吉野鯗(よしのすし)
当ブログは握り寿司メインで書いておりますが、僕は関西寿司も大好きです。
箱寿司は「二寸六分の懐石」とも言われ、上方の重要な食文化だと思います。
こちらは天保12年(1841年)創業の大阪寿司の老舗です。
ある時、東京に住んでいるからこそ上方の食文化も知らねば、と思い訪問しました。
こちらは今や大阪でも作り手が少なくなってしまった、二寸六分(8.5cm)の押し型を用いる伝統的な調理法を継承されております。
現在は7代目が暖簾と技術を守っておられるそうです。
とは言え、こちらは伝統など考慮せずとも、誰しもが楽しめる老舗です。
一般的な押し寿司が苦手な人には是非とも食べて欲しい…。
繊細な味わいと、美しい見た目に、惚れ直すことかと思います。
大阪寿司・懐石コース ※現在は提供を中止されています
先付(茄子と鮑)
椀
上方ならではの鱧。
吉野葛で優しく葛打ちされた鱧が美味しく、野趣溢れる味わいに食欲が増進。
酢橘が夏らしく、上方らしくて癒されます。
先付を頂いている時に目の前で骨切りされ、嬉しい。
お造りを頂いた後は、メインの箱寿司。
美しい見た目のみならず、味わいも豊かです。
吉野鯗の箱寿司
鯖
江戸前では見かけない山椒の実が面白い。
押し寿司ならではな強めの酢〆の鯖を、薬味がキリリと引き締めます。
鯛
昆布から透けて見える木ノ芽が美しい。
穴子
瀬戸内産。
瀬戸内に馴染みが深いので、実は江戸前の穴子よりも心を動かされます。
海老と玉子
手の込んだ調理法に、「二寸六分の懐石」と呼ばれる所以を最大限体感しました。
押し寿司というものは、もともと鮮度を保つために構築された調理法ですが、
歴史の中で洗練されて、今や力強くも繊細な料理に昇華されているように感じます。
僕は江戸前の握り寿司も大好きです。
しかし、メディアが発する江戸前至上主義のために大阪でも江戸前が主流になってしまったとの事です。
個人的には、そもそも「鮨」の源流なんだから、違った楽しみ方をすれば良いのになあと思います。
押し寿司は握りよりも様々なタネを受け止めてくれる酢飯なので、まだまだ仕事の可能性があって、面白いように感じます。
再訪記事もございます。
店名:吉野鯗(よしのすし)
予算の目安:箱寿司詰め合わせ1,450円、箱2枚折詰3,200円など
最寄駅:本町駅から400m
TEL:06-6231-7181
住所:大阪府大阪市中央区淡路町3-4-14
営業時間:昼[月〜金]11:00~13:30、お持ち帰り[月〜金]9:30〜15:00
定休日:土曜、日曜、祝日
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