こちらは前々から伺いたかった銀座の鮨店です。
鮨好きな友人知人たちの評判が良く、青木さん出身でありながらまた異なる個性があると聞いておりました。
お店はビルの中にありながらアプローチが長く、カウンター席もゆとりがあるので、居心地の良い空間です。
そして、親方と奥様のお二人で切り盛りされているため、雰囲気的にも重たくなく、リラックスできます。
この度はお昼に伺い、8,000円のお決まりを頂きました。
そして、頂いた感想としては、バランスの良いシャリに個性的なタネのチョイスと仕事が光る鮨だと感じました。
シャリは米酢に赤酢をブレンドしており、ほのかに甘みもあります。
塩気、酸味ともに強過ぎませんが、酢はキリッと利かせております。
穏やかさの中に繊細なキレがあり、主張は強くないものの、しっかりした味わいの仕事を引き締めてくれるシャリです。
そして、硬さについては「若手職人さんのような硬め」に仕上げていないものの、粒はしっかりと立っており、上質なほどけ加減です。
シャリに加えて用いるタネと、それらが織りなすストーリー性も面白く、タネは白甘鯛の昆布〆に始まり、縞鯵、九絵、鮪と極めて個性的な流れでした。
切りつけも大ぶりで、構成と相まって食べ応えのある内容でした。
「ランチの価格」としては当然お高いものの、「鮨の価格」としては非常に良心的で、圧巻のランチ鮨だと感じました。
ガリ
酸味と辛味はサッパリ目で、旨味がしっかりしている。
かなり美味しいガリ。
白甘鯛
昆布〆。しっかり〆ており、食感はみっちりで、昆布の旨味と香りも付与されている。
タネの選択、仕事ともに正統の江戸前とは異なる一貫で始まる点が興味を引く。
縞鯵
唇でぷるんとした食感を感じ、噛みしめるとむっちり感がある。
シャリとの味覚的なバランスが良い。
九絵
白眉。旨味が非常に強く、軽く炙る事で香りを与え、強い旨味の中毒性を高めている。
余韻も非常に強い。
塩と酢橘を用いているが、使用量は適切。
食感は力強く、ミシミシした食感、繊維質のほどけ方を楽しめる。
これもシャリとの相性が良い。
鮪赤身
甘みは弱いものの、酸味にキレがあり、爽やかな血の香りを楽しめる。
夏の血の香りとはまた異なり楽しい。
鮪中トロ
旨味の奥行きが少し浅いが、甘みはある。
矢張り昨年末から今年にかけて鮪の質は例年に比べてかなり落ちる。
指摘しているのは一部の鮨好きと職人さんだけだが…
小鰭
肉厚だがしっとりほどける〆加減。
香りは強く、皮の歯切れは良い。
針魚
カンヌキサイズ。
供する前に数秒酢で洗ってから握る。
結構しっかり〆て脱水しており、プリプリした食感。
〆による塩分はオボロで調整されている。
鯖の棒寿司
絶品。僕は関西でも鯖の棒寿司を食べ歩いているが、向こうの一流店を凌駕する味わいの棒寿司である。
脂が非常に乗った上質の鯖を巧く〆て、酢飯と調和。
断面の官能的な色合いを見ての通り、〆加減は浅い。
それでいて旨味を封じ込めており、シャリの酸味、白板昆布の旨味と調和させる。
昆布が甘くなく、柔らか過ぎないところも良い仕事。
鯖の産地を伺ったところ、予想外に鴨川。
アオリイカ
極厚でねっちりした食感。
包丁は少な目で、噛む事でトロトロととろけさせ甘みを楽しませる仕事。
僕は墨烏賊派だが、アオリイカ好きには堪らない仕事だろう。
赤貝
ぬめりを完全に除去していない点が面白く、それでいて、シャリとの一体感が高い(=握りの技術を感じさせる)。
ぬめりがあっても勿論臭みは無く、歯切れも良好である。
小柱軍艦
青柳の香りをしっかり感じさせる小柱。
海苔の香りと相まって爽やかな磯の香り。
海胆軍艦
滑らかな口どけで、甘みも結構ある。
個人的に、明礬の収斂味が少々気になる。
椀
穴子
ふんわりで香りがしっかりした穴子。
鮪赤身手巻き 手渡し
鯖の棒寿司 追加
やっぱり美味しいです(笑)
玉子
かなり海老の風味が強く、みっちりした食感が特徴。
安定感有る仕事に加えて個性が光り、これは再訪したくなるお店です!
店名:鮨 鈴木(すし すずき)
シャリの特徴:米酢に赤酢を適度にブレンドし、様々なタネとの相性が良いシャリ。
予算の目安:お昼8,000円~、夜20,000円〜
最寄駅:銀座駅から300m
TEL:03-5537-6868
住所:東京都中央区銀座6-5-15 銀座能楽堂ビル5F
営業時間:12:00~14:00、17:30~22:00
定休日:月曜
※基本的に完全予約制のようです
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