用し、パツッとした食感は軽く、とろりとした食感を前面に出した墨烏賊。

包丁は入れず。

個人的に墨烏賊は食感が強いものが好み。

今度の米酢のシャリは温度が少し高い。

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墨烏賊のゲソとこのこ

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ホタルイカ

生から焼き、ホタルイカの肝の風味と食感を活かしている。

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ニシンの磯辺巻き

大葉の風味を感じた後に胡麻の風味、ニシンの脂が広がり、キュウリの瑞々しさが着地させる。

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鰯 赤

鰯自体はこれからか。

白板昆布が厚く食感強く、酸味も強めなので、鰯が負ける。

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北寄貝

身、貝柱、ひもをそれぞれ頂ける嬉しさ。

ただ、熱源がガス火であり、距離が近いようで、焦げの苦みは気になった。

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ホタテ磯辺焼き

柔らかく焼き上げており、美味。

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ホタテ卵巣

「鮨屋のレバ刺し」との事!

まずは何か伺わずに頂いたが、本当にレバ刺しのようだった。

胡麻油の風味も奏功しているが、面白い一品。

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鯵 赤

強い味わいの鯵。

望むらくは、包丁を細かく入れなくても良い気がするが、酒肴の延長だと良いのだろうか。

個人的には、旨い鯵はムチムチした身を噛みしめて脂と風味を楽しみたい。

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穴子白焼き

ぷりぷりとレアな火入れで、これは良い。

ただ、例の焦げの風味がここでも…

穴子に玉葱とは珍しいが、結果的に焦げの苦みを緩衝してくれた。

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車海老 赤

茹で上げで温度が良い。

黄身酢おぼろは匠系ならでは。

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真鯛の白子のすりながし

鰹出汁をバシッと利かせている。

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水蛸の白子の醤油焼き

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エボダイ 赤

片面のみ昆布〆、木ノ芽味噌を添えて。

皮はぷりぷりで、身はしっとり。

〆加減は強めだが片面な点が良く、主張をぐいぐいと高めてゆく。

味噌の風味が活きている。

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クエの酒蒸し

これも鰹をしっかりと利かせており、酸味まで感じる。

出汁が強めなのは鮨店ならではか。

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桜鱒 赤

「カリカリに焼いたカマ」を添えて。

香りがばっちりで魅力的だが、シャリが冷たいのは気になった。

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太刀魚の幽庵焼き

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酢牡蠣 白

限り無く生に近いものを握りで提供。

軽く茹でた後に酢で軽く洗っている模様。

これは魅力的な握り。

握りで酒肴を表現している鮨だと実感する。

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鮪中トロ 赤

鹿児島産、延縄260キロ!仕入れはやま幸。

魚体の大きさに驚く。

ただ、脂は強いものの、香りと酸味が決定的に弱い。

時期的に、必ずしも鮪を使わないで良いと感じる。

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毛蟹、海胆、唐墨

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鮪赤身 赤

1時間半の漬け。

クロマグロの赤身特有の酸味と香りのキレはないが、漬けの仕事が上手い。

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穴子 赤

ふわとろ且つむっちりな食感(煮加減)。

対馬らしい仕事。

煮ツメは今風でサッパリ味。

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干瓢巻 白

強い食感で仕上げた干瓢。

干瓢を頂き、シャリの酸味が強めなのが強く実感される。

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玉子

芝海老を使用。

とろんとろん、ふわんふわんだが、水分含有率は低く、シフォンケーキのような印象の玉子。

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水菓子

あまおうのシャーベット。

果糖している模様。

この物量で最後まで食べ疲れないのは、凄い事だと思います!

すし岩瀬さんのお店の情報

WEB予約は一休経由で可能です。

すし岩瀬(一休のリンク)

店名:すし岩瀬(すしいわせ)

シャリの特徴:赤酢と米酢のシャリ2種類をタネに合わせて使い分ける。

予算の目安:18,000円〜25,000円(お酒の量によるかと)

最寄駅:大江戸線都庁前駅から600m。JR新宿駅から800m

TEL:03-6279-0149

住所:東京都新宿区西新宿3-4-1 福地ビル1F

営業時間:15:00~21:30

定休日:月曜、第1日曜

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