こちらは創業を何と1392年にまで遡る、京都の老舗中の老舗です。
日本史で言うところの南北朝時代末期に当たりますが、当時の主人は南朝方に属し、後亀山天皇に従って京に上がったとの事です。
そして、明治2年(1869年)の東京奠都まで皇室御用達を務めたと言うので、歴史の長さは流石「千年王城」だと感じます。
口で言うのはたやすい事ですが、これだけの間、お店と味が続いている事には圧倒されます。
特に新型コロナの影響が計れず、不安が募る現在、歴史の荒波を乗りきってきた老舗には、少なからず勇気を頂けるように思います。
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松前屋さんのこだわり
お店は少量手作り且つ「高級志向」を方針とされています。
看板商品【比呂女(ひろめ)】の製法は、圧巻。
道南最高品の真昆布を使用し、約6年の歳月をかけて作るそうです。
まず5年間蔵で寝かせた後、1ヶ月かけて米酢で戻し、良い部分だけを短冊に切り、炊き上げる。
そして、さらに1年間かけて自然発酵させて完成に至るとの事です。
「大衆志向」では困難でしょう。
松前屋さんの昆布製品
比呂女(ひろめ)1,000円
古来は戦乱の軍糧品として明治維新まで食されていたそう。
膨大な時間が生み出す味は、
ビックリするほど美味しい!と言うものではなく、どちらかと言うと地味だ。
しかし、説得力のある味わい。
昆布の味、香り、食感の全てが一般的な塩昆布とは別物。
市販品の多くは老舗や有名店であっても化学調味料を使用する事が一般的になってしまっている。
悠久の時を経て昔ながらの作り方で作られる塩昆布は、貫禄のある上品な味わいだ。
唯一の難点は、価格。
庶民として頻繁に頂く事は出来ないのが残念である。
そして、こちらには他にも幾つか名物昆布がありますが、実は今回訪問した理由は期間限定販売の商品【きうひ昆布】となります。
こちらは昆布を用いた甘味です。
きうひ昆布1,300円
10月から3月までしか販売されない。
その理由は頂いてみると分かる。
こちらは前述の「5年寝かせた昆布」を蒸して、砂糖に漬けたもの。
一般的な「求肥昆布」とは趣が異なる御菓子。
昆布の香りと甘みが調和して、柔らかな食感に自然と笑顔がこぼれる。
1枚260円もするが、冷静に考えると理に適っている。
1個500円のケーキと比べると、ケーキよりも時間が掛かっているので妥当なのではないだろうか。
1枚での満足度も高い。
注意しないといけない点としては、開封後、味の変化が激しい事。
独特の柔らかさと風味は、購入・開封した瞬間が旬。
京都の暑い夏では販売が厳しいだろうと推察される。
人を選ぶ食べ物かもしれませんが、色々な料理を食べている人ほど、味の深みと個性を実感できるかと思います。
美味しいと判断するポイントが地味なので。
しかし、他に無い味わいで、未来に残したい逸品です。
松前屋さんのお店の情報
松前屋(食べログのリンク)店名:松前屋(まつまえや)予算の目安:きうひ昆布1,300円、比呂女(ひろめ)1,000円
最寄駅:丸太町駅から400m
TEL:075-231-4233
住所:京都府京都市中京区釜座通丸太町下ル
営業時間:9:00~18:00
定休日:日曜、祝日
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