こんにちは、鮨と日本酒をこよなく愛する、すしログ(@sushilog01)です。
この度、鹿児島県の焼酎蔵「祁答院蒸溜所」を見学しました!
こちらは芋焼酎「明るい農村」で有名な霧島町蒸留所の兄弟蔵です。
現地で兄弟蔵であることを知ったので、ついでに両方巡りました!
焼酎蔵の見学は、日本酒の酒蔵と同じくエキサイティング。
お酒好きなら興奮すること間違いないので、鹿児島に行ったら焼酎蔵ツーリズムをすべし!です。
ちなみに、見学された時の面白さが下がるといけないので、写真は厳選して掲載しています。
記事を読んで気になった方は、ぜひとも訪問されてみてください。
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祁答院(けどういん)蒸溜所とは?
「祁答院蒸溜所」さんは、もともと「甑島」にあったそうです。
1902(明治35)年創業の焼酎蔵を買い取る形で設立されました。
2007(平成19)年に事業取得されたそうです。
- 酒蔵名:祁答院(けどういん)蒸溜所
- 所在地:鹿児島県薩摩川内市祁答院町
- 創業年:2007年(事業取得前は1902年)
「祁答院蒸溜所」さんは他の焼酎蔵がやっていない事を複数されていて、画期的です。
- 麹が手作り
- 木桶仕込み
- 木樽蒸留器を使用
- 洞窟熟成
これらによって生み出される焼酎が【野海棠】です。
焼酎造りの麹は、回転ドラム式製麹装置や三角棚と呼ばれる製麹装置で行うのが一般的です。
日本酒のように麹室で手作りの製麹を行っている蔵は、鹿児島県でも4~5軒程度とのことです。
そして、焼酎を木桶で仕込む蔵はただ一つ!
さらに、木樽蒸留器を使用している蔵も類を見ません。
ちなみに、木桶仕込みが少ない理由は、量産出来ないことと、清掃が大変なためです。
その上で、洞窟内で寝かせて熟成させるので、超個性的な焼酎蔵だと言えます。
祁答院蒸溜所の焼酎造りについて
次に、酒蔵見学のレポートを通して「祁答院蒸溜所」さんの焼酎造りをご紹介します。
「祁答院蒸溜所」さんは、毎年9月の頭から6月くらいまで焼酎を造ります。
これはサツマイモの収穫時期と保存可能な期間のためです。
まずは、イメージしやすいように、焼酎の造り方をご紹介します。
焼酎は日本酒と同じ並行複発酵で糖化とアルコール発酵を行いますが、日本酒のように三段仕込みは行いません。
そこで、腐らないように開発されたのが、二次仕込みです。
- 焼酎の一次醪:米麹、酵母、水
- 焼酎の二次醪:一次醪、主原料、水
焼酎の発酵は日本酒よりも高温で、酸度が高いため、細菌の繁殖を防ぐことが可能です。
幸いにも、「祁答院蒸溜所」さんで大変分かりやすいイラストを掲示されていました!
麹を造り、米麹・水・酵母を甕壷で一次仕込みを行います(一次醪)。
原料となるサツマイモを蒸して、一次醪と合わせ二次仕込みを行います。
その後、二次醪を蒸留して、厳守を熟成させて、完成です。
蔵によって差はありますが、製麹に2日、一次醪に5〜6日、二次醪7〜14日、蒸留に1日、熟成に60日ほどかかります。
ちなみに、日本酒の場合、製麹に2日、酒母(焼酎の一次醪)に20日、醪(焼酎の二次醪)に23〜30日かかります。
それでは、「祁答院蒸溜所」さんの見学レポートに入ります。
製麹
こちらが「祁答院蒸溜所」さんの麹室です。
焼酎蔵としては珍しい人力で麹造りを行っていると聞くと、テンションが上がります。
室温30℃強、湿度70~80%の麹室で、300キロの米麹を作るそうです。
製麹装置よりもムラを少なく出来るところが特徴だそうです。
シーズンオフであっても、ここで手間暇を掛けて造られているのか…と思うと、頂く焼酎もおのずと更に美味しくなるものですね。
そして、完成した米麹で焼酎の一次醪を仕込みます。
一次醪〜二次醪
繰り返しになりますが、【野海棠】は木桶仕込みです。
木桶は杉製で、1本で3,000リットル仕込むことができるそうです。
酵母については、鹿児島県酒造組合の焼酎酵母を使用するとともに、蔵付き酵母を使用しているそうです。
そして、焼酎ならではな「差しもと」を行っています。
「差しもと」は別の一次醪の一部を培養酵母の代用として添加する方法です。
12代目くらいまで使えるそう。
一次醪の管理は、温度計と冷却器をセットしつつ、3日に1回アルコール検査を行うそうです。
一次醪が完成したら、サツマイモの蒸きょうが行われます。
朝とりのサツマイモを、ヘタを取った後に蒸して、粉砕機でなるべく細かく砕きます。
そして、「201」タンクで一次醪と蒸したサツマイモを混ぜるそうです。
混ぜた後、1日置いてから二次醪を仕込みます。
【野海棠】は木桶で仕込みますが、【青潮】は甕壷で仕込みます。
両者の大きな違いは温度管理にあるそうです。
甕は外気の影響を受けやすいため、床に埋めてあります。
反面、木桶は影響を受けにくいため、むき出しです。
焼酎酵母は寒いとダメなので、木桶の方が冬季はベターだそうです(温度が安定するため)。
…ただ、木桶のデメリットは、管理の手間。
一回醪を造ると掃除が大変で、水で流した後に熱湯を入れて、蒸す作業を3日間も繰り返す必要があるそうです。
甕は翌日すぐに使えるところ。
生産量に大きな違いが出るので、木桶仕込みが流行らないようです。
蒸留
二次醪が完成すると、いよいよ蒸留です。
蒸留についても造るブランドによって使用機材を変えています。
【青潮】はステンレス蒸留器で行い、【野海棠】は木樽蒸留器で行います。
木樽蒸留器のメリットは、蒸留後のガス臭が低い点にあるそうです。
木の隙間から臭気が抜けるためです。
しかし、デメリットもあり、臭気だけでなくアルコールも抜けやすいため、生産性が下がるそうです。
ステンレス蒸留器の取得アルコール度数が37~38%のところ、木樽蒸留器は33~34%とのことです。
木樽蒸留器の使い方は、右の樽に醪を入れて、左の樽内に張り巡らされたステンレス製のパイプをぐるぐる通して蒸留するとのこと。
木樽蒸留器は寿命が短いところもデメリットで、7~10年ほどで交換になってしまうとのことです。
熟成(貯蔵)
「祁答院蒸溜所」さんは、タンクと洞窟で熟成・貯蔵を行っています。
熟成は6ヶ月、早くても3ヶ月は行うそうです。
月に1回攪拌して、ガス抜きをしています。
洞窟は月に1回の撹拌のタイミングでしか開かれないそうです!
以上で「祁答院蒸溜所」さんのレポートを終え、「霧島町蒸留所」さんのサポートを行います。
兄弟蔵・明るい農村の「霧島町蒸留所」
【明るい農村】は焼酎好きなら必ず聞いたことがあるブランドでしょう。
シンプルかつストレートに、インパクトのあるネーミングだと思います。
ブランドの名前の通り、明るく清々しい農村にあります。
蔵のそばには清流が流れ、見学していて気持ちが良いです。
「霧島町蒸留所」さんは「祁答院蒸溜所」さんよりも生産量が多く、敷地の至るところにタンクがあります。
製麹は三角棚(半自動製麹装置)を用いて行っています。
麹米に使うお米はなんと自社農園で育てています。
そして、仕込み水は地下水で、中硬水とのことです。
9月のサツマイモの収穫に合わせて醸造を開始し、冬に黄麹で仕込みます。
そして、サツマイモが傷んでしまう季節に入ると、麦焼酎に切り替えているそうです。
まとめ:祁答院蒸溜所・霧島町蒸留所の酒蔵見学の申込方法
祁答院蒸溜所さんも、霧島町蒸留所さんも予約無しで見学させて頂ける神対応ですが、やはり、事前予約をするのがスマートだと思います。
訪問予定の日時をお伝えして、先方の負担にならないようにしましょう!
大変丁寧にご説明頂いたので、そのように感じました…
祁答院蒸溜所さんの焼酎については、別途記事を書きます!
書いたらリンクを張ります。
なお、入手については取り扱いの酒屋さんが少ないようですが、ネット通販が可能です。
結構、出品しているショップが有りました。
個人的に、鹿児島に行ったら蔵見学はマストだ!とテンションが上がる、すしログ(@sushilog01)でした。
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