誰もが忠臣蔵を連想するであろう、播州赤穂。
赤穂と言えばもう一つ大きな名産があり、江戸時代から製塩業で名を馳せました。
1971年(昭和46年)に「塩業近代化臨時措置法」によって塩田が廃止された際には、昔ながらの製塩法を残そうと、赤穂では自然塩運動グループが立ち上げられました。
その結果、熱心な活動が奏功し、部分的自主流通が認められたそうです。
そのような塩を愛するアツい土地で、塩を活かした和菓子が生まれたのは必然…
赤穂には、江戸時代より愛されている塩を使った【塩味饅頭】が存在します。
【塩味饅頭】を生み出したお店は、元祖播磨屋。
明和年間(1764年~1771年)に創業された老舗で、【塩味饅頭】は、1853年に汐に映える夕日を見立て、「汐見まん志う」として考案されたそうです。
餡に塩を利かせつつ甘みを抑え、周囲の種(皮)には寒梅粉が使用されているため、落雁を思わせる口当たりとなっております。
塩気のある餡と、サラッとした種の組合せには個性がある。
播磨屋は「汐見まん志う」によって赤穂藩に技量を認められ、藩の御用菓子司となり、遂には名字と帯刀を許されたそうです。
その後、赤穂藩から「折角、赤穂の塩を使用しているならば…」との進言があり、「汐見まん志う」から「塩味饅頭」と改名したそうです。
老舗の【塩味饅頭】は、クラシカルな味わいだと感じました。
そして、この度、発祥のお店である播磨屋に加えて、三島屋も訪問しました。
三島屋は、創業は約60年前と播磨屋程の老舗ではないまでも、赤穂で唯一、ガスや電気ではなく薪を使った昔ながらの製法で餡を作られております。
いわば、伝統を踏まえて独自の【塩味饅頭】を生み出したお店。
離れた場所にありますが、全国菓子大博覧会で数々の受賞をされている、実力派です。
こちらの【塩味饅頭】は種が非常に柔らかいところが特徴。
播磨屋よりも餡に塩気を利かせており、種、餡ともにサラリと溶けます。
この軽やかさと甘みのバランスには、驚きました。
溶けた後に、塩気によって引き立てられた甘みが優雅に漂う…
お店で包んでもらう間、1個試食させて頂いた際、とても上質な口溶けと風味で、確かに全国レヴェルの和菓子だと感じました。
また、こちらは抹茶味、黄粉味も必食です。
香りが上品で、嫌みが全くありません。
わずか二軒の食べ比べですが、個性がハッキリと分かれたのは面白かったです。
赤穂を訪れる際には、是非とも食べ比べをしてみてください!
店名:元祖播磨屋(がんそはりまや)
予算の目安:6個入り600円
最寄駅:播州赤穂駅から1,500m
TEL:0791-42-2300
住所:兵庫県赤穂市尾崎222
営業時間:8:00~19:00
定休日:無休 ※元日のみお休み
店名:三島屋本店(みしまやほんてん)
予算の目安:6個入り500円
最寄駅:播州赤穂駅から3,600m
TEL:0791-42-2024
住所:兵庫県赤穂市御崎341-1
営業時間:8:00~19:00
定休日:無休
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