こちらは東京の鰻店の中でもトップクラスの評判を得ているお店です。
1910年(明治43年)に中之橋のたもとで創業し、大戦で空襲を受け、戦後に江戸川橋へと移転。
建物は戦前の材料を部分的に使用されており、門のような煉瓦塀はお店の看板となっております。
店内も風情があり、窓ガラスなどは戦前のすりガラスを使用されていると思われます。
メニューに載っている昭和初期の写真。
こちらが使用される鰻は静岡産と九州産。
産地を見れば、特に天然モノに拘っていない事は明白ですね。
横浜野田岩さんの記事で書いた通り、僕は天然であるか養殖であるかは鰻には強く求めません。
養殖モノであっても希少性の高まる昨今、殊に仕事こそが鰻に求められるものではないでしょうか?
天然モノを使用しても素材を活かしきれなければ本末転倒。
こちらは素焼きの後に蒸しを約1時間と、長めに行うところが特徴のようです。
その後、タレを塗り蒲焼きとなすのですが、この過程での焼きについても突出した個性があります。
詳細は後述しますが、「キレがある味わい」の江戸前鰻としては屈指だと感じた次第です。
尚、こちらは待ち時間が長い事でも有名…
故に、「鰻前」を楽しむべく、伯楽星純吟雄町を頂きました。
お酒を頼むと【酒肴2品】1,000円が付いてきます。
豆腐
宇部の蒲鉾、すけこ、枝豆
ハッキリ言って余り期待していなかったのですが、美味!
特に豆腐の濃厚な味わいと使用されている生醤油のクオリティに嘆息。
テンションが上がり、石鎚を頂きつつ、【自家製烏賊の塩辛】600円も追加。
選択理由は言うまでもなく自家製である点です。
鰻は予約の折に【白焼き】3,800円、【うな重上】4,000円を頼んでおりました。
白焼き
器は輪島塗。
鰻の香りが非常に香ばしい。
そして、食感はとにかくとろんとろん。
皮は焼き込んでいないものの、ある程度の存在を主張した後に消える。
皮下の脂肪はかなりねっとりしており、脂を活性化させる仕事を体感。
使用する醤油のクオリティも高く、山葵は勿論本山葵。
うな重上
黒光りする雄々しい見た目。
そして、こちらも香ばしいが、鰻の香りに加え炭の香りが鮮烈。
白焼きよりも炭の香りを強く付けている。
そして、脂の旨味は最大限活性化されており、力強い味わいにシャープな味わいのタレが完全合致。
醤油のキレがありエッジの立ったタレであり、旨味もある。
そして、身はホロッとほどけ、皮はとろける。
鰻の味わい、食感、タレの三拍子が揃い極めて秀逸な味わいで、更にご飯も良い炊き加減。
粘度は無く、パラッとしつつ、噛みしめると甘みのある加水率である。
肝吸い
鰹の出汁が強く、塩気も強め。
肝はぷりっぷりで、中はとろり。
卓上の山椒はパーフェクト。
香り、痺れともにクオリティが高い。
トータルとして、明確な個性のある名店だと実感しました。
ご近所のはし本さんとは全く違う魅力があるので、求める味わいとシチュエーションで使い分けられるかと思います。
店名:石ばし(いしばし)
予算の目安:鰻重上4,000円~ ※別途サービス料(10%)
最寄駅:江戸川橋駅から500m
TEL:03-3813-8038
住所:東京都文京区水道2-4-29
営業時間:火~金11:30~14:30、18:00~21:00、土11:30~15:00、17:30~21:00
定休日:日曜、月曜、祭日、土用の丑の日
※在庫が限られており、提供時間も掛かるので、予約がベター
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