こちらは新百合ヶ丘ではなく百合ヶ丘にある鮨店です。
ロマンスカーは言うまでもなく、快速急行など非常に速い電車が走る小田急線ですが、百合ヶ丘は停まる電車も街の雰囲気もスローで、それが良い味を出しています。
お店は駅から近い小高い丘の上にあります。
住宅街の手前にありつつ、店内は落ち着ける上品な空間。
それでいて肩肘張らずに頂けるのは、街の空気感を反映してでしょうか。
店内に漂う匂いは良く、美味しそうな予感を感じさせてくれます。
ランチの3,900円のコースの内容は、酒肴が3つに握り7貫、巻物。
酒肴はシンプルに季節感を感じさせてくれる良き品々。
シャリは酢が強めでキリッとしており、塩気はそこまで強く感じません。
炊き加減は必ずしも硬めではありませんが、ほどけは良い。
親方は正確な手返しで、手数は少なく四手で握られております。
シャリの完成度と技術は、街場のそれではありません。
【辛子高菜ととびっ子の巻物】には意表を突かれましたが(笑)、全般的にタネの切りつけも大きく、満足度が非常に高いランチ鮨だと感じました。
最後に小鰭を追加しましたが、旬前の小鰭の魅力を巧く引き出される〆加減であり、これを頂いて夜に再訪しタネ質の高い(=お値段が上の)握りを頂いてみたいと思いました。
頂いた酒肴
ゴールドラッシュ
茹でた後に醤油を塗り炙っている。
気が利いた一品目。
鱧の竜田揚げ
肉厚な鱧をふっくらしっとり揚げている。
付け合せは大根おろしに長芋を加えたもの。
長芋の食感が加わり、飽きを感じさせぬ工夫。
鰯
〆の塩梅が良い。
手前の赤い調味料は柚子胡椒。
ガリ、べったら漬け
甘みが強めだが、嫌みは無い。
辛味はじんわりと広がる程度。
旨味も強めなので赤酢を用いているのだろうか?
真子鰈
寝かせており、旨味が高まっている上に、肝を噛ませて風味と旨味が穏やかに広がってゆく。
香りの余韻も強い。
工夫されており、印象に残る一貫目。
鮪赤身
軽い漬け。夏の鮪の酸味を楽しませてくれる。
帆立
軽く湯に通しているため、食感が凝縮されている。
用いる煮ツメが濃厚なのが嬉しい。
食感と味わい、これは良い仕事。
蛸
塩、山椒粉、錦胡麻。
やや装飾過剰に見えるが、味わいは良く、蛸の生っぽさを残した素敵な火入れ。
歯切れは良好。
山椒の香りも程良く、足し算が奏功している。
いくら
程良くプチプチ。
時期、味わい的に恐らく初物。
鮪トロ、長芋千切りの手巻き
鮪の脂を長芋のとろみと風味が包み込む面白い手巻き。
穴子
ふっくらと良い煮加減。
浅蜊の味噌汁
巻物、出汁巻玉子
これが辛子高菜ととびっ子の巻物(笑)
まあ、確かにこの組み合わせは美味しいですよね。
余りにも江戸前離れしておりますが(笑)
小鰭(新子2枚) 追加
これは冒頭の通り追加して良かった!
身を凝縮させつつ、しっとり感もある良い〆の塩梅。
特に、この時期の小鰭の「柔らかい皮の食感」を楽しませる点に妙アリ。
もちろん旨味はこれからだが、時期の小鰭の楽しさを引き出している印象を抱く。
小鰭を追加して4,700円。
錦胡麻の使用、鮪×長芋、辛子高菜ととびっ子の巻物(しつこくてすみません)など、少々垢抜けないものもありましたが、味わいには文句の付け所がありません。
真骨頂は夜なのかも知れませんが、街場にこのレヴェルのお店があるのは素晴らしい事です。
店名:楠本(くすもと)
シャリの特徴:酢が強めでキリッとしており、塩気は穏やか。
予算の目安:ランチ酒肴3品と握りのコース3,900円
最寄駅:百合丘駅から150m
TEL:044-951-1744
住所:神奈川県川崎市麻生区百合丘1-18-12
営業時間12:00~13:30、17:30~22:00
定休日:月曜
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