江戸時代後期から名を馳せる、岡山は児島湾の「青鰻」。
アナジャコと言う甲殻類を餌に、延縄漁を以って河口近くの海で獲る点が特徴です。
「幻の鰻」とも呼ばれ、首都圏で頂くと1本10,000~12,000円を超える、貴重な鰻です。
旬に現地に行ったとしても、日によって入荷するかどうか分からない点が天然もののネックですが、この度、幸運にもありつく事が出来ました。
しかも、お店に伺うと、「旬きたる 青うなぎ大漁に入荷中」と頼もしいセリフ!
岡山でも児島の青鰻と言えば、こちらのお店なので、信頼に基づいた仕入れルートを持っておられるのでしょう。
…しかし、開店早々ながらにお店に入ると、なんと満席。
こちらはお客の注文ごとに捌いて焼かれるので、時間が掛かるとの事。
所要時間については鰻店なので分かっていた事だけれど、満席とは完全に誤算…
スケジュールの関係上かなりタイトだったので、「大量入荷」されつつも頂くのを断念するしか無いのか…
と半ば諦めかけたところ、地元のグループの方が、「僕らは急がないので、こちらのお兄さんに先に出してあげて!」と言ってくださりました。
これには涙が出そうになりました。
お昼時で、ご自身もいち早く青鰻を食べたいであろうにもかかわらず…。
恐縮しつつご好意に甘えさせて頂き、青鰻を頂く機会に預かりました。
そうして、30分ほどで幸運の青鰻が目の前にやって来ました。
重箱の蓋を開けてみると、パッと見からして肉厚で質感が強そう。
こちらの焼き方は関西流の地焼です。
頂いてみると、身はぷりんぷりんと力強く、それでいて決して硬いわけではない。
むしろ、天然モノとしては柔らかく感じます。
養殖モノには無い力強さを持ちながら、単にマッチョではない身質。
そして、香りは柔らかで、天然モノ特有の泥臭さは皆無。
この香りの上品さには感銘を覚えました。
脂の旨味は言わずもがな。
泥臭さがあると鰻の脂は野暮ッたく感じるものですが、香りが良いために強い旨味の脂がサラリと腑に落ちます。
かなり特徴的な鰻だと感じました。
肝吸いの肝はぷるぷると天然の捌きたてらしい食感を宿し、香りは強く、殊に鉄っぽい香りを有しているところが特徴です。
う巻きが付いているのは嬉しい限りです。
香の物(奈良漬け)も良い。
また、ご飯が麦飯と言うのも面白かったです。
タレが東京のものに比べて濃厚であり、デフォルトで山椒が振りかけられている点は、好みを分けるかもしれません。
薄味が好きだったり、山椒が苦手だったりする方は、事前に「タレ少なめで」とか「山椒は無しで」とお伝えください!
〆てお会計は7,800円。
希少性の高い幻の鰻の対価としては、現地ならではの良心的な価格と言えましょう。
ただ、もちろん時価なので、その点はご留意を!
地元の方々の温情に感謝が耐えぬ次第です。
店名:うじょう亭
予算の目安:時価
最寄駅県庁通り駅から240m
TEL:086-234-1139
住所:岡山県岡山市北区内山下1-8-18
営業時間:月~金11:30~13:30(季節限定5月~10月)、17:00~24:00
土・日・祝12:00〜13:30、17:00〜24:00
定休日:日曜
※事前予約がベターです
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