※「日本料理編 No. 159」に追記してリライトしました
こんにちは、広島のグルメを東京から盛り上げたい、すしログ(@sushilog01)です。
さて、近年外食のレヴェルが飛躍的に上がっている広島。
もともと【お好み焼き】や【カキ料理】などは全国に知られていましたが、どちらかと言うとB級グルメが強い土地でした。
すしログ
今回ご紹介する悠然いしおかさんは、すでに何回も訪問している広島で大好きな一軒です。
広島でオススメのお店は?と聞かれたら真っ先にオススメしています。
訪問後に、ミシュランを取るだろうな…と思っていたところ、やはり一ツ星を獲得され、ゴエミヨ2020にも掲載されました。
コロナがなければ、きっと全国から人を集めていたことでしょう。
ワクチン接種の暁には、皆さま是非とも訪問されてみてください!
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悠然いしおかの魅力とは?
悠然いしおかさんの魅力は幾つもありますが、簡潔に述べると下記のとおりです。
このような魅力があるからこそ、僕は度々足を運んでいます。
- 知られざる広島食材との出会い
- 正統派の日本料理の技術をベースに、モダンなアレンジを加える
- 居心地が良い
広島に生まれ育った方でも、「こんなに美味しい食材があったんだ!」と新発見があるのは間違いありません。
特に鹿や猪などのジビエ肉は苦手意識がある人でも美味しいとイメージを変えるはず。
そして、野菜ひとつ取っても、志和の「どじょうや」さんの野菜を巧みに扱い、主役ならずとも名脇役に仕立て、御料理の印象を強めておられます。
御料理はどことなく懐かしいのにモダンな印象。
瀬戸内の魚を楽しませつつ、土や山の香りを感じさせる。
山海の恵みを余すところなく味わい、季節を楽しむことが出来ます。
ご主人・石岡慎吾さんについて
ご主人の石岡慎吾さんは1983年生まれで、30歳の頃に独立されました。
由布院の山荘無量塔で5年、東京の分とく山などで4年修業し、2011年に広島の山人を経て、2015年に悠然いしおかをオープン。
なかなか変わった経歴の料理人です。
接客については素っ気ないと感じる人もいらっしゃるかもしれませんが、料理・食材に対して真剣に向き合っている証です。
2019年4月から山伏の修行を始めた石岡さんは料理をする時に、「我を殺し、いい素材と向き合う」ことに徹しているそうです。
▶参考:宮島で山伏修行をやってみよう!広島の宮島を中心とした山伏修行のWEBサイト
悠然いしおかの立地と雰囲気
お店は繁華街から離れた段原と言う住宅地にあります。
落ち着いた雰囲気のエリアで、店内は一層落ち着いています。
お店の壁は土壁で、古い蔵の土壁を練り直して使用しているそう。
そして、ケンポナシを使用した一枚板カウンターは見事です。
重厚な雰囲気をイメージするかもしれませんが、正統派の会席料理店のような緊張感は皆無なので、誰でも寛げる雰囲気だと思います。
椅子は廿日市の「マルニ木工」、お盆は熊野町の「さしものかぐたかはし」の製品です。
「さしものかぐたかはし」は長野県茅野の名店、無名(旧店名:から木)さんでも使用されていますが、素晴らしいお盆です。
カウンターは6席とコンパクトで、奥にテーブル8席の優雅な個室があります。
記念日にもデートにも使える素敵なお店です。
悠然いしおかのコースの詳細
コースはかつて7,000円・9,000円でしたが、9,000円・13,000円に変更された後、現在は11,000円になっています。
前から頂いてきた感想としては、非常に妥当性のある価格だと思います。
広島では7,000円・9,000円のコースでも「高い」と言われてしまう土地柄ですが、内容が伴っていれば決して高くはありません。
これこそが本当の意味での「コストパフォーマンス」です。
すしログ
なぜなら世間で使われる際、「安くてそこそこのもの」を指すことが多いから。
高額なものでも「コスパが高い」ことはあり、逆もまた然りです。
2021年6月に頂いた内容
梅雨入りの頃に頂いた御料理です。
コースの内容
- 先付:蛸、キュウリ、スナップエンドウ
- 椀:鱧、じゅんさい
- お造り:モンゴウイカ、赤海胆
- お造り:イサキの藁焼き
- 炊き合わせ:飛竜頭、ウド、茗荷竹
- 焼きものと油もの:甘鯛、京人参のかき揚げ
- 焼きもの:猪のバラ肉、蕨巻き
- お食事:浅蜊ご飯、留め椀、香の物
- 水菓子:アイス最中
先付
蛸、キュウリ、スナップエンドウ。
ジュレは出汁をしっかり利かせ、酸味も心地良く爽やかな先付。
蛸は歯ごたえを残す火入れ。
椀
椀種は鱧とじゅんさい。
じゅんさいは広島県東広島・黒瀬のものだが、やはり美味しい。
日本屈指のじゅんさいで、ヌルが巨大で清涼感があり、澄んだ味わい。
きっちり「味のある」じゅんさいは珍しい。
黒瀬のじゅんさいは人気が高まり、京都や東京の高級店に流れている。
広島でも取り扱えるお店が非常に限定されている状況なので、石岡さんの仕入れ力に心から感謝する。
吸い地は昆布を利かせていて、鱧ならびにじゅんさいを引き立てる。
椀妻はオカヒジキで、吸い口は花柚子。
お造り
広島産のモンゴウイカと、周防大島の赤海胆。
モンゴウイカは「硬い」「味が無い」と言う一般的なイメージを破壊する味わい。
コリコリと小気味良くよじれ、ねっちりと絡み、甘みが強い。
海胆は甘みに加えて瀬戸内特有の爽やかな香りが楽しめる。
お造り
イサキの藁焼き。
強い旨味のイサキに藁の力強い香りを加えていて、一気に胃袋が刺激される。
玉ねぎはお酢(恐らく飯尾醸造のもの)と合わせている。
炊き合わせ
飛竜頭、ウド、茗荷竹。
飛竜頭の海老の香りと甘みに山菜の香りが抜群の組み合わせで、しみじみと良い。
焼きものと油もの:甘鯛、京人参のかき揚げ
甘鯛は身はふわっふわ、ウロコはサクッサク。
カリッカリに揚げられた京人参は香りが抜群。
真魚鰹の唐墨を使用していて、味噌のような発酵の香りと旨味がアクセントに。
焼きもの
猪のバラ肉、蕨巻き。
猪の脂と蕨のトロトロ感、山椒の香りと痺れが素晴らしい相性。
山の恵みを堪能できる一皿。
お食事:浅蜊ご飯、留め椀、香の物。
大粒の浅蜊がたっぷりと使用されている。
浅蜊ご飯には海苔、エノキ、牛蒡が使用されていて、それぞれのサイズや量が程良い。
浅蜊の滋味をたっぷりと味わう!
香の物まで申し分なし。
水菓子
アイス最中で、木イチゴと紅芋酢、和三盆で作ったソースとともに。
2019年1月に頂いた内容
新年が明けた頃に頂いた御料理です。
この度頂いたコース(9,000円)
- 先付:雪花菜和え(きらずあえ)
- 椀:牡蠣のすりながし
- お造り:地蛸
- お造り:鰆のタタキ
- 飛竜頭
- 甘鯛の若狭焼き
- 鹿の焼きもの
- お食事:鯛、鈴菜(スズナ)、蘿蔔(スズシロ)のご飯、留め椀、香の物
- 水菓子:柿のブランマンジェ
この度頂いた日本酒
酒井酒造・五橋初しぼり原酒、
今西酒造・みむろ杉・特別純米辛口、
千代酒造・篠峯・純米朝搾り直汲(エポック限定酒)、
王祿酒造・純米吟醸限定酒(BY29)
雪花菜和え(きらずあえ)
アカアシガニ(標準和名不明)と蕪を用いたきらず和え。
雪花菜(おから)には海老出汁を溶いておられ、それがバランスを取っている。
蕪は軸も用いて野趣と苦みを楽しませ、海老の甘み、柚子皮の爽やかな香りが一体化。
牡蠣のすりながし
濃密な牡蠣の存在感に唸る。
吸い地は鰹のみなようで、牡蠣との繋ぎ方が巧い。
牡蠣1キロに対して日本酒を一合用い、煮詰めているそう。
他の調味料は白味噌。
地蛸のお造り
蛇腹状に切り付け、海藤花(かいとうげ=卵)を少しまぶしている。
蛸は旬の逆でありながら香り高く、旨味が強い。
更に、合わせている山葵の茎と加減酢のジュレが良い。
茎は軸とは異なる香りと辛味で、それを使用するのは粋。
鰆のタタキ
鰆は岩国市漁協と広島魚市場が取り組むブランド「サワライダー」。
名前は何とも言えないが(笑)、船上神経〆による手当は確かに味に表れており、脂が強くて香りも良い。
野菜は実に力強い味わい。
苦味と香りが強くとも、旨味と甘みが底にある、骨太な野菜。
飯尾醸造の富士酢プレミアムを嫌味無い程度に使用。
飛竜頭、松葉蟹の餡
大豆の風味がしっかり活きており、食感の良い飛竜頭!
豆腐は安芸高田の豆腐屋さんのものを使用されているそう。
キクラゲが良きリズム。
甘鯛の若狭焼き
鱗は勿論サクサクで、身はしっとり、それでいて力強い繊維質を楽しめる。
唐墨、蒸して焼いた里芋を添えて。
鹿の焼きもの
鹿は兵庫の3歳半の雄鹿。
全くボソッとせず、むっちりジューシィに火入れされている。
そして、添えられた高菜が大変魅力的。
葉っぱの部分は炭火焼きにして苦味を引き出し、軸の部分は素揚げにしてから焼いている。
苦味、香り、甘みがあり、淡白な鹿肉に精彩を加える。
お食事:鯛、鈴菜(スズナ)、蘿蔔(スズシロ)のご飯
鯛は焼いてから混ぜて。
菜っ葉ご飯好きとしては嬉しい食事であった。
留め椀(味噌汁)、香の物もいつもながら抜かり無し。
水菓子
柿のブランマンジェ。
ソースには完熟の柿を用いており、甘みは無添加。
ブランマンジェには良質な卵を用い、和三盆で甘みを付けている。
濃密な柿の香りと甘みが印象に強く残る。
悠然いしおかさんのお店の情報と予約方法
予約については、お電話のみです。
店名:悠然いしおか(ゆうぜん いしおか)
予算の目安:コース11,000円〜
TEL:082-569-5753
住所:広島県広島市南区段原3-15-19 皆川ビル1F
最寄駅:段原一丁目駅から650m
営業時間:17:30~22:00
定休日:不定休
広島のグルメな方と繋がりたい、すしログ(@sushilog01)でした。
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