こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
過去に京都宮津の「飯尾醸造」さんで開催された「シャリサミット2022」で出会った鮨職人、東ケンシロウさん。
クラファンを破竹の勢いで成功させておられ、発言も非常に面白いので気になる職人さんでした。
そしてこの度、仕事が落ち着いたタイミングで念願の訪問を果たしました。


SNSで繋がっているので仕入れや仕事は見ていましたが、想像以上に個性的!
仕入れる魚も仕事も独創的で、完全に唯一無二の個性を持っているお店です。
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「築地すしomakase 近くの2階202」は、親方である東ケンシロウさんが漬け場に立つ部屋です(ワンフロアにお弟子さんが握る部屋もある次第です)。
東ケンシロウさんは18歳で料理の道に入り、11年ほど修行をされた後、「東京すしアカデミー」の講師となった異色の経歴を持つ職人さんです。
2,000人以上もの生徒に鮨を教えた後、2020年2月に開業されたそうです。
ケンシロウ親方は過去に「東京すしアカデミー」で登壇させていただいた講演、【「鮨の現在と未来」鮨のトレンド分析と鮨職人が訪問すべき鮨店】にご参加いただきました。
この講演は僕が現在行っている鮨職人向けのコンサルティングに活きているので、「東京すしアカデミー」福江社長のご縁に心から感謝しています。

ケンシロウ親方は冒頭に書いたとおり、仕入れが非常にユニークです。
グルメな方なら既に多くの方が名を知る仲買人「ジョ兄」さんから仕入れたり、産地に自ら赴いて販路を開拓されたりと、既存の鮨職人の枠組みを超えた仕入れを行っています。
振興のグループでも豊洲で仕入れることが多いので、ケンシロウ親方の試みは明確な個性に繋がるとともに、ビジネス的に効率的な仕入れやサステナビリティにも寄与しているのではないかと感じました。
食べ手としては、出会ったことがない「サプライズフィッシュ」との出会いがあるので楽しい結果につながっています。

そして、仕入れがユニークであれば仕事もユニークです。
鮨店と言うよりも料理店の方向性で、これはお酒が好きな人なら特に大満足です(とは言え、お酒が強くない人でも面白い仕事に出会えますが)。
まさかの【生の鮟肝】が臭くなくて突出して美味しかったり、鰻を津本式によって微毒性の血を抜いて寝かせた上で【鰻のタタキ】にしたり、驚きがあります。

津本式は正直なところ巧く使いこなせる職人さんの方が少ない手法なので、ケンシロウ親方の活用法には感服しました。
きっちり魚の個性を把握した上で仕事を選択されています。
結果として魚の個性を壊していることも無ければ、ネガティブな臭みを発生させていることもありません。
生命線のシャリについては、コシヒカリと長野県のオリジナル品種である風さやかをブレンド。
酢はミツカンのものを3種ブレンドしているそうです。
握りの前半はお昼のシャリ、後半は30分前ほどに切ったシャリを使い分けておられます。
個人的には前半も後半と同じシャリで良いように思いました。
やはり、時間が経ったシャリは冷たいだけでなく、強いザラつきが発生したり、米に水分が過剰に行き渡ったり、咀嚼時のアルファ化が遅いか発生しなかったりするので、タネとシャリの融合を考えると元気な状態のシャリがベストだと感じた次第です。
これについては、魚の仕入にこだわっている職人さん全てに伝えたいことです。
やはりシャリあっての鮨だと確信します。
日本全国を見てみると、様々な鮨種の漁獲量が減り続けているので心配が尽きません。
よって、ケンシロウ親方の仕入れと仕事は地方の漁業に良い影響があると感じます。
面白い魚を仕入れて面白い仕事をされているので、また違う季節にお伺いしたいと思います。
この度いただいたおまかせコースの詳細です。
コース料金については、面白いシステムを導入されているので公式サイトをご参照ください。
お酒はおまかせでいただきました。


貝出汁と卵で作られたロワイヤル=フランス風茶碗蒸し。強烈なコハク酸の旨味と乳製分によるコクを感じさせつつ、食後感は重たくはない。鮨店として奇抜な先付であるが、きっちりと考えられている。

冷凍させてから寝かせているそうだ。結果として、白烏賊らしい強い甘味は言わずもがな、柔らかくとろけつつ食感も残す仕上げ。

身はねっちり、トロトロで、皮目はぱっつりとしており魅力ある多層的な食感。濃密なペースト状でありながら白身らしい食感と香りがある。熟成15日、産地は日南とのこと。

三重。炭火焼きで皮は鰻の地焼きのようにさっくりかつもっちりと仕上げていて、身はとろり。これは鰆の焼き方として非常に魅力的な皮の表現だ。魚の皮も意識して美味しさの構成要素として使う職人さんは素晴らしい。

白湯スープでしゃぶしゃぶ状に茹でたもの。鰹出汁を効かせたポン酢とともに。肉厚でむっちりしていて旨い!

安曇野ミネラルウォーターと招德酒造が造る「mine 純米大吟醸」、これは720mlで19,800円もする高級酒!ご提供いただき、ありがたい…。なので、少し細かく書くことにする。
香りとしてはフルーティな吟醸香が非常に強く、おそらく1801系の酵母を用いた吟醸酒。この方向性の酵母ゆえに甘味と苦味があり、酸味は非常に穏やかな味わい。つまり、食中酒としてはバランスブレイカーとなる可能性を持つタイプのお酒だが、チャイロマルハタの旨味が濃密なので、この料理には合う。また、御料理にポン酢の酸味を用いているので、お酒に不足する味覚を相補する効果も発揮している。高級酒で一気に知名度を高める「SAKE HUNDRED 百光」も同じ方向性なので、高級酒としては「市場のニーズ」に適っているのだろう。

濃密な脂!しかし、決して重たくはない。産地は五島で、熟成を15日かけているそうだ。熟成を考慮せずとも強烈な甘味ととろける感じは他の魚には無い。もちろん魚体の状態も奏功している。

タタキでの提供。これは非常に面白い!先ほど書いたとおり、津本式で微毒性の血を抜いて寝かせているそうである。皮と身のテクスチャーのギャップに驚かされる。鰻特有の脂だけでなく、繊維の食感と身の旨味を楽しませる仕事だ。さらに、焼きではないのに皮も出すのがチャレンジング!津本式に加えて、立て塩で脂と血を数日かけて抜くそうだ。完全に唯一無二の仕事。

岩手県産。旨味と甘味が強い。炭火焼きで凝縮させつつジューシィに仕上げる。


済州島のエゾアワビを八代の一番海苔と合わせる。海苔や西京味噌とのバランスが良い。


真空パックをかけて冷蔵庫で一年熟成させたものと常温で一年熟成させたものの食べ比べ!

僕も毎年仕込んで熟成もさせているので分かるが、クオリティの高い唐墨であり熟成である。

鮑の肝ソースをブリュレにして、オーストラリア産の巣蜜と合わせる!!!やりたい放題である笑

コノシロサイズで甘味がたっぷりあり、香りも強い。非常にユニークな〆方が個性的な味の表現に奏功している。皮の食感も楽しませる包丁の入れ方。

なんと生の鮟肝!甘味と食感に驚き。プリンのような香ばしさに魚の肝由来のレバーとは異なる香りもある。なかなか出来ない体験だ。

キンキの炭火焼きの美味しさは言わずもがな、ゴボウの野趣ある香りと味を活かす穏やかな甘味が魅力だ。

旨味のラッシュが凄い。



鰹出汁で浜茹でして出荷されている蝦蛄。しっとりしつつ、卵がプチプチと気持ち良い。

鰹出汁で茹でて、茹で置きした車海老。甘味が強い。

紅鮭はトキシラズ。紅鮭らしい香りと甘味があり、トキシラズらしさを楽しませつつ、冷凍による時差で魅力的な出会いものを実現している。季節感を厳密に重視する人は首を傾げるかもしれないが、個人的には現代の技術を駆使した創作出会いものとして多大な魅力があると感じた。

オープンから使い続けている漬け地との談で、コハク酸が強烈だ!食感はみっちりしていて、噛み締め系の蛤。

九絵で作ったフレークを用いたパン料理。

むっちりしつつ、くにゅくにゅと面白い食感。タタキの調理法でしか味わえない表現だ。

浜中のバフン。塩雲丹を用いることで塩味と塩雲丹らしい香りを加える面白い仕立てで、上にまぶされているのはアオサ。

戸井産。温度の馴染ませ方が巧みで、トロ~リととろけ、脂の甘味がたっぷり!

宮城県産の2キロアップ。脂だけでなく香り、食感、旨味が良い。

見た目通り濃密な味わいのにゅうめん。

焼いておらず蒸した玉子!しゅわんしゅわんな食感。

金柑、ル・レクチェを用いて、知多ウィスキーをベースに香り付けにラフロイグを使用。お酒好きには嬉しい水菓子だ笑

シャリなしの干瓢で軽やかに終了(お腹は大満足!)。
「築地すしomakase 近くの2階202」さんについては、テーブルチェックからWEB予約が可能です。
親方以外の部屋については、以下の食べログからも予約可能です。
築地すしomakase 近くの2階202(食べログのリンク)
店名:築地すしomakase 近くの2階202
シャリの特徴:ミツカンの酢を3種ブレンドした万人受けタイプのシャリ。
予算の目安:コース料金については、面白いシステムを導入されているので公式サイトをご参照ください。
最寄駅:築地駅から450m
TEL:03-6228-4144
住所:東京都中央区築地6-24-5 小田三ビル 201
営業時間:12:00~13:30(L.O. 13:15)、16:00~21:30(L.O. 21:00)
定休日:不定休
独創的な仕事に驚く、すしログ(@sushilog01)でした。
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