予約必須な絶品最中、空也
こちらは東京を代表する和菓子の名店で、全国に多くのファンがいらっしゃいます。
名物の最中は銀座本店のみでしか入手できず、しかも7,000~8,000個が朝10時の開店と同時に売り切れると言う入手難度の高さ。
これは和菓子の中でもトップクラスでしょう。
創業は1884年(明治17年)と古く、創業のエピソードが面白いです。
初代は江戸城に出入りする畳屋だったそうですが、大政奉還に伴い失職してしまいました。
そこで、日本橋の榮太樓總本鋪の主人から職人を集めて和菓子屋を開業するようすすめられ、池之端(上野)に店舗を出したそうです。
同じく最中が名物で、大政奉還に伴いお店を畳もうとした壺屋総本店とは異なるエピソードで興味深いです。
屋号の由来は「踊り念仏」で有名な空也上人です。
京都の六波羅蜜寺に像があり、口から仏が飛び出ている、あの空也上人ですね。
初代は「関東空也衆」に属していたため、屋号を「空也」とし、名物の【空也もなか】の形を踊り念仏で使用する瓢箪(ひょうたん)としたそうです。
また、最中で勝負を決めた理由は、友人である9代目市川團十郎の楽屋を訪問した際、最中を火鉢で炙って出してくれたことがヒントになったそう。
そのお陰で「香ばしい最中」である【空也もなか】が編み出されたとのことです。
初代の尽力の成果か、数々の文豪から愛され、特に夏目漱石先生は『吾輩は猫である』に書くほど好物だった模様です。
しかし、後継ぎがいなかったため2代目は大番頭が継ぎ今も5代目が暖簾を守っています。
そして、驚くべきことに2代目だけでなく、続く3~5代目も全て職人ではないところが特徴でしょう。
さらに驚くべきことに、5代目の山口彦之さんは若者にも訴求力の強い和菓子の新業態をオープンしつつ、「DJアンコマン」として活動する異色の経営者!
「昨今の和菓子離れに対する危機感」から、音楽と和菓子とお酒を楽しむイベントを主宰されているとは、いち和菓子好きとして惚れ惚れします。
【あんこエナジードリンク】なんかも振り切ってるな…
ただ、一見すると素っ頓狂で斬新な新商品であっても、本質が備わっているとスタイリッシュに感じることを教えてくれますね。
ただのミーハー商品とは一線を画します。
話を最中に戻しましょう。
実は今回、近場のてんぷら近藤さんに伺うため、夕方にふらっと覗いてみました。
予約なしです。
ごくごく淡い期待程度だったのですが、何と在庫があったので、速攻で入手!
こちらは通常だと1週間前くらいには予約する必要があるので、非常にラッキーでした。
空也もなかの魅力、美味しさとは?
【空也もなか】は皮から魅了され、箱を開けた瞬間に香ばしさが漂います。
細かい話となりますが、昔と並べ方が変わっていました(笑)
↑昔の並べ方。
空也の最中は、よくある安い最中のように食べている途中に皮がもろっと崩れる事がありません。
皮は日本橋茅場町の江戸時代から続く老舗、種萬から毎朝仕入れているそうです(業界用語で「種」=最中の皮との事)。
そして、餡も皮に負けないくらい香りが良いです。
東京の最中菓子らしく甘みが強めですが、上品に感じさせる塩梅。
餡は粒餡となり、粒が多すぎず、小豆の食感も感じさせる炊き加減です。
使用する小豆は北海道の契約農家が減農薬で育てたもの。
皮と同じくその日の分を朝に炊いているそうです。
僅か2~3口のサイズでありながら、一つで強い存在感を与える最中だと思います。
空也もなかのオススメの食べ方
また、着目すべき点が、当日でなくても美味しいところ。
いや、むしろ個人的には3日目がベストの美味しさだと感じました。
日が経過しても皮は食感を維持しており、餡から程良く水分が抜け、一体感が高まります。
もちろん作った当日の新鮮な味も美味しいのですが、日を置いて美味しい最中と言うのは珍しいです。
賞味期限は1週間との事なので、日を置いて食べ比べすると好みの味を見つけられると思います。
最後に、【空也もなか】以外の名物として【空也もち】があるそうです。
これは年に2回しか発売期間が無く、それぞれ11月と1月中旬~2月中旬との事です。
絶品との評判があり、他の生菓子も興味深いので、機会を見つけて頂きたいと思います。
今なお美味しく真面目な御菓子作りをしている老舗に出会うと嬉しくなりますね。
添加物を多用する老舗も無きにしも非ずなので…
これからも美味しい御菓子作りをされる事を!
空也さんのお店の情報
空也(食べログのリンク)店名:空也(くうや)予算の目安:10個入1,030円最寄駅:銀座駅から170mTEL:03-3571-3304住所:東京都中央区銀座6-7-19営業時間:月~金10:00~17:00、土10:00~16:00定休日:日曜、祝日
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