こんにちは、鮨と日本酒をこよなく愛する、すしログ(@sushilog01)です。
前回は「日本酒の米」と「代表的な酒造好適米」について、説明しました。
今回のDay.8については、「村米制度」と「山田錦」について、説明します。
各都道府県の酒造好適米の前に、酒ディプロマで重視されている「山田錦」を重点的に押さえましょう!
※本記事は2022年度のテキストである『SAKE DIPLOMA教本 Second Edition』(2020/3/1)に基づきます
村米制度とは?
「村米制度」は「むらまいせいど」と読みます。
聞き慣れない単語ですが、日本では珍しいテロワールを重視する酒造好適米作りの制度です。
「村米制度」が行われているのは、山田錦の故郷である兵庫県です。
この制度は「特定の酒造家と特定の集落の直接契約栽培制度」です。
生産地は村よりも小さな単位で厳密に分けられ、グレードと取引価格も明確に分けられています。
「村米制度」が始まったのは、山田錦が生まれる前の1893(明治26)年と言われます。
山田錦は1923(大正12)年に交配で誕生し、1936(昭和11)年に命名・県の奨励品種に指定されました。
「村米制度」に関する歴史を整理すると、以下のとおりです。
- 1884(明治17)年:地租税のため「質より量」の傾向が強まり、酒造米の品質が低下
- 1893(明治26)年:奥吉川村市野瀬(現・三木市)の集落が、西宮の辰馬悦蔵(白鷹酒造)と取引開始
- 1938(昭和13)年:村米格付表が現存→最高額は中吉川の吉川町米田(現・三木市)で44円10銭
米農家との仲次=山仲次と、酒造家との仲次=浜仲次が活躍 - 1940(昭和15)年:戦争により、臨時米穀配給統制規則が施行される(県外への移出規制)
- 1951(昭和26)年:食糧庁が兵庫県下をA・B2地区に分類し、地域別格差を設定(翌年C地区も)
- 1962(昭和7)年:山田錦が史上最高の出荷量に(29,451トン)
- 1963(昭和8)年:山田錦の作付面積が最大に(7,840ha→2016年は4,667ha)
- 1964(昭和39)年:従来のA地区に特を付け、特A-a、特A-b、特A-cに分類
その後B・C地区では栽培されず、特A-c地区は1970年以降無い - 1977(昭和52)年:JAみのり東条ライスセンター竣工
- 1991(平成3)年:醸造用玄米の品位が6段階にとなる
- 2004(平成16)年:山田錦の郷が三木市吉川町にオープン
- 2011(平成23)年:動力米選機のふるい目を2.00mmから2.05mmに変更(品質向上のため)
- 2016(平成28)年:山田錦生誕80周年
山田錦の特A地区について
山田錦の特A地区は、今でもラベルに記載されるほどのブランド力を持ちます。
酒造好適米の栽培に重要な条件を揃えています。
- 内陸の低山や丘陵地帯の山間
- 山麓または盆地
- 風通しが良い
- 盆地の南北より東西に開けた場所
- 気温の日較差が大きい
これらの条件の把握には、教本の44ページにある三木市の気象データが非常に分かりやすいです。
簡単に述べると、7月の降水量が多く、気温の日較差(最高気温と最低気温の差)が大きく、10月の日照時間が長い特徴があります。
兵庫県は瀬戸内海から暖かい海風が吹き、中国山脈・六甲山地から冷涼な山谷風が吹くため、気象条件が複雑なため、高品質な酒造好適米が育てられる由です。
そして、土壌はモンモリロナイトを主体とする粘土質の土で、肥沃。
お米のミネラル分となる石灰、マグネシウム、カリウムなどの塩基類がバランス良く含まれています。
特A-a地区の重要性
中でも、山田錦の特A-a地区は重要な集落が密集しています。
旧地名 | 現地名 | 集落数 | 備考 |
吉川町 | 三木市 | 38 | ・村米発祥の市野瀬 ・村米格付け最高値の米田(44円10銭) |
口吉川町 | 三木市 | 15 | |
東条 | 加東市 | 27 | ・秋津エリア(古家、常田、西戸) |
社”米田” | 加東市 | 6 | ・村米格付け標準値の上久米(43円10銭) |
社”上福田” | 加東市 | 5 | ・特A-bの社”上福田”(3集落)とは別 |
特A-b地区で覚えるべき情報
特A-b地区で覚えるべき情報は以下のとおりです。
旧地名 | 現地名 | 集落数 | 備考 |
社”上福田” | 加東市 | 3 | ・特A-aの社”上福田”(5集落)とは別 ・西から木梨、山口、馬瀬 |
大沢町 | 神戸市北区 | 9 | ・最東(村米集落の端)が善入 |
淡河町 | 神戸市北区 | 8 | |
上淡河 | 神戸市北区 | 8 | |
細川町 | 三木市 | 22 | |
志染町 | 三木市 | 4 | ・最南(村米集落の端)が三津田 |
下東条 | 小野市 | 2 |
以上で、「村米制度」と「山田錦」についての説明を終えます。
Day.9以降は、都道府県ごとの酒造好適米について細かく見ていきます。
日本酒大好き、すしログ(@sushilog01)でした。
本記事のリンクには広告がふくまれています。