まさに古色蒼然!雰囲気バツグンな老舗天麩羅・八ツ手屋

八ツ手屋外観

こんにちは、丼にはロマンが詰まっていると感じる、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)です。

さて、今回ご紹介する「八ツ手屋」さんは、1914年(大正3年)創業の天丼専門店です。

古色蒼然こしょくそうぜんとした建物は、街ゆく誰しもの目を引く外観です。

「東京の天丼の老舗の一つ」として有名ですが、営業は平日の11:00~14:00のみと訪問のハードルが高いお店です。

今回、念願の訪問を果たしました。

雰囲気抜群な八ツ手屋(やつでや)とは?

一風変わった店名が気になるところですね。

名前の由来は、創業者のご夫妻とその息子さんご夫婦の計4人=8本の手で商売を始めたからと言われています。

ユニークなネーミングセンスです。

 

お店の最寄りは小川町・淡路町ですが、神田駅からも十分歩ける範囲です。

こちらは初訪問でも絶対に迷わないお店だと思います。

その理由は建物と匂い。

建物は1956年(昭和31年)に建てられた木造モルタル建築で、雰囲気が抜群です。

そして、お店の周囲には老舗の江戸前天丼らしい胡麻油の香りが漂っています。

 

お店の暖簾はボロボロで、今日び珍しいほど。

大昔は飲食後のお客さんが暖簾で手を拭いて帰るものだから、汚い暖簾のお店ほど美味しいと言われていたそうですが、衛生観念が徹底した現在ではそんなお客は皆無です。

八ツ手屋内観

店内には昭和初期の雰囲気があり、殺風景な中に妙な風情が漂っています。

外光を柔らかく濾過するすり硝子に安らぎを覚えます。

 

お店に入る際にオーダーとお会計をするシステムなので、席に着いたら待つのみです。

八ツ手屋のメニュー構成と頂いた感想

お弁当もありますが、店内のメニューは5つです。

入り口のガラス戸に貼られているので、並んでいる場合は事前に眺めて決めておきましょう!

主なメニューと料理ごとの違い

こちらが主なメニューです。

  • 天丼(中)800円
  • 天丼(上)1,100円
  • 天重1,450円
  • 天ぷら1,650円
  • 天ぷら定食1,800円

【天丼(中)】については、10年前は650円と格安だったようですが、今でも安い事には変わりありません。

 

天丼2種と天重の違いは海老の数と野菜の有無です。

  • 中:小海老2本、いかげそと玉ねぎのかき揚げ
  • 上:海老2本、いかのかき揚げ、かぼちゃ、いんげん
  • 重:えび3本、いかのかき揚げ、椎茸、かぼちゃ、いんげん

 

こちらは大衆的なお店なので、高額メニューが必ずしも真ならずと判断し、僕は【天丼(中)】をオーダーしました。

個人的には、大正解でした。

ちなみに、店内で気付きましたが、メニューによって漬け物も違います(笑)

八ツ手屋の名物【天丼(中)】のお味は?

席で待っていると、まずは漬物と箸が配膳されます。

沢庵

何の変哲も無い黄色い沢庵ですが、割り箸が乗せられていて、これにも妙な趣を感じてしまいます(味はもちろんケミカルですが)。

 

そして、お待ちかねの【天丼(中)】が登場。

八ツ手屋の天丼(中)

実に素敵なヴィジュアルです。

洗練など意に介さぬ、無骨だからこそ食欲に突き刺さるフォルムですね。

八ツ手屋の天丼(中)02

海老から頂いてみると、意外にも揚げ加減がカチカチではありません。

老舗の大衆天麩羅店なので揚げには期待せず訪問したのですが、衣はしゅわっ、ふんわりと、柔らかな食感です。

さらに、火入れがしっかり目かと想像していたところ、海老半分はしっとり揚げられていました。

 

反面、かき揚げはしっかりした火入れです。

カリカリと言うかボソボソした衣に、ガリガリに揚げた烏賊のゲソが入っていて、香ばしさとタレの味で食べさせるかき揚げです。

 

着目すべき点はご飯の炊き加減で、老舗でありながらパラッと炊かれているのが好印象でした。

予想外にボリュームがあったので、小食の方は「少なめ」でオーダーした方が無難かと思います。

 

ただ、決定的に好みを分けるポイントがあり、それはタレの甘みです。

甘みが非常に強く、舌にどんどん蓄積してくるほどの甘さです。

僕は食後30分ほど喉がヒリヒリしたので、思わず緑茶を淹れて飲みました。

 

丼には吸い物が付いてきて、素麺が郷愁をそそります。

八ツ手屋の吸い物

出汁と言うか潮汁を煮詰めたような濃厚な香りのある吸い物で、柚子が軽く香ります。

 

天丼の甘さに怯んだのは事実ですが、帰りの道すがら満足感を感じました。

20代なら「現在の標準的な味」と「自分の好み」を押し付けていたかもしれませんが、「お店の味」があるのは素晴らしい事だと実感したのです。

結局、名物とは「お店の味」無くして成り立ちませんもんね。

 

昔の天丼の味を伝えてくれる老舗らしい老舗です。

八ツ手屋のお店の情報

予約は出来ないので、ピークタイムを外しましょう!

とは言え、営業時間は11:00~14:00なので、品切れにならないよう、注意も必要です。

 

店名:八ツ手屋(やつでや)

予算の目安:天丼(中)800円〜

最寄駅:淡路町駅から280m、神田駅から400m

TEL:03-3256-6630

住所:東京都千代田区神田司町2-16

営業時間:11:00~14:00

定休日:土曜、日曜、祝日

 

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大正時代のB級グルメの味をしみじみ感じた、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)でした。

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