すしログ No. 168 月の木@大分市(大分県)

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大分では非常に珍しい、江戸前仕事を用いた鮨店です。

大分は九州でも特に生の魚を貴ぶ傾向にあると感じますので、鮮度の高い生魚に仕事を施し、赤酢のシャリと合わせるご主人は、

結構な異端児だと思われているのではないでしょうか(もちろん良い意味で!)。

 

2016年で開業11年目、今の場所に移転してから7年目との事ですが、年季の入った個性的な仕事を感じる事が出来、試行錯誤を繰り返し今に至る事は一目瞭然です。

 

握りは5手ほどで精確に握られているし、包丁の切り付けも良い。

更に、使用される器のセンスも良いため、総合的に魅力ある鮨店です。

天井は打ち放しコンクリートで、BGMはノラ・ジョーンズだったりするので、デートで使用されても落ち着いて頂けるでしょう。

お値段も極めて良心的なので、若い方でも安心して使えます。

頂いた後、非常に高い満足感を感じる事が出来ました。

 

ただ、訪問していささか残念だった点もあり、是即ち隣のお客さん。

途中から来られた方の体臭が結構キツく、鮨を頂きつつ、鼻を閉じていなければならないのが心底辛かった…。

こちらはお任せのみのお店なのですが、その方はお好みで頼まれており、常連さんなのだと推察されましたが、それならば余計に改善すべきだと思います。

折角良いお店なのに、食の楽しみを奪われてしまった次第です。

鮨店に香水を付けてきたり、飲食途中に(店外であっても)煙草を吸うのと同様に、体臭については徹底的にケアするのが、他の人へのマナーです!

 

そんな感じの悲しい事件がありましたが、味は良いので、気を取り直して下記にご紹介いたします。

頂いた日本酒は鷹来屋 純米生酒 山田錦85。

酒肴が少なく、握り主体のコースでしたので、1合のみ頂きました。

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初いくら

ご主人いわく、大分には中々初物のイクラ(筋子)が入ってこないらしい。

出汁が良い塩梅に利いており、良きスターター。

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縞鯵

蒲江産。香りがしっかりあり、脂は上質。

噛み締めるごとに甘みを楽しめる。

槍烏賊

甘みが非常に強く、柔らかにとろける。

塩は糸満の塩を使用。

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関サバ

生ゆえに食感ぷりぷりだが、しっかり甘みがある。

鯖特有の癖は皆無。

滑らかな繊維質は舌を愛撫し、ひたすらに甘やかす。

これは非常に旨く、現地ならではの至福。

鹿児島産の戻り鰹。

キッチリと藁火で炙っており、燻香が良い。

酸味は爽やか。

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ちなみに、お造りの調味料。

手前はニンニク醤油、真ん中煮キリ、奥カボスポン酢。

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鱈子の山葵漬け

オリジナリティ溢れる酒肴。

山葵の爽やかな香りとピリッとした自然な辛さが良い。

塩鱈子を山葵醤油に漬けているとの事。

人工的な味わいの鱈子が多いので、尚更印象深い。

 

この後、握りに移行します。

シャリは前述の通り米酢に加えて赤酢を使用。

ほのかな甘みがあり、酢は割と強め(都内の赤酢のシャリとは無論異なります)。

酸味が米粒をコーティングしており、タネ(仕事)との相性が良い。

米粒はパラッとほどけるし、美味しいシャリです。

国東の新米を使用しているそう。

新米ですが、粘度は気になりません。

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ガリ

甘みを付けつつ、シャープな香りが持ち味。

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関サバ

なんと生で!東京の感覚からすると、吃驚仰天。

しかし、魚の力が強いので、違和感が無く美味い。

切り付けの厚みが良い。

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槍烏賊

烏賊の甘みがシャリに合う。

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縞鯵の腹先

これも生。関鯖同様に脂が良いので、シャリと合う。

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ミナミマグロ赤身

漬け加減が強めで、塩気が少し気になったが、生が続いた流れとしては、意表をついてアリかもしれない。

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ミナミマグロ中トロ

強い脂の甘みがシャリとのバランス良好。

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ニンニク醤油を使用されており、パンチの有る味わい。

しかし、カツオの風味がしっかり有るので嫌味にならない。

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烏賊と鯛の真薯入り茶碗蒸し

鯛の香りを感じる、ふんわりジューシィな真薯が美味。

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カマス

昆布で〆ており、これは素晴らしい仕事。

昆布〆の塩梅に加えて火入れも良く、中心部は生の食感を残しつつ、きっちり熱を加えて脂の旨味を活性化させている。

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コノシロ

小鰭ではなくコノシロと言うのが九州っぽい(熊本県に郷土寿司がある)。

これもまた〆の塩梅が良く、コノシロといえども香りに嫌みが無く、旨味や甘みも十分楽しめる。

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太刀魚

火入れが良く、サラッと消える繊維質。

煮キリはもう少し少なめでも良い気がした。

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車海老

国東産。茹で置きであったが、甘みが強く、身の柔らかみも保持されている。

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赤海胆軍艦

臼杵産。強い甘みを残し、溶ける。

臼杵の海胆は始めて頂いたが、非常に上質。

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穴子

とろろんととろける食感で、これぞ江戸前の穴子。

甘みの塩梅も良く、シャリの塩気、酸味と合う。

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玉子

芝海老、芋に加えて白身魚も使用している。

みっちり、しっとりした食感で、旨味が強い。

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味噌の風味が良い意味で強く、大分らしい椎茸の風味も奏功。

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干瓢巻

干瓢は力強い歯応えで、好み。

甘みを利かせつつ醤油とのバランスが良い味付け。

山葵がキリリと引き締める。

 

上記の内容で1万円少々と言うのは、非常に満足度が高い。

使用するタネは大分らしい地物が中心で、仕事は精度の高い江戸前。

大分で鮨を食べたいと思われる方には、申し分無くオススメ出来る優良店です。

 

店名:月の木(つきのき)

シャリの特徴:米酢と赤酢をブレンドしつつ、クセが無く、タネとの相性が良いシャリ。

予算の目安:8,000円~12,000円

最寄駅:大分駅から700m

TEL:097-532-1738

住所:大分県大分市中央町3-5-16 wazawaza103

営業時間:19:00〜23:00

定休日:不定休

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