こんにちは、あらゆるスシ(鮓・鮨・寿司)を愛する、鮨ブロガーのすしログ(@sushilog01)です。
この度、日本全国の郷土寿司を、伝統的なものからモダンなものまで網羅的にまとめました。
本記事は、「読み物」と言うよりも「事典的」に使って頂けるリストになります。
すしログ
…目次が長大ですが、「事典の索引」だと思ってご容赦ください。
全部で141つの郷土寿司を紹介しています(2023年4月公開時点)。
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タップできる目次
北海道・東北エリアの郷土寿司
まずは、北海道・東北エリアの郷土寿司を紹介します。
北海道
下記が、北海道の郷土寿司です。
飯寿司(いずし)
【飯寿司(いずし)】は、ホッケやサケ、ニシン、サンマや野菜を使うナレズシです。
シシャモ寿司
【シシャモ寿司】は、鵡川町の名物で生のシシャモを握り鮨に用いる、ご当地ならではな鮨です。
蝦夷前鮨
江戸前の仕事を蝦夷のタネに施す握り鮨の呼称です。
青森県
青森県の郷土寿司です。
鮭の飯寿司
【鮭の飯寿司】は、盆や正月のご馳走として古来より伝わる飯寿司です。
ホッケ寿司
【ホッケ寿司】は、ホッケをもち米と塩で漬けるナレズシです。
春に漬けて、冬に食します。
イカの寿司
【イカの寿司】は、下北地方の郷土料理で、「寿司」と付くけれど、お米は使いません。
ボイルしたスルメイカの胴体に野菜を詰めて酢漬けにします。
寿司子(すしこ)
【寿司子(すしこ)】も「寿司」ではなく、全国でも珍しい「お米の漬け物」です。
蒸したもち米に赤紫蘇、キュウリ、キャベツを加えて乳酸発酵させます。
岩手県
岩手県の郷土寿司です。
すし漬け
【すし漬け】は、西和賀地方のナレズシです。
酢漬けにした魚の切り身をご飯と米麹、野菜と共に10日間ほど漬けます。
納豆巻き
【納豆巻き】発祥のお店は盛岡市の「三寿司」。
1963年に寿司を低価格で多くの人に提供しようと考案されました。
前沢牛にぎり
奥州市の「助八寿司」が1997年に考案した新郷土料理です。
かつては生肉でしたが、規制の影響で現在は炙っているそうです。
宮城県
宮城県の郷土寿司です。
塩竃の握り鮨
塩竃は「すし哲」を筆頭に、ご当地江戸前鮨の人気店が多いエリアです。
秋田県
秋田県の郷土寿司です。
ハタハタ寿司
【ハタハタ寿司】は秋田県を代表する飯寿司で、ハタハタと米、麹、人参などの野菜で漬けるナレズシです。
花寿司
【花寿司】は、秋田県南地域伝統の漬け物で、茄子、塩、糀、菊の花を重ねて作ります。
鮭の飯寿司
【鮭の飯寿司】は、角館に伝わる鮭を用いる飯寿司です。
山形県
山形県の郷土寿司です。
酒田市の粥鮓
珍しいおかゆ状のナレズシです。
熱い飯、麹、酒、塩、鮭、数の子、海苔、人参などを合わせて甕で40日くらい漬けます。
米沢市の塩引き寿司
塩漬けにした鮭を用いる押し寿司です。
戦後に一時期衰退したそうですが、近年復活を遂げた郷土寿司です。
福島県
福島県の郷土寿司です。
ニシンの笹寿司
【ニシンの笹寿司】は、奥会津地方の郷土寿司です。
2週間ほど漬け地に漬けたの身欠きニシンを、酢飯を笹の葉で包んだ寿司です。
関東エリアの郷土寿司
関東エリアの郷土寿司を紹介します。
茨城県
茨城県の郷土寿司です。
鰻のちらし寿司
現在は超高級になった鰻ですが、かつては北浦・霞ヶ浦で豊漁だったので、各家庭で食されてきました。
保存食の芋がらとちらし寿司にするのがユニークです。
塩鮭の押し寿司
【塩鮭の押し寿司】は、新巻鮭を使った押し寿司で、お正月料理です。
栃木県
栃木県の郷土寿司です。
鮎の腐れ寿司
【鮎の腐れ寿司】は、鬼怒川流域の上河内地区に伝わる鮎のナレズシです。
羽黒山の梵天祭りのご馳走として伝わります。
湯波寿司
日光東照宮の名物は、奈良時代から伝わる湯波。
元々は修験者の精進料理だったものの、観光地化によって生まれた新郷土寿司です。
群馬県
群馬県の郷土寿司です。
岩魚とギンヒカリ(虹鱒)の押し寿司
高崎駅の駅弁として生み出された、ブランド養殖魚を用いた押し寿司です。
埼玉県
埼玉県の郷土寿司です。
五目寿司
お彼岸やお盆のお供えに必須とされる郷土寿司です。
具はニンジン、ごぼう、干瓢、椎茸、油揚げの5品です。
千葉県
千葉県の郷土寿司です。
太巻き寿司
千葉県の【太巻き寿司】は、寛政年間(1789年~1801年)から伝わる、冠婚葬祭の時のご馳走です。
現在も人気があり、華やかな図柄で作られます。
東京都
東京都の郷土寿司です。
笹巻き毛抜き鮓
握り鮨よりも長い歴史を誇る、東京の郷土寿司です。
古い仕事が散見され、現在も「笹巻けぬきすし総本店」で頂けます。
江戸前握り鮨
1829年(文政12年)頃に生み出された、関西鮓の発展形です。
江戸前=江戸の前の海の幸を使い、独自の仕事が生まれ、現在最も人気な郷土寿司です。
稲荷寿司
握り鮨よりも少し後の、1844年頃に江戸で生み出された郷土寿司です。
油揚げ豆腐、キクラゲ、干瓢、酢飯で作ります。
茶巾寿司
関西鮓のイメージが強い【茶巾寿司】は、実は東京が発祥です。
大正時代に小原義太郎という料理人によって考案されました。
べっこう寿司(島寿司)
伊豆諸島・八丈島・小笠原の郷土寿司で、白身魚を醤油と島唐辛子に漬けて食す寿司です。
もともとは島唐辛子ではなく芥子が用いられていたそうです。
神奈川県
神奈川県の郷土寿司です。
鯵の押し寿司
大船や鎌倉、小田原などで広く作られている新郷土寿司です。
握り鮨の形式でも作られ、ひな祭りなどのお祭りの時に食されます。
巻き寿司
年始、お祭り、男の子の15歳のお祝い、婚礼などの際に作られるご馳走です。
具は干瓢、おぼろ、卵焼き、茹でたほうれん草などです。
北陸エリアの郷土寿司
北陸エリアの郷土寿司を紹介します。
富山県
富山県の郷土寿司です。
おせ寿司
【おせ寿司】は、焼き魚を酢に漬けて作る、珍しい押し寿司です。
サバで作られるのが一般的なようです。
さば寿司
富山県の【さば寿司】は、生のサバ、ご飯、塩で作るナレズシです。
麹と赤とうがらしを加えて、麹漬けにする場合もあります。
鱒寿司
全国的に人気な富山の【鱒寿司】は、1717年(享保2年)に生み出され、八代将軍吉宗に献上されました。
将軍のお墨付きを頂き、あっという間に名物となったそうです。
石川県
石川県の郷土寿司です。
御贄鮨(おにえずし)
酢飯、酢〆にした魚、人参、生姜、柚子皮などを重ねてる来る押し寿司です。
加賀一宮・白山比咩神社と能登一宮・気多大社の神事に奉納された魚で作ったのが起源とされます。
蕪寿司
塩漬けの蕪と塩漬けの魚を麹漬けにしたナレズシです。
現在は鰤で作られることが多く、華やかで美味しいナレズシです。
大根寿司
蕪寿司の「大根と鯖バージョン」です。
椿寿司
椿の葉を使う郷土寿司で、秋祭りのためだけに作られます。
具に塩くじらの皮を用いるところが独特です。
笹寿司
酢飯と魚を笹の葉で包んで作る押し寿司です。
鯖、鮭、鱒、シイラなどが遣われます。
福井県
福井県の郷土寿司です。
鯖のナレズシ
福井県名物のへしこでつくる鯖のナレズシです。
へしこをご飯と麹で熟成させて作るので、非常に贅沢な郷土寿司です。
鮭のナレズシ
鯖のナレズシの要領で、塩漬けにした新巻鮭を用いて作るナレズシです。
ニシンの寿司
敦賀は北前船が寄港する港だったため、北海道から伝わる身欠きにしんが集積されていました。
それを用いたのが【ニシンの寿司】で、敦賀祭りの宵宮の御馳走だったそうです。
鱒の葉寿司
川を遡上してきた鱒と新米で作る、九頭竜川流域の郷土寿司です。
塩と酢で〆た鱒をご飯と一緒にアブラギリの葉で包み、重石をのせて押す押し寿司です。
鯖の棒寿司
越前大野地方に伝わる郷土寿司で、若狭湾の秋鯖を塩漬けにして作る冬の保存食です。
焼鯖寿司
上記の【鯖の棒寿司】とは異なる新郷土寿司です。
三国町の町おこしで2000年に開発されたそうで、今も人気を誇っています。
甲信越エリアの郷土寿司
甲信越エリアの郷土寿司を紹介します。
山梨県
山梨県の郷土寿司です。
信玄鮨
武田信玄が川中島の戦いの時に、沿道の農家で作らせた事が由来とされる郷土寿司です。
葡萄で作ったお酢と塩で酢飯を作り、味噌漬け、梅干し、干し魚などを乗せて笹の葉をかぶせ、桶に詰めた押し寿司です。
ちなみに、日本に葡萄が渡来したのは奈良時代で、 718年に高僧・行基が甲斐国勝沼で甲州種を栽培し始めたと伝わります。
長野県
長野県の郷土寿司です。
謙信寿司(笹寿司)
戦国時代から伝わる押し寿司で、上杉謙信が戦地に携帯した保存食とされます。
笹の葉に酢飯を乗せ、ゼンマイ、椎茸、鬼グルミ、大根味噌漬けの油炒めなどの具を乗せた精進寿司です。
新潟県
新潟県の郷土寿司です。
笹寿司
青笹に酢飯を乗せ、味付けした山菜などを乗せる郷土寿司です。
わらび、筍、きゃらぶきなどの山菜や、野沢菜漬け、大根の味噌漬け、くるみ、人参、ひじき、錦糸卵、田麩など、バリエーションが豊富です。
中部エリアの郷土寿司
中部エリアの郷土寿司を紹介します。
岐阜県
岐阜県の郷土寿司です。
箱寿司
東濃地方に伝わる郷土寿司で、蜂の子やイナゴで作る箱寿司です。
蜂の子やイナゴは佃煮のように炊きます。
朴葉寿司
飛騨地方、東濃地方の郷土寿司です。
川魚の甘露煮や酢鯖、鱒などが使われ、酢飯とともに朴の青葉で包んだ寿司です。
大根寿司
大根、人参、米麹、塩鱒、塩鮭などを混ぜて、桶で漬けて作るナレズシです。
焼いて食される事もあります。
へぼ寿司
クロスズメバチの子を炊いて作る寿司です。
笹の葉で巻くパターンや、押し寿司にするパターンがあります。
静岡県
静岡県の郷土寿司です。
田子寿司
西伊豆の田子地区郷土寿司で、椎茸、干瓢、高野豆腐などで作る押し寿司です。
秋刀魚寿司
西伊豆の安良里港の名物で、秋の秋刀魚を塩と酢で〆て作る押し寿司です。
愛知県
愛知県の郷土寿司です。
鯵寿司
塩漬けの小鯵を酢で一昼夜かけて塩抜きして作る、姿寿司です。
酢飯にもち米を使うところが独特です。
ばら寿司
東照宮の春祭りの際に作られる郷土寿司です。
具は干瓢、干し椎茸、レンコン、穴子、いか、錦糸卵、田麩、さやえんどう、海苔、紅生姜など多様。
モロコの押し寿司
滋賀県や京都府のイメージが強いモロコですが、愛知県では押し寿司にします。
甘辛く煮付けて使うところが愛知県らしい味付けです。
三重県
三重県の郷土寿司です。
アマゴ寿司
三重県の山中では美味しいアマゴが獲れるため、寿司に使われます。
秋刀魚の姿寿司
熊野灘沿岸で食される、郷土寿司です。
1尾丸々の状態で提供するのが一般的です。
カマスの姿寿司
紀北町の八幡祭で必須とされる郷土寿司です。
手こね寿司
奥志摩の漁師が考案した郷土料理で、船上に持参した酢飯に鰹と醤油をぶっかけて、手でこねて混ぜたため【手こね寿司】と呼ばれます。
近畿エリアの郷土寿司
近畿エリアの郷土寿司を紹介します。
滋賀県
滋賀県の郷土寿司です。
鮒鮓(フナズシ)
琵琶湖のニゴロブナと塩、米で作る古来から伝わる、日本の鮨の原点です。
鮒鮓から、押し寿司や棒寿司、握り鮨へと発展していきました。
独特の香りは人によっては臭気ともとられますが、フランスのチーズのように奥深い嗜好品です。
湖魚のナレズシ
滋賀県では、鮒だけでなく豊富な湖魚を用いてナレズシが作られます。
使われる魚は、ハス、ワタカ、ウグイ、鮎、オイカワ、モロコなどで、長期の場合には1~2ヶ月、短期の場合には7日~14日発酵させます。
朽木村・鯖街道の鯖の棒寿司
古来より若狭から京都にかけて鯖が輸送された道が、滋賀県の鯖街道。
現在も鯖の棒寿司を名物とするお店が点在しています。
鱒の早寿司
湖北地方の神事「おこない」の際に作られる寿司で、とれたてのビワマスを使います。
酢飯、鱒、紅生姜、黒ごまと重ねてゆき、3段重ねにして作る押し寿司です。
米原駅の鱒寿司
米原には「醒井養鱒場」という、1878年(明治11年)から続く日本最古の養殖施設があります。
駅弁として、長い歴史のある鱒寿司です。
京都府
京都府の郷土寿司です。
鯖の棒寿司
京都を代表する郷土寿司と言えば、鯖の棒寿司です。
若狭から鯖街道を通って届く鯖は、輸送の過程で塩が入り〆られ、京都で美味しい鯖寿司になりました。
蒸し寿司
京都の冬の名物である郷土寿司です。
ちらし寿司をセイロで蒸して頂くため、熱々で身体が温まります。
藤寿司(黒豆寿司)
丹波産の黒大豆を用いる郷土寿司で、お祝いの席で食されます。
丹後のばら寿司
丹後地方で、早苗饗や秋祭りで振る舞われる、鯖のオボロを用いるばら寿司です。
大阪府
大阪府の郷土寿司です。
種類の多さと洗練は随一で、「大阪鮓」という一ジャンルになっています。
箱寿司
その美しさから「二寸六分の懐石」と呼ばれる大阪鮓を代表する郷土寿司です。
1841年に創業された「吉野鯗(寿司)」が最も有名です。
小鯛雀鮓
1781年に「すし萬」で生まれた、非常に長い歴史を誇る鮓です。
名前の由来は、魚の腹に酢飯を入れると、姿が雀に似ている為です。
太巻き寿司
今や恵方巻で広く食されるようになった太巻きは大阪が発祥です。
江戸でも人気を博していました。
バッテラ
1891年(明治24年)に「寿司常」が考案した押し寿司です。
もともとはコノシロが使用されていましたが、現在は鯖を使用する事が一般的です。
兵庫県
兵庫県の郷土寿司です。
穴子の棒寿司
【穴子の棒寿司】は「兵庫すし組合」が考案したオリジナルの郷土寿司です。
播磨灘の穴子を用いて、香ばしく仕上げます。
ベラ寿司
焼きほぐしたベラを醤油と砂糖で炒り煮にして作ったおぼろを用いる押し寿司です。
住吉講や来客の際に作られます。
奈良県
奈良県の郷土寿司です。
柿の葉寿司
全国的に有名な、奈良県を代表する郷土寿司です。
厳密に言うと吉野地方の郷土寿司で、豊富な柿の葉と保存の為の塩鯖を用いて、おもてなし料理として考案された事が由来です。
鮎のつるべ寿司
創業800有余年を誇る「つるべすし弥助」の名物です。
昔はナレズシでしたが、今はお酢を使う早寿司の形態で提供されています。
とう菜寿司
「とう菜(高菜・春真菜)」の漬け物を使った吉野地方の郷土寿司です。
わさび菜でも作られるそうです。
和歌山県
和歌山県の郷土寿司です。
和歌山県は「郷土寿司王国」です。
鯖のナレズシ
滋賀県に次ぐ古い鮓の歴史を持つ和歌山を代表するのが【鯖のナレズシ】です。
全国でも珍しい、発酵期間を短くした生成れ(ナマナレ)の鮓を頂けます。
柿の葉寿司
奈良県に次いで美味しい【柿の葉寿司】のお店が多い県です。
めはり寿司
高菜の漬け物を用いた野菜寿司で、ローカルながらに知名度が高い郷土寿司です。
目をみはるほど大きい、ことからネーミングされました。
秋刀魚寿司
熊野灘の郷土寿司で、秋の終わりの名物です。
じゃこ寿司
川の雑魚を佃煮にした【じゃこ寿司】には、素朴な魅力があります。
わさび寿司
めはり寿司の変化形のような野菜寿司で、山葵の葉っぱを使います。
鳥取県
鳥取県の郷土寿司です。
柿の葉寿司
山間部の智頭町に伝わる郷土寿司で、塩マスを酢で〆て保存性を高めています。
柿の葉っぱの上に酢飯を乗せ、塩マスと山椒の実を乗せた、綺麗な見た目の郷土寿司です。
賀露地区のシロハタずし
「シロハタ」とは「ハタハタ」のことです。
お米ではなく、酢で味付けしたおからを用いる、おから寿司です。
島根県
島根県の郷土寿司です。
うずめ寿司
竹皮で包んだ寿司飯に人参や山菜を乗せた寿司です。
石見地方のおまんずし
から炒りしたおからを酢、塩、砂糖で調味して、酢飯代わりにした郷土寿司。
青魚をおからで巻いて作ります。
岡山県
岡山県の郷土寿司です。
岡山ばらずし
「ばらずし」文化を持つ岡山の発祥のエピソードは面白く、岡山藩主・池田光正公が、庶民に「一汁一菜の節約令」を出した折、庶民は魚や野菜を酢飯に混ぜれば「一菜」ではなくなると発想して、10数種類の菜を混ぜて編み出したとされます。
こけらずし
【こけらずし】は秋祭りの行事食として伝わる郷土寿司です。
名前の由来は、寿司の形が手斧で木を削った際のクズ「こけら」に似ているためとされます。
サワラのこうこずし
岡山県人に愛されるサワラを用いた寿司で、「こうこ」=沢庵の古漬けを混ぜ込んで作ります。
サワラの祭り寿司
春告げ魚のサワラを酢で〆て作る郷土寿司。
春の行事に作られます。
どどめせ
【どどめせ】は、炊き込みご飯に酢を混ぜた、珍しい「炊き込み寿司」です。
鎌倉時代末期から造られているそうで、現在のばら寿司の原型とされます。
ままかり寿司
ママカリ=サッパを用いた郷土寿司で、現在も知名度が高いです。
美味しくて食が進み、隣の家にママ=ご飯を借りに行くほど…と言うのがママカリの語源です。
広島県
広島県の郷土寿司です。
あずま寿司
おからを用いる郷土寿司で、種はママカリ、コハダやコノシロなど。
秋祭りや正月に来客に振る舞われる、ありがたい寿司です。
因島地方のしば寿司
小鯛、ママカリ、針魚などの小魚やタコを野菜と混ぜて、麹とご飯で発酵させてつくる飯寿司です。
蓼粉も用いる事があるようです。
ばら寿司
春の貝の時期に作られ、節句や花見のご馳走になります。
具は浅蜊、鯛、穴子、スズキ、海老、干し椎茸、ニンジン、ごぼう、レンコン、蕗、卵焼きなど。
山口県
山口県の郷土寿司です。
岩国ずし
有名な大型の押し寿司で、「殿様寿司」とも呼ばれます。
海の幸と山の幸を用いる豪華な寿司です。
あんこ寿司
「あんこ」と聞くと甘い寿司なのかと驚きますが、野菜を調理した餡を酢飯に射込んで作る郷土寿司です。
お祭りやお祝い事で作られる押し寿司です。
唐寿司
三枚におろしたコノシロに藻塩を振り、酢洗い、酢漬けにして、生姜、煎った麻の実と作る郷土寿司です。
ボール状の白米をコノシロで巻いて作ります。
徳島県
徳島県の郷土寿司です。
アメゴの姿寿司
川でとってきたアメゴ=アマゴを用いる、おもてなし用の贅沢な郷土寿司です。
イナの姿寿司
ボラの幼魚、イナを塩で〆て、酢漬けにして作るお祭りのための郷土寿司です。
鰺の押し寿司
鰺を頭ごと酢に漬けて、7時間以上かけて柔らかくして、頭まで食べる縁起物です。
こけら寿司
【岩国寿司】のように多層的な押し寿司です。
使用するお酢は柚子酢で、焼き魚の身を混ぜる点に独自性が光ります。
ボウセの姿寿司
「ボウセ」とは、東京ではエボダイ、大阪でウボセ、北九州でシズと呼ばれる魚。
酢〆したボウセと、酢橘の搾り汁で作った寿司飯を合わせ、頭ごと食べる姿寿司です。
香川県
香川県の郷土寿司です。
海老のそぼろ寿司
きめ細かく炒って作った小エビと玉子のおぼろを用いるカラフルな郷土寿司です。
酢飯は俵状に握り、おぼろをまぶします。
押しぬき寿司
讃岐を代表する郷土寿司で、型に酢飯を入れて、酢飯の間に煮た野菜を、そして、上にはサワラ、山椒、空豆、エビ、卵焼き、きぬさやなどを乗せた彩り豊かな寿司です。
昔は魚介を塩と酢でしっかり〆て、数日もつ保存食として作られたそうです。
ひっかり寿司
ひっかり=ひき割り麦70%、白米30&の酢飯を用い、糸水菜で作る野菜の混ぜ寿司です。
糸水菜は茹でて刻み、醤油で煮て味をしっかり付けます。
愛媛県
愛媛県の郷土寿司です。
もぶり鮓(松山鮓)
エソやトラハゼなどの小魚を、小魚の出汁を用いた甘めの酢飯と合わせ、穴子や野菜を散らしたちらし寿司です。
「もぶり」とは「混ぜ」を意味します。
丸寿司
米に恵まれなかった宇和島市保田地区で作られる郷土寿司で、お米の代わりにおからを使います。
魚は豊富なので、鯵、甘鯛、小鯛、針魚、カタクチイワシなどが使われます。
高知県
高知県の郷土寿司です。
田舎ずし
高知を代表する郷土寿司で、山の幸を用いて造ります。
現在も人気があり、道の駅や「日曜市」で入手できます。
かいさま寿司
「かいさま」とは「さかさま」を意味し、魚を裏返しにして酢飯に乗せて作ります。
魚はタチウオが一般的なようです。
鯖の姿寿司
皿鉢料理で定番の姿寿司で、背開きにした鯖を用い、柚子酢で〆て作ります。
頭を焼いて食べることもあるそうです。
福岡県
福岡県の郷土寿司です。
柿の葉寿司
秋の「おくんち」で振る舞われる御馳走です。
酢飯には人参、椎茸、牛蒡、鶏などを甘辛く煮付けたものを混ぜるところが福岡らしく、それを酢〆した魚と合わせ、柿の葉でつつみ、木箱の中で押して作ります。
久留米地方のカマスの姿寿司
塩と酢で〆たカマスを用いる姿寿司です。
佐賀県
佐賀県の郷土寿司です。
須古寿司
白石町須古地区でる造られる、お祭りやお祝いの為の箱寿司です。
室町時代から500年以上の歴史を誇り、、有明海のムツゴロウの蒲焼きを用いるところがユニークです。
長崎県
長崎県の郷土寿司です。
大村寿司
長崎空港に近い大村市に伝わり、500年以上の歴史を誇る郷土寿司です。
現在でも家庭に伝わり、専門店も存在しています。
熊本県
熊本県の郷土寿司です。
鮎の姿寿司
球磨川流域の郷土寿司で、鮎を丸々用い、昆布出汁の酢飯を合わせます。
コノシロの姿寿司
お祝いや祭り事で食される縁起物です。
酢飯ではなくおからを用いる【コノシロの卯の花寿司】もあります。
南関あげ巻き寿司
油抜きした南関あげを甘辛く煮て、海苔の代わりに用いる巻き寿司です。
ぶえん寿司
漢字表記は「無塩」で、塩で〆なくても生で食べられるほどに新鮮と言う意味。
白身魚から青魚まで色々用いられます。
大分県
大分県の郷土寿司です。
お方寿司
大分市竹中地区の郷土寿司で、焼き鯵に煮豆を合わせるところが独特です。
カチエビちらし寿司
宇佐市長洲の郷土寿司で、カチエビ=10cmほどのアカエビを用いるちらし寿司です。
鯖の姿寿司
日田市大山町の郷土寿司で、日田地方が天領だったために京都から伝わったそうです。
茶台寿司
臼杵市の郷土寿司で、椎茸、蓮根、きぬさや、筍など野菜を用い、酢〆したゼンゴアジ(5~13cmの鯵)と合わせる事もあります。
とっきん寿司
日田市津江地方の郷土寿司で、「とっきん」=頭巾の形をした、三角形の稲荷寿司です。
丸寿司
佐伯市米水津の郷土寿司で、小鯵を丸ごと一匹用いた姿寿司です。
物相寿司
中津市三光の郷土寿司で、読み方は「もっそうずし」。
岩国寿司、大村寿司のような大型の押し寿司です。
焼きタケノコの姿寿司
竹田市九重野の郷土寿司で、筍の名産地らしく、ゆがいた筍に鶏肉、椎茸などを混ぜた酢飯を詰めて作ります。
宮崎県
宮崎県の郷土寿司です。
魚寿司・いお寿司
鯖寿司の宮崎での呼び方で、高知から伝わったとされる姿寿司です。
筍寿司
北方町の郷土寿司で、5~6月の黒竹の筍を塩蔵しておき、砂糖と醤油で薄味を付けて煮てタネにする寿司です。
日向ばら寿司
日南特産の鰹の生節を用いる、生節のばら寿司です。
鰹の生節だけでなく、鯵、鰯、鯖などの干物も混ぜる点がユニークです。
鹿児島県
鹿児島県の郷土寿司です。
酒寿司
お酢の代わりに酒を用いる、ちらし寿司です。
現在も頂けるお店がありますが、車の運転者は禁食となっています。
さつますもじ
【酒寿司】は上級武士の寿司で、【さつますもじ】は庶民に親しまれてきたちらし寿司です。
春に筍を用いて作ることが多いようです。
沖縄県
沖縄県の郷土寿司です。
大東寿司
沖縄本島から東へ約400㎞に位置する南大東島の郷土寿司で、八丈島から移住者した開拓民が生み出しました。
オキサワラやマグロが使われる点が、伊豆諸島・小笠原諸島の島寿司とは異なる点です。
まとめにかえて:参考サイト・参考文献リスト
以上で、郷土寿司の紹介記事を終えます。
まとめに変えて、記事の最後に参考サイトや文献リストを紹介して終えたいと思います。
【参考サイト】
【参考書籍】
農山漁村文化協会:聞き書・ふるさとの家庭料理〈1〉すし・なれずし
篠田 統:すしの本
全国の郷土寿司の中から、特に好きなもの、面白いものをまとめた記事になります。
より詳しく知りたい方はご参照ください!
今後も、全てのスシを探求しようと思う、すしログ(@sushilog01)でした。
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