※本記事については、業態が変わる前の内容となります
2014年以来、4回目の初音鮨。
前回の記事(それよりも前のリンクもあります2014〜)
こちらは人気が沸騰する前から伺っておりますが、最近は全国屈指の予約難易度の高さになってしまったのが少々残念です。
前回は鮨にとって最も食材が弱くなる3月に訪問しました。
その折には、訪問以来初めてシャリの状態に乱れを感じて、戸惑った次第です。
今回はこちらのスペシャリテとも言うべき鮪が最も弱い真夏の訪問。
更に、値上げをされた後なので、不安交じりの訪問となりました。
しかし、頂いてみると前回よりもシャリの状態が安定しており、不安を払拭する満足度。
親方のオリジナリティ溢れる仕事に改めて感服致しました。
鮪の旬に伺わなくても楽しませてくれる仕事があるお店だ、と今後の希望を抱く事になりました。
ただ、唯一残念だったのは、伊勢海老の仕事。
味としては美味しかったのですが、活きた伊勢海老に日本酒を掛けられた際、海老が暴れ、海老汁を含んだ日本酒が僕に大量に飛んできました。
おろし立てのシャツが染みだらけになるも、親方は無言で無視…
隣のお客さんたちが視線でかなり気にされておりましたので、当方が気を遣って、お店のムード維持の為におどけなければなりませんでした。
活海老はアルコールに過剰反応し暴れる事は自明。
中国でも活海老をお客さんの前で「酔っぱらわせる」調理法がありますが、荒々しい大陸であっても、ガラスの器と蓋を使うのが一般的です。
普段は笑顔で冗談を飛ばされている方だけに、ギャップの大きい冷徹な表情は心に澱となって留まってしまいました。
(帰宅して洗ってもシャツの汚れは落ちませんでした…)
この度、頂いた握りは下記の通りです。
シャリ
前回よりも酸味と旨味のバランスが良く、まろやか。炊き加減も上を行く。
蛸
久里浜産の3.4kg。火入れが良く、香りも抜群!
真鯛
竹岡産、雌。2週間塩を振って寝かせたもの。
まさしくハムのような食感で、舌への旨味の伝わり方も酷似。
剣先烏賊とバチコ
30cm以上の通称ダルマイカ。
烏賊の火入れとバチコの食感が良く合っており、バランスを失っていない点は見事。
黒鮑
大原産。鮑自体の芳醇な香りもさる事ながら、肝のペーストが凄い。
このペーストがシャリの酸味と相性良く、絶妙な余韻を楽しませてくれる。
鮑が少々硬かった点は残念。
鰻
琵琶湖産、1.4kg。熱々で、シャリとの温度差が気になる。
旨味と皮の香ばしさは良好。
鮪赤身
戸井産、147kg。酸味が強く、鋭い。
鱧と松茸
淡路由良の鱧と、北海道平取町産の松茸。
8月上旬の初物のでありながら、香りがメチャクチャ凄く、圧巻。
鱧はとろとろ、ホロリ。
そこに松茸の香りがじーんわり広がる。
食感の調和も心地良い。
伊勢海老×2貫
西伊豆堂ヶ島産、1kg。
黒龍の九頭竜を掛けた後、焼いた身とボイルした身の両方を用い、海老味噌を加えて、タネと成す。
伊勢海老の力強い歯応えに甘みが何段階にも分かれて滲み、悶絶クラスの旨味を波状的に楽しんだ後、シャリの酸味がキリッと〆る。
素晴らしい一体感で、創作的な握りでありながら纏め上げている点に親方のセンスを体感。
鮪中トロ(塩)
鮪中トロ漬け
先ずは煮キリではなく塩で。
脂の甘みがたっぷりで、そこへ夏らしい酸味が加わり美味。
漬けの方は旨味が凝縮されている印象を与え、酸味とのバランスが良好。
親方の鮪の漬けは、やはり秀逸。
海胆
礼文産。軽く焼いて濃厚な甘みを引き出す。
鮪大トロ
鮪大トロ漬け炙り
脂はしつこくなく、夏らしい酸味が季節ならでは。
漬け炙りは安定感ある個性的で完成度の高い仕事。
鉄火巻
海苔がマグロに負けておらず、見た目ほどに大味でないところが素晴らしい。
干瓢巻
甘過ぎず最後の〆に最適。
玉子
芝海老を使用。2時間じっくりと焼き上げ、ふっくら。美味。
頂いた日本酒は、白岳仙涼純辛口、五凛五凛山田錦純米、隆、横山50純米大吟醸、日高見弥助。
非常に残念なシーンはありましたが、夏らしく、しかも他のお店に無い魅力を感じさせて頂いたのは事実。
次回がどうなるかは分かりませんが、定点観測したくなる味です。
店名:初音鮨(はつねずし)
シャリの特徴:甘みを排除し、赤酢と米酢をブレンド。味わいを時間軸でコントロールする。
予算の目安:20,000円~26,000円→2019年よりおまかせ45,000円~→2020年おまかせ55,000円~(前払い)
最寄駅:蒲田駅から360m
TEL:03-3731-2403
住所:東京都大田区西蒲田5-20-2
営業時間:17:30、20:00開始の2回転制 →15:00、17:00、19:00の3回転制
定休日:日曜、祝日 →水曜、木曜、日曜、市場休場日
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