全く気取りない佇まいながら、地元でこよなく愛されている隠れた名店です。
朝からお客さんが続々と来店する人気店であり、創業から80年を超えると言う説もあるようです。
そして、スペシャリテは【くず餅】。
関西で【くず餅】と言えば、ほぼ「葛粉」を用いた【葛餅】を指します。
しかし、関東には「小麦粉」を用いた【久寿餅】の方が市民権を得ているように感じます。
【久寿餅】は小麦粉からグルテンを分離させて浮き粉を作り、それを発酵させて蒸した御菓子。
デンプンを乳酸発酵させた和菓子であり、「和菓子の中で唯一の発酵食品」とされます。
ヨーロッパにはクグロフ、クイニーアマン、パネトーネなど様々な発酵スイーツがありますが、日本では【久寿餅】だけとは少々意外に感じます。
日本はナレズシ、納豆、味噌、醤油と多用な発酵食品に囲まれているので。
【久寿餅】は江戸時代後期から関東で作られるようになったと言われ、亀戸天神、池上本門寺、川崎大師などの門前町で作られる事が多かったようです。
こちらのお店も、参道からかなり離れているとは言え、成田山の門前と言えなくもありません。
さて、こちらが「ガチ」な点は、営業期間。
夏期は6月中旬頃~9月中旬までお休みされると言う徹底っぷり。
発酵の味が安定しないので休業されるのでしょう。
これは少量生産でないと成しえない事。
大量生産、工場生産が当たり前となっている時代に貴重な一軒と言えます。
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成田はたやさんのくず餅
久寿餅(くずもち)
【小(1~2人前)】は200円で、【大(4~5人前)】が650円(上記写真は小)。
紛い物かそうでないかは、香りで分かります。
即ち、小麦デンプンを貯蔵発酵させているため、独特の香りがあります。
慣れない人には「匂い」として認識されるでしょうが、決して「臭い」ではありません。
小麦粉の発酵の香りなので、臭くはありませんが、独特の香りである事は否めません。
そこで、黒蜜と黄粉が活きてきます。
これらによって香りが和らぎ、良い部分が引き立ってきます。
食感はくにゅくにゅ、モチモチと気持ち良い弾力。
久寿餅自体には甘みが無いので、黒蜜の甘みと香り、黄粉の香りが彩を添えます。
そして、香りが和らぐだけでなく、発酵の軽い酸味が引き立ち、この酸味こそが発酵させる目的か!と腑に落ちます。
素朴な味わいながら、発酵の酸味で清涼感を感じさせるとは面白い。
休日の朝にお伺いしましたが、上述の通りお客さんが続々と来られておりました。
なので、遅い時間に訪問する方は、お電話でお取り置きをお願いすると良いと思います。
この立地で振られると、遠方から訪問する場合、悲劇でしかないので…
成田はたやさんのお店の情報
はたや(食べログリンク)店名:はたや予算の目安:小(1~2人前200円、大(4~5人前)650円
最寄駅:成田駅から3,900m
TEL:0476-22-4766
住所:千葉県成田市押畑1847
営業時間:9:00~18:00頃 ※売り切り終いなので注意
定休日:6月中旬~9月中旬、元旦
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