鮨が10倍楽しくなる旬魚の世界 No. 16~秋・冬~マグロ(鮪)

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こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。

本記事は「旬の魚」をご紹介する「旬魚の世界シリーズ」です。

当シリーズでは、旬の魚の魅力を鮨ブロガーならではな目線で解説していきます。

今回は「マグロ(鮪)」についてご紹介します。

すしログ

魚の旬についての記事はたくさんありますが、鮨マニアが解説している記事は唯一無二かと!

楽しんで頂ければ幸いです。

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▼シリーズのまとめ記事はこちらです

マグロ(鮪)の基本情報

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標準和名:クロマグロ(黒鮪)

※ここでは「タイヘイヨウクロマグロ」を取り上げます

※「マグロ」は本種以外にタイセイヨウクロマグロ、ミナミマグロ、ビンナガマグロ、メバチマグロ、キハダマグロなどが存在します

通称・別称:ホンマグロ、シビ、小型のものをメジマグロ、メジ、ヨコワなど多数

英語名:Pacific bluefin tuna

旬:11月~12月

※大型の回遊魚となり、海域と魚種によって旬が異なります。今回は便宜的に日本で「最も脂が乗る」晩秋~冬を旬とします

マグロ(鮪)についてのすしログ的コメント

タイヘイヨウクロマグロを取り巻く深刻な状況については、別コラムで紹介いたしました。

すしコラム No. 3 マグロが危ない!漁獲量激減の真の理由とは?

ですので、今回は明るい話題、即ち美味しさとマグロの魅力について書きます(笑)

 

さて、マグロは今や鮨店を代表するタネであり、多くの人(食べ手のみならず職人も)を惹きつけて止みません。

古くは食されずに捨てられていた「トロ」の人気も、時代の変化、嗜好の変化と共に急上昇。

各地で人気を誇る有名店は、こぞって「良いマグロ」を追い求めている状況です。

 

マグロは獲れる産地が比較的限られており、有名な産地だと、大間に始まり戸井、三厩、塩釜、佐渡、氷見、能登、那智勝浦、壱岐、沖縄など。

全国に点在しておりますが、ほぼ全てのマグロは豊洲(かつては築地)に集まります。

 

そして、その中でもピン(一級品)のマグロは、鮨店へと運ばれます。

一部の漁港や産地では例外がありますが、美味しいマグロを食べようと思ったら、鮨店に行くのがベスト、と言うのが紛れもない事実となります。

ちなみに、神奈川の三崎や静岡の焼津もマグロで有名ですが、こちらは遠洋漁業の基地となる為、クロマグロ以外のマグロ漁港となります。

三崎はメバチマグロ、焼津はミナミマグロ(インドマグロ)で有名です。

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そして、産地についてもう一つ言及しておくと、国産が唯一の正解であり至上であると言うのは、今や必ずしも真ならずだと思います。

先の記事の「サステイナビリティ」における観点もそうですが、味わいで考えても時期によってはタイセイヨウクロマグロの方が良い事もあります。

 

現在は輸送手段が発達しており、空輸ですぐに運ばれるため、品質の劣化が少ないです。

しかも、マグロは後述の通り熟成を掛けなければ美味しくなりません。

鮮度がモノを言う魚ではないのです。

 

外国産と国産のクロマグロを選ぶポイントは、ひとえに「魚味」だと思います。

両者の「魚味」が異なる事は重々承知であり、その点において職人さんは国産にこだわるのかもしれませんが、タイセイヨウクロマグロはそれはそれで活かせる仕事があります。

僕が知る老練の職人さんの何人かは、時期によっては国産に手を出しません。

上質なマグロが少ない時期に高額なマグロを仕入れられるのは、仕入れ原価をお客さんの会計に転嫁出来るお店に限られてきます。

好みにもよる問題なので何が正解かは明言出来ませんが、唯一断言出来るのは、「産地」や「有名仲卸」のブランドだけで、「良いマグロ」だと判断する事は食べ手も作り手も止めた方がベターでしょう。

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と言いつつ、多くの鮨好きを狂わせるマグロの魅力とは何でしょうか?

僕が思うに、シャリとの相性が良い点、特に酢の酸味との相性が良い点こそが最大の魅力だと思います。

 

しかも、赤身、中トロ、大トロ(また他の部位)で味が完全に異なり、各々で異なる表現が出来る(=シャリに対して異なる調理が出来る)点も魅力。

赤身の持ち味である爽やかな酸味や香りは脂(トロ)が増える事で弱くなりますが、トロの強い脂がシャリの酸味と相性抜群である点も魅力…

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また、マグロは醤油と頂くよりも、煮キリ醤油と頂いた方が確実に美味しい。

マグロ丼が好きな方には申し訳ありませんが、味醂や酒と合わせた調味醤油である煮キリはマグロの持つ味覚を醤油よりも活かします。

魚のイノシン酸は醤油のグルタミン酸と合わさる事で旨味の相乗効果を生み出しますが、味醂にはコハク酸(貝類に多いアミノ酸)が含まれている為、さらなる旨味の掛け算が行われます。

シャリと煮キリの合わせ技でマグロを旨くする。

それこそが鮨におけるマグロの魅力…いや、魔力だと思います。

そして、最後に、鮨職人の仕事があってこそのマグロ。

マグロを旨くする調理技術は、鮨職人が一番だと思います!

マグロ(鮪)の鮨における仕事(調理法)

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マグロ(鮪)の鮨における仕事(調理法)は以下の通りです。

  • 熟成
  • 包丁
  • 漬け

マグロは一般的に寝かせなければ旨味よりも酸味が勝ち、食感も強い魚です。

また、寝かせても白身のように食感や香りが弱まる心配が無い。

なので、「熟成」と言う言葉が今日のように一般化する前から、マグロについては1~2週間寝かせて旨味を引き出してから使用されていました。

 

また、包丁の技術次第で驚くほどに味が変わる魚だと思います。

サク取りの段階で既に技術が問われますが、切り付けの厚みや切断面の鋭利さによって、上質なマグロが生きも死にもします。

サービスなのか分厚く切り付け「デカネタ」で勝負するお店も地方にはありますが、ハッキリ言って有難迷惑であり無粋です(笑)

もう少し薄く切り付ければ美味しいのになあと思いながら、長方形の塊が乗った握りを見つめる事もたまにあります。

 

そして、漬け。

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元々は冷蔵技術が発達していない江戸時代に保存方法として生み出された技術。

湯霜にしたマグロのサクを煮キリ醤油に漬け、数時間〜数日寝かせる仕事が古典。

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最近は(上質なマグロを使えるので)数分漬けるだけの仕事や、刷毛で塗って数分置くだけの仕事など、時代に合わせた簡易漬けの仕事も一般的です。

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食べる時はここに注目!

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鮨で鮪を食べる時に注目するポイントはこちら!

  • 味覚のバランス
  • 口どけ
  • 部位
  • 季節による味わいの変化

上記の通り寝かせて強化される旨味に加えて、マグロの魅力の一つは酸味と鉄っぽい野趣ある香りだと思います。

赤身に顕著な味覚ですが、上質な中トロでも楽しめます。

最近は流石に水っぽい事は少ないですが、旨味、酸味、香りが平板なマグロの赤身は口にして悲しくなります。

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良いマグロは食感、口どけが抜群で、シャリと一体化します。

赤身はねっちり、トロはとろりが理想。

赤身でゴワッとしたり、トロで筋が気になるのは頂けません。

鮪やまだ

赤身、中トロ、大トロ以外にも魅力溢れる部位がたくさんあります。

脳天、背トロ、鉛筆など、名前を聞いただけでもワクワクしませんか(笑)

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鮪は夏、秋、冬で驚くほどに味わいが変化します。

当コラムでは晩秋~冬を旬としましたが、夏のマグロは異なる魅力があり、人によっては夏鮪の方が好きと言っても驚く事はありません。

※ちなみに、粉山葵や混ぜ山葵は論外です。本山葵でなければマグロの美味しさを壊してしまいます。この点も、僕がマグロ丼を苦手とする理由かもしれません。

掲載した写真のお店

鮨猪股(埼玉県)

初音鮨(東京都)

青空(東京都)

鮨おくやま(東京都)

鮨みなと(北海道)

大門(富山県)

弁天山美家古寿司(東京都)

木場谷(石川県)

鮨裕(神奈川県)

鮨おとわ(神奈川県)

鮨處やまだ(東京都)

鮨さいとう(東京都)

 

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鮨と魚をこよなく愛する、鮨ブロガーのすしログ(@sushilog01)でした。

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