異色の経歴から独自の鮨を握る!溝の口の「変態」職人!?「鮨すがひさ」

鮨すがひさ暖簾

こんにちは、鮨を愛する鮨ブロガーのすしログ(@sushilog01)です。

さて、2020年11月に初めてお伺いした溝の口の「鮨すがひさ」さん。

「世界シャリサミット2022」で、菅親方に久々にお会いしたので久々伺いたい…と考えていたところ、縁があり2022年の年末に「鮨納め」で訪問しました。

こちらの酢飯の醸造元である飯尾醸造の飯尾彰浩社長が訪問されるとの事で、喜んでお伺いしました。

 

今回は2年ぶりの訪問となりましたが、シャリや仕事を調整されていて、更に美味しくなっていました。

すしログ

こちらは鮨とタイ料理のハイブリッドを行う「変タイ鮨」が取り上げられがちですが、ベースの江戸前仕事と向き合っておられるからこそ、変則的な仕事でも成り立つのだと思います。

独自のキャリアを持つ職人さんなので、今後も大いに楽しみです。

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溝の口「鮨すがひさ」の魅力とは?

「鮨すがひさ」の親方、かん 正博さんは、およそ鮨職人らしからぬ経歴の持ち主です。

北海道で酪農学園大学を卒業した後、青年海外協力隊でパナマ共和国に2年間居住し、任期終了後は東京で大手レコード会社とリクルートに勤務され、その後、タイ料理店で働いた後に鮨職人になられたそうです。

 

鮨職人を目指した理由は、専門料理を志向して学んでみたところ「面白くてハマった」ためとの事です。

選んだ選択肢は鮨の専門学校である「飲食人大学」。

「鮨マイスター専科」の受講期間は3ヶ月間ですが、それだけでは不十分であったため、「飲食人大学」が運営する鮨店「千陽」で2ヶ月間勤務されたそうです。

 

ちなみに、「飲食人大学」は関西で勢いのある鮨専門学校です。

話題に上がる事が多いので、僕もWEBフォームより資料を取り寄せました。

鮨マニアの参考資料として(笑)

「飲食人大学」を卒業された菅親方は、満を持して2017年4月1日に「すがひさ」を開店されたそうです。

 

そして、親方のシャリについては、飯尾醸造のお酢のブレンドです。

即ち、赤酢プレミアム、富士酢プレミアム、純米富士酢。

当初はミツカン(恐らく三ツ判山吹)を使用されていて、さらにはヨコ井も試したそうですが、「尖っておらず、旨味の強いお酢」として飯尾さんのものがご自身のイメージに合致されたそうです。

 

2020年に訪問した時のシャリについては、下記の印象を頂きました。

シャリのテイストとしては、酸味は当初は穏やかと思いきやそれなりに利かせていて、タネの味わい的にコントラストを示してくれる良いバランス。

塩気は比較的穏やかで、炊き加減はやや硬めでぱらりとほどける。

温度はやや低めですが、恐らく意図的にこの温度帯に調整されている模様。

個人的に塩気をもう少し強めるとより広い層に印象を残すシャリになるかと思いましたが、温度帯が低めなので、バランスは決して悪くはありません。

そして、2年後の2022年には印象が変わり、キリッとした味わいの赤酢のシャリになっていました。

赤酢プレミアムの旨味と赤酢らしいアタックが先行し、そこに富士酢の酸味を利かせ、富士酢プレミアムの旨味を補強するバランスです。

温度は程良い温度帯でキープされ、硬さについては最初の1貫はやや柔らかく感じたものの、すぐに安定しました。

 

そして、仕事については、親方は熟成仕事も交えていますが、敢えて併用する形を採られています。

2020年の時点で「熟成魚一辺倒だと同じ方向性の味になってしまうので、コースの中で2〜3品に留めている」とのお話を伺い、全くそのとおりだと思ったものです。

 

この度頂いた中でも、極薄切りの大根と合わせる鰤の握りや、鯖の昆布〆など、形式にとらわれない仕事にセンスを感じました。

今後とも江戸前仕事に向き合いつつ、独自路線を貫き通して頂きたい!と思います。

「鮨すがひさ」のおまかせコースの詳細

「鮨すがひさ」さんは、【ランチおまかせ】7,700円、【おまかせ】16,500円の二本立てです。

以前は異様に廉価なお決まりを出されており、おまかせも10,000円でしたが、現在は上記に絞られています。

が、内容を考慮するとリーズナブルであるのは変わらないと実感します。

2022年12月訪問時に頂いたもの

2022年12月訪問時に頂いたものは、下記のとおりです。

酒

この度頂いたお酒

  • 喜久酔 特別純米
  • 丹沢山 燗酒
  • 王祿 純米吟醸 限定50山田錦 生原酒 2019

モダンな鮨店としては珍しく、燗酒を付けられるところが素晴らしい。

今や鮨店や日本料理店は冷酒一辺倒ですが、中盤から後半戦で盛り上げてくれるのは燗酒です。

味覚的、温度的に食事と合うため、燗酒はもっと見直されるべきですだと感じています。

SAKE DIPLOMAを取り、家でも「卓上酒燗器 ミニかんすけ」くんを導入して、燗酒の素晴らしさを実感するばかりです。

 

先付

先付

わかめと福井県産のクレソン。

食感のあるわかめに、クレソンの香りが爽やかだ。

お洒落な先付。

 

ボラ

ボラ

徳島県の有名漁師・村公一さんのボラ。

唐墨以外は下魚をみなされがちだが、実は旨く、特に村さんのボラは秀逸だ。

昆布〆の菜の花を添えて、フキ味噌とともに。

魚の身ではなく菜の花に当てた昆布の旨味が自然に調和する設計だ。

良い魚であればあるほど昆布〆は神経質に行う必要があるので、良き発想。

 

蓮根餅

蓮根餅

牡蠣入りの蓮根餅で魅力的。

鰹出汁がキリッ!と利いている。

寒い日に嬉しい一品。

 

甘海老の塩辛

甘海老の塩辛

甘海老らしい甘味が活きている塩辛だ。

 

アオリイカ

アオリイカ

細切りながらにプチッと弾けて、すぐにとろりととろける仕事。

胡麻が香ばしく、極軽い酢橘が上品に香る。

 

小鰭

小鰭

非常にしっとりと言うよりも、とろりと消え去るようなテクスチャー。

振り塩ではなく立て塩で〆る新子の仕事を施す事で、ソフトな食感を生み出している。

それでいて、臭みなどのネガティブな部分が出ていない。

振り塩と寝かせによる凝縮された旨味やパンチは無いものの、食感と合う味わいであると感じる。

面白い方向性の仕事だ。

 

鰤

極薄切りの大根を添えて「鰤大根」に仕上げる。

脂しっかりな鰤に、薄切りでもシャキシャキと存在感を示す大根が素敵なアクセントだ。

ほのかな大根の香りも魅力。

冬らしさを実感する握り。

 

鯖

昆布〆と非常に珍しい仕事。

食感はしっとり、とろりとしており、シャリに馴染み易い。

昆布の旨味や風味は全く違和感無く調和している。

 

鮪赤身

鮪赤身

湯霜漬けにして、かず芥子を添える。

みっちりと濃密な食感から旨味と酸味、血の香りが高まる。

和芥子も相性が抜群だ。

前回から芥子を変えられている点が、素晴らしい。

この芥子は通常の芥子よりも油脂を感じ易く逸品と言える調味料である。

 

マカジキ

マカジキ

嬉しいタネ。

部位はハラモで、塩と酢橘で提供。

ハラモでもみっちりした食感を楽しめ、持ち味の脂だけでなく香りも良い。

 

車海老

車海老01

北九州の某店のオマージュで始まり…

車海老02

東麻布の某店のオマージュに着地する。

親方がされると、このようなパフォーマンスでも嫌味なく笑いへと導かれる。

車海老は柔らかく、ぷりぷり感もあり良い火入れだ。

車海老の甘味を感じた後にオボロの甘味を重ね、甘味の二重奏に導く仕事。

 

蛤

むっちりした食感で、味わい深く、漬け込みと煮ツメのバランスも良い。

柚子の香りが爽快だ。

 

穴子

穴子

ホロホロと柔らかく仕上げていない点が個人的に好み。

 

干瓢巻き

干瓢巻き

前回頂きたいと思った干瓢巻き。

出して頂き、嬉しい限りだ。

食感や醤油、甘味の塩梅など、気負い無いところが実に馴染む干瓢巻き。

 

玉子

玉子

食感はふわんふわんで、香ばしい玉子焼き。

 

椀

昆布出汁を効かせスッキリした味わいの吸い物。

 

タイ風いなり寿司

タイいなり寿司01

パット見、タイ風だと分からない…とのことで…

タイいなり寿司02

パクチーがセッティング(笑)

バイマックルーベースのグリーンカレーペーストで炒めた少々の挽き肉が良きアクセント。

酢飯の酸味といなりの甘味とタイ風のテイストが合っていてビックリする。

味付けの妙であり、塩梅が良い。

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2020年11月訪問時に頂いたもの

2020年11月訪問時に頂いたものは、下記のとおりです。

酒器

この度頂いたお酒(半合ずつ)

  • 喜久酔・特別純米
  • 上喜元・超辛純米吟醸
  • みむろ杉・純米大吟醸
  • 日高見・芳醇辛口純米吟醸弥助

赤貝のヒモのぬた、自家製塩辛

赤貝のヒモのぬた・自家製塩辛

先付けがストレートな酒肴でビックリ!

初手からお酒が進んだ。

 

岩もずくと食用菊の酢の物

岩もずくと食用菊の酢の物

食用菊は秋に新潟で好まれる食材で、通称「かきのもと」。

食感が良い食材なので、岩もずくの食感と好対照。

酢の酸味や甘みが上品で良い塩梅。

珍味の後に良い口直しとなる。

 

牡蠣

牡蠣

しっかりと火を入れて身を凝縮している。

余計な味付けを行っていない点が好ましい。

 

鮟肝

鮟肝

非常に肉厚な切りつけ!

奈良漬けと合わせる提供方法は「すし匠」の中澤親方が広めた料理だが、管親方は独自性を出している。

鮟肝の下味がごくごく弱いので、奈良漬けと調和する。

聞けば、塩麹で味付けを行っているそうで、細部への工夫を感じた。

 

ボラの白子と百合根の茶碗蒸し、いくら掛け

ボラの白子と百合根の茶碗蒸し

ボラの白子のコクと百合根の甘みを用い、しっかりと味付けしたいくらをソース的に用いる方法。

オリジナリティがあって良い。

惜しむらくは固くなり「す」が入っていた点。

卵の溶き加減よりも調理温度が要因かと思われるので、より低温で火を入れれば解消される筈。

 

真蛸の刺身

真蛸の刺身

分厚いので水ダコだと思ったが、実際は4キロアップの大きな真蛸!

程良く火を入れて、歯切れが良くとも柔らかすぎず、タコの食感を楽しませる火入れで好み。

 

この後、握りに移行します。

 

ガリ

ガリ

甘酸っぱさの中に塩気を利かせているのが印象的で、辛味がある。

割と甘みは強めだが塩気故にバランスが取れている。

 

石垣鯛

石垣鯛

身はとろっととろけ、ペースト的にシャリに絡み、旨味が強烈な仕事。

熟成させている事は明白で、聞けば一週間。

名刺代わりの一貫目は、当世流行りの方向性の白身魚。

 

縞鯵

縞鯵

むちっ、ぱつっとほどける身は石垣鯛とのコントラストを楽しませる。

香りは非常に上品でサッパリな縞鯵。

 

小鰭

小鰭

超しっとりな〆加減。

身は柔らかいが、臭みを出しておらず、軽やかな味わい。

香りがふわっと立ち上がる。

優しい食感と味わいの小鰭を二枚漬けにして、更に印象を強める仕事。

柔らか系の小鰭で個性を確立されていて、職人としての試行錯誤を実感する小鰭である。

 

鰤

昆布〆で、これが良い感じ!

むしろ昆布〆によって鰤らしさを引き立てる昆布の塩梅。

食感はみっしりしていて、脂が徐々に強まり高みに上る。

鰤の香りも楽しめ、個性的な仕事。

 

鮪赤身

鮪赤身

脂は弱いが、香りが印象的で爽やかな酸味を持つ赤身。

後の大トロの際に産地を伺い戸井との事であったが、晩秋の戸井としては上品な味わいの赤身だ。

 

太刀魚

太刀魚

鮨種としては珍しい太刀魚だが、仕事も独特で、これも頂いてサプライズがあった。

軽く塩を当てて脱水しているようで、ぷっちりぱつりと小気味よく弾ける。

食感に加えて脂が絶妙にシャリの酸味に合わさり、味覚的なコントラストも良い。

 

鮪中トロ

鮪中トロ

鮪を他のタネの間に用い、アクセント的にギアを上げてくれる。

 

鯖

小鰭同様に二枚漬けで、食べ応え抜群!

小鰭とは裏腹にしっかりと〆て、香りと脂を楽しませつつ、クドくない。

 

鰆

鰆も今や人気の鮨種だが、幽庵漬けにされて個性を出す。

寝かせてとろりとした食感を生み出し、炙りで皮をパリッと仕上げて、食感の二重奏が味覚とともに面白い。

これも個性を確立している仕事。

 

鮪漬け

漬け。

古典的な仕事を挟まれるところが心ニクい演出。

芥子と頂く食べ方も江戸流。

 

車海老

車海老

むっちりした身は柔らかく、甘みがふんわりと広がる。

標準的な車海老を仕事によって魅力をアップさせていて好感。

 

鮪大トロ

鮪大トロ

大トロを塩で頂く斬新な提供方法で、ダイレクトに脂の魅力を楽しめて良い!

この時期の鮪の大トロならではな魅力を楽しめる。

 

海胆

海胆

温度が冷たくとも、口どけが良いので、甘く爽やかな印象を与えてくれる。

 

穴子

穴子

笹の葉を用いて炙るため、笹の葉の香りがしっかり乗っていて、香ばしい。

穴子はトロトロな煮加減。

 

鉄火巻

鉄火巻

通常は干瓢巻との事だが、実はノーショウが発生したため、鮪たっぷりバージョンで頂いた。

干瓢巻はお店の個性が現れるので別の機会に頂こう。

 

潮汁

潮汁

魚介の旨味がたっぷりな潮汁にアオサ。

 

玉子

玉子

醤油と砂糖のみで仕上げたデザート志向の玉子焼き。

海老を用いない理由として、最後にサッパリと提供するためと、甲殻類アレルギーの人でも最後に楽しんで頂くためとの事である。

「鮨すがひさ」の立地と雰囲気

お店は溝の口駅から徒歩5分の場所にある「フィオーレの森」にあります。

「フィオーレの森」は集合住宅とレストラン、カフェ、ショップやウェディングサロン、ガーデンハウスなどの施設からなる複合施設です。

駅から向かう際には、隣りにある「久本神社」を目指すと良いです。

神社がお店へのアプローチの良い借景になっています。

 

店内は若い方でも肩肘張らずに寛げる雰囲気です。

それでいてカウンターは白木なので、「鮨店を訪問した」と言う実感を感じさせてくれます。

「鮨すがひさ」のお店情報と予約方法

予約についてはお電話はもちろん、WEB予約にも対応されています。

鮨 すがひさ(テーブルチェックのリンク)

 

鮨 すがひさ(食べログのリンク)

店名:鮨 すがひさ(すし すがひさ)

シャリの特徴:飯尾醸造ブレンド。赤酢を効かせ、富士酢でキリッとさせつつ、富士酢プレミアムの旨味も活かすシャリ。

予算の目安:【ランチおまかせ】7,700円、【おまかせ】16,500円

電話番号: 044-750-7369

住所:神奈川県川崎市高津区久本1-16-15

最寄駅:溝の口駅から450m

営業時間:12:00~14:00、17:00~22:00

定休日:日曜、不定休

【参考記事のリンク】

シャリサミット

飯尾醸造さんのお酢の飲み比べ

 

時を置いて鮨店を再訪する喜びを噛みしめる、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)でした。

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