こちらもあら田さんと同様に、たつ福さん出身職人さんのお店です。
お店には暖簾が掛けられておらず、隠れ家感が半端無い。
しかも、店内の席は僅か4席!
さらに、親方は色黒でタフな印象を受ける益荒男!
こう書くとハードルが高いのでは?と思われるかもしれませんが、変にスパルタンな事も無く、寛いで頂く事が出来ます(笑)
親方の握りは速く、手数こそ6~8手ですが、正確に握られます。
シャリは酢も塩もオーソドックスな味付けで、やや硬めに炊かれております。
炊き加減的にも、技術的にもほどけ良いシャリです。
使用されるタネのクオリティは高く、お値段を考慮すると非常に良心的。
その上、熟成の仕事も使われるなど、仕事も個性的で魅力があります。
明らかに街場寿司とは異なるのが、頂いてみると明白です。
ただ、唯一にして最大、心から残念な点があります。
即ち、山葵が「混ぜ」である点。
これだけの握りを編み出されており、素材にこだわっておられるのに、何故!?とショックを覚えました。
レビューサイトでは誰一人指摘しておらず、これには驚きました。
そんなに山葵で変わるのか?と思われる方もいるかもしれませんが、正直なところ、全く別物に変わります。
鮨で山葵に気を払わないと言うのは、正しく画竜点睛を欠く次第。
心から、本山葵を使用される事を祈念します。
折角の仕事が勿体無いので…
こちらはお会計がシンプルでお酒付き9,000円と、お酒なし7,000円の2通り。
内容的には15貫、巻物、椀、酒肴1品なので、たっぷりと楽しむ事が出来ます。
この度頂いた日本酒。
出羽の冨士・特別本醸造、春霞・特別純米山田錦ひやおろし、まんさくの花・純米大吟醸超限定。
アカメフグ
神奈川などの関東では「ヒガンフグ」と呼ばれる河豚。
ぶつ切りにしてみぞれ和えに。
虎河豚と比べると圧倒的にマイナーな存在感だが、きっちりと旨味があり、ホッと安堵する先付。
この後、すぐに握りに移行します。良いですね。
ガリ
甘みが強いクラシカルテイスト。
しかし、食感は柔らかくなくシャキシャキ。
鮪トロ
1貫目が鮪とは、面白い。
旨味も酸味もあって嬉しいものの、如何せん山葵が…
大変残念である。
鮃
寝かせているようで、旨味しっかり。塩が少々多いかな…
鰤
余市の天上鰤。
3週間熟成を掛けており、とろんとした食感でひたすら旨い。
墨烏賊
塩と酢橘で。パツパツした食感に妙がある墨烏賊。
東京だと鮨の烏賊と言えば本種だが、地方だと他の烏賊を用いる事が多いため、これは嬉しい。
(もちろん、他の烏賊を楽しむ喜びや季節もありますが!)
小鰭
結構強めの〆加減。
酸味も浸透している。
車海老
謙虚に「サイマキ」とのご説明。
茹で置きながらに甘みがあり、仕事の良さを感じさせる。
鰆
漬け炙り。旨味しっかりで強い仕事に負けていない!
穴子
ふわふわに仕上げたものを、カリッと炙る。
煮ツメがあら田さんと同様にみたらし餡的な仕様であり、これが秋田の鮨の煮ツメだと実感する。
水蛸
かなり細かく包丁を入れている。
酢橘をしっかりと利かせ、爽やか。
烏賊に酢橘の大量使用は無粋になりがちだが、水蛸の味わいを考えると、これはこれで良い。
北寄貝
クセは無く、甘い。
胡麻鯖
時期的に真鯖でないのが残念であったが、〆の仕事が良いため、満足度は高い。
しっとりとほどける身から凝縮された脂が滲み、美味。
鯵
ぷりっとした食感で、脂の乗りも十分。
いくら軍艦
秋田産。しっかり漬けているが、プチッと弾け、とろける。
鮪赤身
厚切り!漬けの塩梅が良く、ねっちりした身に旨味が凝縮。
真鯛の椀
明石の真鯛のアラを使用。
昆布の使い方と塩加減が良い!
大根の葡萄漬け
「葡萄漬け」と聞き、色がブドウ色故のネーミングかなと頂いたところ、本当に葡萄味の漬け物とは!
どうやら秋田の郷土料理らしい。
思わぬところで、貴重な体験をさせて頂いた。
帆立の手巻き
炙り。海苔も香り良く、分厚くて上質。
玉子
毛蟹の手巻き
秋田産は12月から2月くらいまで獲れるとの事。
風味たっぷりの毛蟹に、上質な海苔の香りと食感が精彩を加える。
煮キリではなく煮ツメで調味され、少量であるのが上品。
店名:すし兆(すしちょう)
シャリの特徴:味わい的にはオーソドックスで、やや硬め。テクニックでほどけ良し。
予算の目安:お酒付き9,000円、お酒なし7,000円
最寄駅:秋田駅から400m
TEL:018-836-1280
住所:秋田県秋田市中通4-14-6
営業時間:18:00~22:00 ※18:00~20:00、20:00~22:00の2回転制
定休日:日曜 ※第一日曜日、第三日曜日は営業
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