こちらは京橋にあって上質な握りを頂けるお店です。
街のイメージとは裏腹に店内はバッチリ禁煙であり、店内の空気は清浄。
そして、着目すべきはシャリの美味しさ。
シャリが美味しい事によって「進化型の街場寿司」的な印象を払拭し、満足度を大幅に高めております。
おまかせ1万円と言う価格が示す通りタネは正直なところ玉石混交かと思いますが、シャリで支え、仕事で個性を打ち出す事に成功されていると感じました。
こちらのシャリは硬めでぱらりとほどけ、温度は丁度良い。
旨味が強いので伺ったところ、赤酢をブレンドされているそう。
塩と酢が穏やかに調和し、軽く砂糖を利かせおります。
とは言え、関西のシャリとしては甘みは穏やかです。
お米は岡山産を使用し、羽釜で炊いているとの事。
手間を掛けて炊いたお米は握りによって活かされ、親方は捨てシャリ、掌ポンも無く、小気味よく握られます。
お客さんは飲み目当ての人が多かったですが、握り好きもバッチリ楽しませてくれるお店です。
唯一無念だったのが、照明。
白と黄色のLED光が入り乱れており、カメラを少しずらすだけでWBが大きく狂ってしまいました。
頂いたお酒
紀土・純吟ひやおろし、伊予賀儀屋・Kagiya Nine 9、まんさくの花・純米ひやおろし、三千盛・辛口純米大吟醸
毛蟹
蟹酢で。蟹の甘みと酢の酸味が爽やか。
アマテガレイ(真子鰈)
明石産。片方は肝をくるんでいる。
身はぷりぷりで旨味たっぷり。
肝もフレッシュで旨い。
鰹
酸味たっぷりで、香りが良い。
炙ってはいないので、純粋に酸味を爽やかに伝える仕事。
付け合せの生姜醤油は、醤油の風味が力強くて良い。
枝豆
秋刀魚
〆て白板昆布で巻いている。
薬味はシンプルで大葉と金胡麻のみ。
これは実に旨い。
とろける。
秋刀魚の脂と昆布の甘酢がえぇ相性。
白板昆布が食感が有る点も魅力。
関西らしい昔ながらの仕事を活用したモダンな酒肴。
隠岐の鮑と天草の海胆
海胆は甘くとろけ、鮑が負けじと旨味を主張し香りを放つ。
土瓶蒸し
松茸と鱧、鱧出汁。
出汁がとても旨い!
松茸も(海外産であろうが)香りが嬉しい(笑)
牡蠣の味噌漬け焼き
釧路・仙鳳趾産。火入れが良く、ぷりぷりではなくねっちりを志向している。
下味も良く、アテの最後を飾るに相応しい。
振りかけられた山椒は琵琶湖産との事で、痺れは少なく、香りが強い。
この後、握りに移行します。
ガリ
甘みがありつつ辛味がすっきりまとめる。
食感はシャクシャクで痛快。
鯛
明石産。昆布〆にしており、昆布をしっかり利かせている。
身は脱水され、ねっちり、みっちり。
ただ、鯛の甘みも感じさせるので、〆過ぎの手前で止めている。
インド鮪(ミナミマグロ)赤身
漬け。かなりしっかりと漬けており、ねっちり凝縮されている。
鯵
淡路・岩屋産。これは旨い!
しっかり〆。
新烏賊、ゲソ
大阪で新烏賊とは嬉しい。
ゲソには昆布を当てているような気がした。
海胆
由良産。甘みが強く、香りが凛々しい。
松葉のような香りは松山産の海胆に似ている。
明礬はほぼ無添加に近い使用量。
ツバス
ツバスとは40cm以下の鰤。
瀬戸内の鰤は養殖のイメージが強いが、明石の天然モノとの事。
旨味が強く、余韻もしっかり。
香りと酸味が軽く残る感じの余韻は心地良い。
車海老
「頭は醤油で、尾は酢橘と塩で食べてみてください」との事…面白い。
インド鮪(ミナミマグロ)中トロ
脂はしっかり乗っているが、香りや酸味などの上で大味な印象。
小鰭
好みもあるかもしれないが、〆加減がややなまくら。
皮の食感を楽しませる方向性だと思うが、旨味と香りの凝縮感が弱い。
玉子
しっとりした、香りの良い玉子。
海老と芋は共に弱め。
穴子
炙る際は笹の葉を敷いておられた。
明石産。しっとり仕上げている。
脂は強くないが、香りが良い。
手巻き
分厚い海苔を用いたトロタク。
沢庵の甘みが調味料的に使用されており、トロの脂はしっかり。
べったら漬け
上記のお酒4酒を加えて、お会計は14,600円。
1万円と言う価格を考慮するとCPが高いお店だと思います。
たまたまかもしれませんが男性客100%でしたが(笑)、雰囲気的にはデートにも使えるお店だと思います。
親方は気が利く方で、スタッフも若い女性なので。
店名:すし陵(すしりょう)
シャリの特徴:塩と酢を強めずしてお米の美味しさで勝負するシャリ。
予算の目安:おまかせ10,000円
最寄駅:京橋駅から450m
TEL:06-6358-3444
住所:大阪府大阪市都島区東野田町1-16-12
営業時間:18:00~23:00
定休日:不定休(月曜もしくは日曜)
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