幾つもの鰻丼の有名店がある街、岐阜の関。
その中でこちらは創業を1860年(安政7年)頃まで遡る老舗中の老舗です。
お店は外観から古風な趣を有しておりますが、内観もまた渋いです。
街道沿いの飯處然と言った風情があり、雰囲気から味わい深いです。
正に鰻の寝床とも言える街道から垂直に伸びる空間は江戸期創業たる名残を感じさせます。
そこに炭で鰻を焼く香りが充満し、その雰囲気は今の時代…鰻の希少価値が高まる時代…に鰻を食す喜びを与えてくれます。
今の時代に鰻を食すならば、風情と職人の腕も必須なのではないでしょうか?
スーパーやコンビニのパック詰めの鰻などについては、消費者ひとりひとりが自制するべき時代だと思います。
閑話休題。この度、店内入り口近くのテーブルをご案内されましたが、これは個人的には嬉しかった。
なんと慶応4年(1868年)に出された「五傍の掲示」が掛けられており、この目で見られたのは望外の喜び。
「五傍の掲示」は明治新政府が五箇条の誓文に続いて出した、暫定的な政治的スタンスを明示した札。
創業者の先代の家が庄屋であったため、保管されていたそうです。
さて、この度頂いたものは【上丼】3,190円と、【鯉の刺身】620円。
両メニューを含む【定食】4,010円もありましたが、水菓子が凡庸なメロンであったため単品オーダーにした次第です。
なお、最も安い鰻丼は【小丼】2,040円となります。
全てに肝吸いが付く点は良心的と言えるでしょう。
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辻屋さんの御料理
鯉の刺身
要は洗いで、芥子酢味噌を添えて。
鯉の臭みは無く旨味を楽しめる。
甘くない芥子酢味噌が良い。
上丼
このヴィジュアルインパクトを求めて関の鰻丼を食べたくなる。
味もまた然り。
地焼きとしても相当に焼き込んだ鰻は、実に関らしい仕事。
皮はカリカリを超えてガリガリな食感。
脂は甘く、鰻の香りは野趣があり良い。
ハードな焼き上げに対して身は柔らかく、それでいて鰻のむっちり感も残す焼き方。
炭の香りが食欲を常に刺激する。
タレは関のご多分に漏れず甘みがあるもので、初手では甘みそこまでではないが、次第に濃厚なパンチを見舞うことになる。
甘みが下品に先立つことはないが、しげ吉よりも強め。
よって、刺身の妻が良い息継ぎになった。
お米はぱらりと炊いており、申し分無し。
デフォルトでご飯の量は多い。
大盛を頼まれた方のご飯がドーム状になっておりビックリ(笑)
料理と共にお持ちされる山椒はピンではないが痺れ香り共に良い。
香の物は軽い甘みのある自家製奈良漬け。
肝吸いはキリッとした吸い地で軽い甘みを感じる。
肝は焼いたものでプリプリ。
苦味が強いのは柔らかな吸い地に対して良い。
季節柄かじゅんさい入りで、柚子も使用。
しげ吉さんで魅力を知った関の鰻。
こちらも違った魅力があり、紛れもない名店だと感じました。
辻屋さんのお店の情報
辻屋(食べログのリンク)店名:辻屋(つじや)予算の目安:【小丼】2,040円〜【上丼】3,190円
最寄駅:刃物会館前駅から450m
TEL:0575-22-0220
住所:岐阜県関市本町5-14
営業時間:11:00~14:30、17:00~20:00
定休日:月曜
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