こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
さて、今回の「鮨 あら喜(あら㐂)」さんは、目を皿にしたような鮨店リサーチで、目に留まりました。
食べログの口コミ数は7件、スコアは3.09ほど。
しかし、写真を見る限り親方のスキルは高い。
スコアとスキルにミスマッチが生じているなと感じましたが、実際に訪問して乖離が大きい事を確認しました。
本来であればエリアトップクラスの人気を誇ってもおかしくはありません。
すしログ
実は、人気が高まりすぎるのを恐れて記事を書くのを止めようと思いました(笑)
しかし、親方の努力が世間に伝わった方が良いと感じたので、筆を執ります!
洗足「鮨 あら喜(あら㐂)」の魅力とは?
「鮨 あら喜(あら㐂)」の親方は荒木甲介さんで、16年以上のキャリアがある、たたき上げの鮨職人さんです。
修業は自由が丘の芸能人御用達のお店「鮨幸」に入られたそうです。
そして、四番手になった頃、二番手を務めていた現「鮨 尚充」の安田親方とタッグを組み、二階を担当していたとのこと。
その経緯もあり、その後、「鮨 尚充」でキャリアを重ねられました。
しかし、その後面白いのが、資本系であるすし天グループに入られたところ。
すし天グループは「すし天」「まんてん鮨」「SUSHI TOKYO TEN」を展開する株式会社シーエージェントです。
個人店から資本系に入られるとは珍しいですが、勉強熱心な親方ならではだと感じました。
そして、気になる仕事はかなり個性的です。
例えば、魚は熟成してマイナス60℃で冷凍するスタイルです。
もちろん全ての魚がそうではありませんが、多数の魚にその処置を施し、独特の味を生み出しています。
冷凍!?と思われる方も多いかもしれませんが、マイナス60℃の超急速冷凍だと、解凍さえ巧く行えば食材の劣化はありません。
「あら喜(あら㐂)」さんのタネについても、言われなければ気付きません。
親方は熟成仕事に長けていて、魚の旨味、香り、食感のバランスが良いです。
魚の多くは西日本のものを使用していて、広島、愛媛、大分、長崎を好んでおられます。
繊維質がしっかりした魚が多いので、熟成仕事に向いているのだと思います。
そして、鮨の生命線であるシャリ。
かなり硬めの炊き加減で、親方いわく「超アルデンテ」ですが、芯が残った炊き加減ではないので絶妙だと思います。
当然の事ながらパラっとほどけ、温度はやや高め。
これが、熟成仕事に合うと感じました。
サイズ感も大きめで、男前のシャリです。
面白いのが、使用しているお米が新潟の「新之助」である理由。
親方の息子さんと同じ名前だから使っているそうです。
ただ、生産者は限定したり、炊き加減を工夫されたりと、使用する必然性も持っています。
生産者は糸魚川の清耕園ファームさんとの事です。
そして、鮨用のお米ではない「新之助」を鮨飯にすべく、研いでから6分で炊き上げているそうです。
絶妙な炊飯技術だと感じました。
使用するお酢は4種類で、私市、内堀醸造の美濃三年酢、ヨコ井の琥珀と白寿です。
塩は岡山の「瀬戸内の花藻塩」で、砂糖も上品に用い、キビ砂糖を選択。
味付けは酸味も塩気もバランスが良く、4種と多めのお酢のブレンドであっても、バチッと味が決まっています。
最後に、お店の特徴としては日本酒の品揃えです。
30種類ほど用意されていて、珍しいお酒も頂けます。
そして、良心的な価格設定。
お酒好きならパラダイスと言えるお店でしょう。
…ただ、握りが入るお腹のスペースは確保しつつ、酔わないよう紳士的に!(笑)
結論として、かなり個性を感じるお店でしたので、折を見てお伺いしようと決めました。
洗足「鮨 あら喜(あら㐂)」のおまかせの詳細
この度頂いたおまかせは酒肴7品、握り12貫、巻物+椀、玉子で構成されていました。
酒肴と握りが織り交ぜられるスタイルですが、酒肴は鮨店らしい控えめなものばかりなので、終始握りに集中して頂けます。
酒肴は意図的に塩気を強めに作られているそうで、確かに結構強いアタリです。
お酒を半合ずつ4種類、合計2合頂き、お会計は22,000円。
費用対満足度の高い鮨店です。
頂いたお酒のラインナップ
- 貴、特別純米 ふかまり
- 東洋美人、限定純米吟醸 醇道一途 羽州誉
- 飛露喜、特別純米 かすみざけ
残り1銘柄は失念してしまいました、すみません(笑)
天然岩もずく
能登産。
強めのお酢でキリリと爽やかに。
ジャクジャクと力強い食感が魅力。
赤ナマコ
三浦・走水の旬の走りのナマコ。
香りが良い。
ガリ
酸味と辛味がスッキリしていて、甘みも強めだが、バランスが良い。
パクパク食べるのではなく味チェンになるガリだ。
九絵
2週間熟成で、右が塩、左が昆布〆2時間。
唐墨を挟んで提供。
唐墨を使う理由は、酒肴に仕上げるためではなく、九絵にアクセントを加えるためとの事。
身は熟成モノらしく、しっとり、ホロホロ。
昆布〆が魅力的で、みっちりした食感と塩気に唐墨が良き相性。
縞鯵
今治産(藤本さん?)。
身はとろりととろけ、瞬時にシャリと合致する。
乳化的な妙を味わえ、名刺代わりの一貫目としてお店の個性を十分に表現している。
アオリイカ
佐島産。
冬にアオリイカ!?と意表を突かれたが、これが面白い。
アオリイカらしく、とろっととろけるが、その後にゴワリと歯応えを示す。
そして、大葉の香りが上品にふんわりと漂う。
大葉は少量で、切り付けのサイズが良い。
とにかく食感が個性的なアオリイカだ。
白子の茶碗蒸し
茶碗蒸しと白子のテクスチャーのズレが無く、美味い。
イサキ
山口産。
ぷちっと弾け、皮の食感も程良く楽しませ、歯応えを表現しているのが魅力的だ。
脂が強いため親方のシャリと合い、美味。
漬物
大根、牛蒡、榨菜。
鰯
白眉!
いやあ旨い!
脂が非常に乗っている鰯をしっかりと〆ている。
〆の仕事とシャリによって、鰯の脂が他の調理法では決して味わえない程の感動レヴェルに昇華されている。
鰯の産地は北海道。
個人的に、お店のシグネチャーとなり得る一貫だと感じた。
牡蠣
仙鳳趾産。
大きめの方はとろりときめ細かい。
味付けがしっかりしている完全に日本酒仕様の漬け込みだ。
カマス
能登産。
塩気を利かせた一夜干し。
牡蠣と同時にご提供頂いたが、同時の場合、アタリは弱くても良いかも。
鰤
大根おろしと頂く、鰤しゃぶスタイルの握り。
鰤の脂は先日新潟で頂いたものに落ちるが、仕事で旨くする鮨の魅力を感じさせてくれる。
赤貝
香り良く、甘い赤貝。
旨味は圧倒的とは言えないものの甘みが特徴的だった。
産地は宮城との事なので閖上だろうか。
白海老
これは安定の甘み。
生姜を少量し、それが爽やかで、使用量も良い。
鮪トロ
脂がありつつ酸味もあり、香りも中々。
包丁仕事が良い。
小鰭
天草産。
みしっとした、しっかりした〆で、酸味を浸透させつつ小鰭の旨味も引き出している。
香りも良い。
親方の確かな修行と技術を感じさせる〆。
鮪赤身
みっちりした身で、香りが良い。
香りがこみ上げてくるので咀嚼する喜びがある。
海胆軍艦
ややミョウバンの収斂味が気になった。
2021年は海胆がかなり厳しい年だ。
穴子
対馬産。
繊維質を残し、味付けはサッパリと。
椀
濃厚なあら汁ベースの味噌汁
表面に層をなす脂は好みが分かれるところで、個人的には濾しても良いかと感じる。
しかし、濃厚なあら汁を絶賛する方がいらっしゃるのも分かる。
巻物2種類
干瓢と鮟肝。
山葵を利かせた食感強めの干瓢で、甘みがある。
鮟肝には奈良漬を合わせ、煮ツメを。
出汁巻き玉子
甘みのある出汁巻き玉子。
洗足「鮨 あら喜(あら㐂)」の立地と雰囲気
お店は洗足駅からほど近い場所にあります。
駅自体が閑静な高級住宅街なので、降り立った時から落ち着いています。
お店の内装は上質ですが、建物の物件契約の都合上、既に2年後の移転が確定しているそうで、木目シートなどを効果的に使用されています。
安っぽさが無く、工夫されていると感じました。
お店は若い方から熟練の方まで幅広く使える雰囲気です。
場所柄、芸能人や政治家、実業家などセレブな方もいらっしゃるように感じました。
洗足「鮨 あら喜(あら㐂)」のお店情報と予約方法
お店の予約はお電話のみになります。
現状、予約は取りやすいようなので、気になる方はお早目の訪問がベターかと!
個人的に、かなりの人気が出るように感じますので…
店名:鮨 あら喜、あら㐂(すし あらき)
予算の目安:20,000円~25,000円
TEL:03-6421-6660
住所:東京都目黒区洗足2-24-12
最寄駅:洗足駅から80m
営業時間:18:00~23:00
定休日:日曜(月曜が祝日の場合は日曜営業)
食べログ低スコアのお店開拓が大好物な、すしログ(@sushilog01)でした。
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