、夏の食材を頂こうと友人が予約してくれました。
この度再訪したところ、前回よりも食材、料理の存在感が強く感じられ、個人的な好みにも合致する内容でした。
コース料理を出すお店は、一回訪問しただけでは決して分からない事を再認識しました。
この度頂いたお酒。
飛露喜・特別純米、菊姫・山廃純米。
梅酒
先付
玉蜀黍の手毬揚げ、じゅんさいと夏野菜、胡麻和え。
玉蜀黍の手毬揚げは配膳される前に既に香りに悩殺された(笑)
いざ頂いてみると香りに加えて強い甘みが舌を甘やかせ、それでいて効果的に付けられた塩気が媚に転じさせない。
じゅんさいに用いられた加減酢は安らぐ塩梅の酸味と出汁の加減で、夏野菜のセレクトも優しく調和するラインナップ。
じゅんさいは秋田産かと思われ、これ自体はそこそこ(ブラインドなので外れていたら恐縮)。
胡麻和えは胡麻のコクに加えて椎茸の旨味が強く、鰹もしっかりと旨味を強めている。
アーモンドが良いアクセント。
椀
包丁が実に素晴らしい。
薄切りに加えて飾り包丁を入れて食感を良くし、旨味の伝達速度を上げている。
かなり強めの鰹出汁だが、卵豆腐の甘みと風味とも合っており、総体として美味なる椀。
写真を一見すると椀種が過剰だと思う方もおられるかもしれないが、味の完成度は高い。
先付に椀を頂き、これがまき村さんの味であり面白さだと感じた次第。
鱧の焼き霜造り
天草産の活け鱧を使用。
鱧のとろろんとした部分の食感を引き出す包丁の入れ方。
調味料、薬味もあったが、ほとんどそのままで頂いた。
剣先烏賊と鰹
剣先烏賊は舞鶴産で、鰹は気仙沼産。
鰹よりも剣先烏賊に妙が有り、モノの良さに加えて包丁が奏功。
歯切れ良くパッツリ切れて、甘みが横溢。
付け合せの海苔は佐賀の乾燥海苔を出汁と酒で戻したものかと思われる。
佳き脇役であり、佳きアテ。
蒸し鮑と海胆
鮑は千葉県千倉産で4時間蒸したもの、海胆は宮城のバフン。
出汁強めのジュレが味のつなぎとなり、肝の使用量も良い。
バランスを崩すと食材自慢に陥りがちだが、上品に纏めている。
鮑はぶつ切りで、大きめのポーション!
羽田沖穴子の炙り寿司
何よりも抜群の香り!
野趣を感じさせつつ泥臭く無い香りは、旬の江戸前穴子の妙味也。
そして、言わずもがなの旨味の強さ。
江戸前の穴子は希少性が高く、個体差も大きくなっているように感じるが、この度頂いたものは鮮烈な印象を残し、蒸しと炙りの仕事も秀逸。
漬け焼きのタレには鰹の出汁も使用しているのだろうか?
酢飯は酢の酸味と甘みがそこそこに利かされており、鮨店のシャリと言うよりも日本料理店のそれ。
しかしながら、穴子の仕事ならびにサイズと相まってバランスは良かった。
銚子産金目鯛の炙り寿司
行き過ぎていない脂の量の金目鯛なので、流れの中で上品に頂けた。
マナガツオの漬け焼き
広島産。味噌の塩梅及び身への浸透具合が良い。
そして、火入れはレアに寄せず、同時にしっとり感を残しており美味。
付け合せが伏見唐辛子と言うのも夏らしくて粋。
皿は花菖蒲の絵柄。
佐賀牛ザブトンのローストビーフ
焼き茄子と共に。
繊維質はシャクシャクしており、単純にトロトロで無い点が好ましい。
脂肪分過多な牛肉を日本料理で供されるのは興醒めである。
脂の存在感は旨味としては残るものの油脂としては残らない。
そして、焼き茄子のホロ苦い香りと風味が味を引き締めている。
鮎ご飯
一見して軽く干しているようだが、正に。所謂風干しにしているそう。
卸して骨を抜いた後に内、臓と塩水を混ぜたに汁に漬け、一夜干す。
そして、直前に炙って土鍋ご飯に乗せ、供する前に混ぜる。
何とも豪勢な調理法である。
鮎の産地は長良川。
鮎の最大の妙味である香りは満喫出来ないものの、それを補って余りある味付け。
(そもそも風干しと言う調理法が鮎の香りよりも旨味に重きを置くものである)
非常に秀逸な味付けであり、骨が皆無である点にも驚嘆を覚えた。
実に繊細な鮎ご飯である。
お焦げは香ばしさだけでなく旨味も凝縮されており、破顔せざるを得なかった。
水菓子
クリームチーズのムース、マンゴー、ワインゼリー。
マンゴーの甘みと軽い酸味がクリームチーズに合っている。
独自性を有し、東京ならではの日本料理を楽しませてくれる名店だと感じます。
店名:まき村(まきむら)
予算の目安:夜懐石15,000〜18,000円 ※素材によって変動し、今回は18,000円でした
最寄駅:京急大森海岸駅から400m、JR大森駅から750m
TEL:03-3768-6388
住所:東京都品川区南大井3-11-5 MAKIMURA BLD 1F
営業時間:18:00~22:00
定休日:日曜、祝日の月曜
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