こんにちは、宮島が好きすぎて50回以上も渡島している、すしログ(@sushilog01)です。
さて、広島が誇るレストラン「AKAI」さんに2021年5月以来、2年ぶりの訪問を果たしました。
結果的に、前回以上の感動を覚えました。
赤井シェフの御料理は、食後に穏やかな感動が長く持続するところが大きな魅力です。
油脂や強い塩分、強烈な旨味に慣れた現代人の舌を刺激してくれる繊細な料理だと思います。
繊細な味覚のバランスで舌を刺激してくれるところが凄く、しかも更に深化されているところに驚嘆を覚える次第です。
赤井シェフのアプローチは交流人口が多い大都市でも行いづらい引き算の手法。
広島の宮島口と言う土地で表現されている点に驚嘆を覚えます。
結論として、AKAI(アカイ)さんは、全国、全世界から伺う価値のある一軒です。
現状、ミシュランは無冠ですが、ミシュランの定義は以下の通り。
- 1つ星:そのカテゴリーで特においしい料理
- 2つ星:遠回りしてでも訪れたい料理
- 3つ星:そのために旅行する価値のある卓越した料理
この定義によれば、AKAI(アカイ)さんは2つ星以上が妥当と言えます。
タップできる目次
シェフの赤井顕治さんは、もともとフレンチ出身です。
しかし、現在提供されている御料理はジャンルにとらわれておらず、和食のエッセンスも感じさせる独自性の高い御料理です。
初回訪問時に頂いたコースの内容を挙げると、このような内容です。
- スナップエンドウのお粥
- もずくとバージンオイスターの酢のもの
- オコゼのスープ
- 羊のつくねの炭火焼き、マッシュポテト
- 太刀魚の炭火焼き、焼き茄子のソース
- 鹿の炭火焼き
- サクラマスとグリーンアスパラガスのご飯
- レモンとリコッタチーズのアイスクリーム
- プリン
- 珈琲
そして、2回目に頂いた内容は以下の通り。
- 玉ねぎのにえばな
- 鮎の洗い
- オコゼとオクラの椀
- 三良坂フロマージュ松原正典さんの仔牛のソーセージ
- 真魚鰹の炭火焼き
- 広島県産夏野菜と鼈のジュレ
- 桜の山農場の豚肉のロースト
- 蛸めし
- リコッタチーズのアイスクリーム
- プリン
- 珈琲
調理法についても料理の構成についても、非常に独特です。
淡い味の御料理で気持ちをたかぶらせながら、お店のメインの熱源である炭火で一気に盛り上げます。
しかし、それでいて香りも味わいも行きすぎず、穏やかで深い感動へと導きます。
お店の区分としては「イノベーティブ」に当たるかもしれませんが、塩気の使い方は日本料理のようです。
油脂は付加されることが殆ど無く、仕上げにオリーブオイルを用いる程度(再訪時には、これすら控えておられました)。
乳化を用いないので、食味が常に軽やかです。
そして、酸味の使い方はモダンな西洋料理よりも控えめ。
モダンな料理のコースは酸味で連続性を高める手法がとられがちですが、赤井さんは同一味覚の連続を避けられているように思いました。
御料理は一言で言うと、シンプル。
しかし、誰が見てもシンプルなのに、味は奥深く、味覚と嗅覚を最大限に刺激されます。
すっと腑に落ちる味わいで、難しい事を考えずに、奥深い味の世界に引き込まれる御料理です。
食材の温度や包丁の入れ方に微細な配慮を行っていることは明白。
よって、一見するとシンプルな御料理なのに、いざ口に運ぶと緻密に組み立てられた味が感動へと導いてくれる、ドラマティックな御料理です。
シェフは1983年生まれの新進気鋭のシェフであり、お店は2019年5月のオープンから2年ほどしか経過していませんが、既に研ぎ澄まされたセンスと風格を感じます。
赤いシェフは前述の通り、もともとフレンチ出身です。
広島のワインバーで厨房責任者を務めた後、フランス料理を学ぶべくフランスに渡りました。
そして、「ル・ルレ・ルイ・トレーズ(ミシュラン2つ星)」や「ラ・メゾン・ピック(ミシュラン3つ星)」で修業されました。
帰国後、アーククラブ迎賓館広島などを経て、独立されました。
アーククラブ迎賓館広島在籍時には、RED U-35で何とグランプリを受賞された経歴を持ちます。
RED U-35は、若手料理人の才能発掘プロジェクト“RED” PROJECTが主催するコンテストです。
かなりの料理マニアでなければ知らないかもしれませんが、業界をにぎわす凄いコンテスト。
同郷の広島から凄腕の若手シェフが誕生された時は、心から嬉しかった。
お話をお伺いして感じたことは、食材愛に満ちた方で、食材・料理で季節を表現することを心から楽しんでいると感じました。
そして、センスでブチ抜かれている方だなと。
まあ、お話を伺ずとも御料理に使われている食材を見れば分かるのですが、お話を伺うと予想以上でした。
例えば、鹿。
ある時、使用されている鹿について違和感を覚えた赤井シェフは、ハンターの加工場に足を運んだそうです。
そして、狩猟と加工の現場を確認した上で、別の仕入れに変更する事を決意。
生産者のもとへ足を運び、仕入れを精査するストイシズムに感銘を覚えました。
赤井シェフの御料理は、このような行為の積み重ねで成り立っているのだと感じます。
食材の味がピュアで、手当てが良いからこそ洗練された調理が可能になるのだと思った次第です。
コースはおまかせのコース一本で、昼夜ともに16,500円で税サ込です。
内容を考慮すると非常にリーズナブルです(お酒を飲める人は頼んであげてください笑)。
2023年7月に頂いた御料理です。
- 玉ねぎのにえばな
- 鮎の洗い
- オコゼとオクラの椀
- 三良坂フロマージュ松原正典さんの仔牛のソーセージ
- 真魚鰹の炭火焼き
- 広島県産夏野菜と鼈のジュレ
- 桜の山農場の豚肉のロースト
- 蛸めし
- リコッタチーズのアイスクリーム
- プリン
- 珈琲
初訪問時には行政の「コロナ対策」による「禁酒法」が発動していたので飲めませんでした。
なので、再訪時には満を持してペアリングで頂きました。
玉葱の甘味と香りを満喫し、「にえばな」ながら粒を感じ、ぱらりとリズミカルにほどける。
生姜の香りとお酢?の酸味で極上品に爽快感を加える。
山口県・宇佐川の天然モノの鮎。
頂く前からキュウリの香りが広がる。
身はぷっちりと弾け、鮎の脂と旨味が上品に広がる。
肝ではなく鮎の身の旨味をピュアに楽しませてくれる手法で、しっかりと味わい深い鮎だ!
キュウリには花穂紫蘇と茗荷を加え、食感含めて清涼感がある。
酸味も程良く、美味。
瀬戸内産のオコゼ。
肉厚で、みちっとした食感が気持ち良い。
そして旨い。
オクラのとろみと青い清涼感を加え、極僅かに木ノ芽を忍ばせている。
吸い地は鰹のまろやかな出汁で、鰹節の香りを抑えているところが良い。
過去よりも「椀」としてのスタンスを明確にされている。
これは誰もが問答無用で「旨い!」と感じるはずだ。
肉の旨味を活かし、脂と塩気は控え目。
人参のピュレの甘味で肉の味わいの輪郭を鮮明にする。
また、食感も良い。
もぎゅっと力強く、それでいてジューシィ。
肉の香りも楽しませつつ炭火炙りの燻香を程良く付ける。
スパイスやハーブなどを乗せない点が赤井シェフらしい。
福山・鞆の浦産。
まず旨味が強い!
一口目は「上品」と思われそうだが、皮目に調味料を塗って焼いているようで、ちゃんとパンチがある。
そして真魚鰹自体の旨味とも調和している。
真魚鰹は旨味と脂が強い魚だが、それ故に強い味付けを施す料理人が非常に多い。
よって、アンチテーゼとしての仕事で上を行く味を表現される姿勢に惚れ惚れする次第だ。
キャベツの甘味に酸味を乗せたソースも個性的。
鼈は山口県産。
野菜の味わいと食感のメリハリが素敵。
ジュレは綺麗な味だが、パンチが凄い!
旨味やゼラチン質を取り出して、ネガティブなところは皆無。
酸を付けていないところが良い。
唯一、ガリのパーツ単位で酸を加えているのみだ。
野菜は甘唐辛子、スナップえんどう、トマト、ズッキーニ、茄子など。
豚肉は力強い繊維質で、もぎゅっとした食感が魅力だ。
そして、じゅわりと肉汁と共に酸味を感じ、これが気持ち良い。
脂はひたすら甘い。
部位で食感と味のグラデーションが大きい、実に味わい深い豚肉だ。
山椒がピリピリと辛いソースも魅力。
地蛸を用いた蛸めし(広島の郷土料理)とは嬉しい!!
しかも蛸の食感を残す蛸めしで、実に良い!
柔らかくもコリッとした食感の蛸は旨味が鮮烈で香りも抜群である。
薬味の梅と大葉が爽やかで、時折胡麻の香ばしさが上品なアクセントになる。
三良坂フロマージュのリコッタチーズを使用し、前回加えていたレモンは不使用。
口溶けが良く、甘味が軽くて、コクがある。
爽やかに味わい深いアイスクリーム。
見た目通り濃密な味わい。
口当たりも玉子のコクも濃密で旨い。
2021年5月に頂いた御料理です。
水出し緑茶
水出し焙じ茶
広島も緊急事態宣言&禁酒法が発動していたので、お茶をご用意されていました。
【水出し緑茶】は旨味がたっぷりで香りも良く、一口ごとに飲みごたえのあるお茶。
【水出し焙じ茶】は肉料理のタイミングで頂きましたが、ほのかな苦味が鹿肉に合い、口の中の味をキリッと引き締めてくれるお茶でした。
ノンアルコールドリンクはアルコールよりも味覚に寄り添うことができるのかもしれないと感じます。
コースの内容
- スナップエンドウのお粥
- もずくとバージンオイスターの酢のもの
- オコゼのスープ
- 羊のつくねの炭火焼き、マッシュポテト
- 太刀魚の炭火焼き、焼き茄子のソース
- 鹿の炭火焼き
- サクラマスとグリーンアスパラガスのご飯
- レモンとリコッタチーズのアイスクリーム
- プリン
- 珈琲
スナップエンドウのお粥
「スナップエンドウは世羅の山本さんのものです」、と開口一番に生産者さんの紹介をされるところが素敵。
赤井シェフの人となりが解った。
スナップエンドウの甘みにオリーブオイルの清々しい青い香りが混ざり、爽快なお粥。
お米には塩を利かせつつ、全体のバランスが素晴らしい。
一皿目から感嘆を覚え、赤井シェフの技量を感じた。
もずくとバージンオイスター
初夏なのに抜群に美味しい江田島産のバージンオイスター。
もずくは倉橋島産。
牡蠣のピュアな甘みと塩気、香りと、もずくのぷるぷる食感が渾然一体となり、海を感じさせる。
ジュレの酸味も含めて味覚の一体感が抜群。
口に残る香りと余韻も抜群で、しばし呆然となる。
オコゼのスープ
平田農園の空豆とうすいえんどうを使用。
オコゼはぷりぷりな食感の後に繊維がホロリとほどけ、旨味が広がり、香りも楽しめる。
これは瀬戸内の夏の香りだ。
ぷるぷるした食感の皮を残している点も魅力。
オコゼの旨味と野趣に豆の香りと甘みを合わせ、木ノ芽で爽やかにまとめる。
雑味が皆無でクリアなスープは芸術的な瀬戸内海のコンソメ。
端正な味わいの中に優しいまろみもあるスープである。
羊のつくねとマッシュポテト
三次・三良坂フロマージュで育てられている羊を使用!
つくねは炭火でじっくりと火入れしている。
骨や筋もミンチしている点が「つくね」、古い日本料理用語で言う「丸」のようで、面白い。
味付けはピリ辛で、カルダモンの香りをまとわせていて、旨い!
出島と言う品種のマッシュポテトは非常に甘く、羊つくねとの相性が良かった。
太刀魚、焼き茄子のソース
太刀魚は唐津産。
太刀魚のゼラチン質と香りに、焼き茄子の香ばしさをピッタリ合わせている。
上品に用いられた針生姜が味を引き締める!
焼き茄子にお米(お粥)を提供前に混ぜて、お米の粘度で一体化させているところが魅力的。
それでいて、お米の存在感が非常に穏やかなところが良い。
鹿の炭火焼き
安芸高田産の鹿で、抜群に美味しい。
実に旨い。
爽やかなのに旨い。
肉質はむっちりしているが、しっとりとほどけるテクスチャーだ。
香りは蝦夷鹿よりも数段上品。
ソースにもセンスを感じ、鹿のジュとマディラ酒を用い、油脂を用いずとも満足させるソースに仕上げている。
山葵は本山葵を鮫皮おろしでおろされていて、抜かり無い。
鹿の火入れはスチコン+炭火かと思ったが、炭火のみで休ませながら火入れされているとのことで、見事!
サクラマスとグリーンアスパラガスのご飯
ストウブで炊いたご飯と、炭火で焼いたサクラマス、三次の岡本農園のグリーンアスパラガスと、大変魅力的な組み合わせ。
木ノ芽、チャイブをあしらっている。
アスパラガスの香りと甘み、ホロ苦さが良い。
脂たっぷりな養殖鮭のハラスを用いる日本料理人に見習って欲しい〆のご飯だ。
レモンとリコッタチーズのアイスクリーム
大崎上島のレモンと三良坂フロマージュのリコッタチーズのアイスクリーム。
レモンの風味のみならずホロ苦さまで表現されている点に惚れる。
リコッタチーズのコクが軽やかに調和し、大変爽やかで夏らしいアイスクリームだ。
プリン
今まで食べた中で一番美味しいプリンとの出会い。
濃密なカスタードクリームのようなチーズのようなプリン。
濃密なのに甘みもコクも行き過ぎていないため、食べ終わるのが残念にすら思えてくる。
三良坂フロマージュのミルクと卵を使用しているそうだ。
珈琲
苦みとコク主体で美味しい珈琲。
器は見ての通りだが、ロイヤルコペンハーゲン。
WEB予約については、ぐるなび、Pocket Concierge経由で可能です。
と言うか、電話番号は非公開なので、WEB予約が前提のようです。
店名:AKAI(アカイ)
予算の目安:昼夜ともに16,500円(税サ込)
住所:広島県廿日市市宮島口4-3-41
最寄り駅:広電宮島口駅・JR宮島口駅から600m
営業時間:昼12:00(11:45-12:00までの入店)、夜19:00(18:45-19:00までの入店)
定休日:木曜、金曜
広島に美味しいお店があり心から嬉しい、すしログ(@sushilog01)でした。
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