酒ディプロマ(SAKE DIPLOMA)攻略マニュアル Day.1「日本酒の定義と分類」と「日本酒の歴史」

酒ディプロマ01

こんにちは、鮨と日本酒をこよなく愛する、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)です。

前回は「酒ディプロマ(SAKE DIPLOMA)とは?」について、説明しました。

今回からは「酒ディプロマ(SAKE DIPLOMA)攻略マニュアル」と銘打って、合格に必要な情報をまとめていきます。

ただ、すべてをカバーするのではなく、特に重要な部分の抜粋であることはご了承ください。

それでは早速ですが、Day.1の説明に入ります。

Day.1では「日本酒の定義と分類」「日本酒の歴史」について紹介します。

※本記事の情報は2022年度のテキストである『SAKE DIPLOMA教本 Second Edition』(2020/3/1)に基づきます

日本酒とは?日本酒の定義と分類

「日本酒とは?」という質問に、スラスラと答えられる人は意外と少ないのではないでしょうか?

しかし、「酒ディプロマ(SAKE DIPLOMA)の対策問題を見ると高確率で出題されている、重要な知識です!

日本酒(清酒)の定義

2015年12月「日本酒」の地理的表示が指定されたことで、日本酒が定義づけられました。

「日本酒」とは、国産米のみを使用し、日本国内で醸造された清酒です。

すしログ
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海外で造られたお酒は「日本酒」ではなく”SAKE”になります。

国内であっても外国産米を使用した場合は”SAKE”です。

そして、「清酒」を名乗れるための酒税法上の定義は下記のとおりです。

  • 米、米こうじ、水を原料として発酵させて、こしたもの
  • 米、米こうじ、水および清酒かす、その他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの
  • アルコール度数は22度未満

アルコール度数は何気に頻出のため記憶必須です。

規定では「22度未満」ですが、通常はアルコール度数21度くらいで発酵が止まります。

そして、高アルコールであっても割水で加水調整するのが一般的です。

日本酒の級別制度

そして、昭和の時代には、日本酒の級別制度がありました。

級は特級一級二級の3つに分類され、品質の分け方が曖昧で、各々で税率が異なっていました。

その結果、下記のように整理されました。

  • 1988(昭和63)年11月:清酒の製法品質表示基準=「特定名称」が開始
  • 1989(平成元)年3月:「特級」の廃止
  • 1992(平成3)年3月:「一級」と「二級」の「級別制度」を廃止
  • 2003(平成15)年10月:清酒の製法品質表示基準が改定

「特定名称酒」の定義は、3等以上の玄米を使用していて、麹米の使用割合が15%以上です。

「特定名称酒」の分類については超高確率でテストに出るので、記憶必須です。

しかし、教本のリストは死ぬほどわかりにくいので、他の情報を参照した方がベターです。

自分が読んだ中では、以下の書籍(マンガ)が最も分かりやすかったです(全3巻です)。

「純米酒」の要件

「純米酒」の要件については、酒税法上、以下のように定義されています(2004年より)。

  • 使用する原料は米と米麹のみ
  • 麹米の使用割合が15%以上
  • 農産物検査法で3等以上の玄米

麹米の使用割合については、実際は糖化・発酵の安定のため、20~23%が一般的です。

アルコール添加についてのルール

そして、アルコール添加についてのルールは下記のとおりです。

  • メリット1:火落ち菌の増殖を防ぎ、質を担保すること
  • メリット2:香りを酒粕からアルコールに移すため
  • アルコールは連続式蒸留器で再蒸留したもの
  • 上槽の3日前から前日あるいは直前に加える(上槽後はNG)
  • アルコールは白米重量の10%以内の使用量

アルコールの添加量については、実際には白米重量の5%以内が一般的です。



ちなみに、純米酒ブームの圧倒的な影響で、アル添=悪のような風潮が未だにあります。

しかし、上記のようなメリットが有るため、実は江戸時代から行われていました。

江戸時代には醸造アルコールではなく、柱焼酎=粕取り焼酎で行っていたそうです。


イメージが悪くなった原因は、明らかに「三増酒」こと「三倍増醸酒」の影響です。

戦中・戦後に資源不足のために、お酒1本を3本に増やして作られたのが「三増酒」。

過剰なアルコールを添加し、味覚調整の為に糖類や酸味料、旨味調味料を添加した、日本酒とは似つかぬまがい物です。

しかし、「三増酒」は2006年に廃止されたので、今は存在しません。

 

日本酒の歴史(弥生時代~現代)

日本酒の歴史については、弥生時代までさかのぼります。

しかし、勉強してみて意外だったのが、現在我々が飲んでいるようなお酒は昭和以降に生まれたということです。

日本酒の歴史を勉強すると、味の変遷もイメージできるようになる気がします。

  • 弥生時代:日本酒の起源
    魏志東夷伝に「倭国の酒」、播磨国風土記に「清酒すみさけ」の記載がある
  • 奈良時代後半:稲作が安定し、造酒司みきのつかさが朝廷のために酒造り
  • 平安時代:寺社、神社をはじめ民間でも酒造り開始
  • 室町時代:酒屋=酒蔵が登場
    精米は江戸時代以前は足踏み式
  • 16世紀後半:精米、醪をこして酒粕と酒に分ける技術、火入れの技術が誕生
    江戸時代の精米は水車(玄米15kgを歩合82まで削るのに2日)
  • 明治時代:吟醸酒は存在せず、腐造が多かった
    歩合は90程度(精米技術が低いため)=酵母の増殖が旺盛で醪の酸が増える=辛口
  • 大正時代:温度計が普及
    明治の反動で大正末期にはかなり甘くて濃い酒が一般的になる
    大正末期に横型精米機が登場
  • 1933(昭和8)年:竪型精米機が登場!酒造りが変わる
    竪型精米機:ロール型のと石で10時間かけて歩合70、50時間かけて歩合50まで可能
  • 1943(昭和18)年:級別制度が開始、アル添の開始
  • 戦時中:三倍増醸酒が出回る
  • 1988(昭和63)年11月:「特定名称」が開始
  • 1992(平成3)年3月:「級別制度」を完全に廃止
  • 2006年:三倍増醸酒を廃止

日本酒の需要の変遷

日本酒の需要の変遷は下記のとおりです。

  • 1943年(昭和18)年:級別制度開始
  • 1945(昭和20)年:173,000kL【史上最低】
  • 1973(昭和48)年:1,766,000kL【ピーク】

酒蔵の数については、戦後4,000場超であったところ、1980年に2,947場2017年に1,594場と減少傾向にあります。

そして、日本酒を取り巻く状況は下記のとおりです。

  • 1960年代後半〜1970年代初頭(昭和40年代):高度経済成長による日本酒ブーム
  • 1970年代中頃(昭和 50年代):地酒ブーム=級別制度ではなく地酒を求める
  • 1982(昭和57)年:上越新幹線開通→新潟の吟醸酒ブーム、生酒人気
  • 1992(平成3)年3月:「一級」と「二級」の「級別制度」を廃止
  • 1996(平成7)年:「日本酒の冬の時代」=焼酎ブーム
    →蔵元杜氏や社員杜氏の増加
  • 2004(平成16)年:日本酒と単式蒸留焼酎の製造数量が逆転
  • 2013(平成25)年:和食がユネスコ無形文化遺産に登録
  • 2018(平成30)年:海外輸出量が2001年と比較して数量3.6倍、金額7倍に増加→9年連続で更新

吟醸酒の歴史

最後に、吟醸酒の歴史を紹介します。

「吟醸酒」と言う単語は明治維新以降に生まれたとされます。

  • 1907(明治40)年:全国清酒品評会が開始
    →吟醸酒ではなく「醇良酒」=旨味があり濃い味が良しとされた
  • 1909(明治42)年:吟醸物、吟醸家という単語が文献に登場
  • 1927(昭和2)年:鹿又親「吟醸とは、吟味して醸造する」
    =特定名称の吟醸酒とは異なる
  • 1933(昭和8)年:竪型精米機が登場し、吟醸酒造りが進展
    その後、醪冷却技術が普及し、優良酵母の分離と普及により、技術が向上していく
  • 1982(昭和57)年:吟醸酒ブーム

 

日本酒製造の概略

次回以降は日本酒の造り方を見ていきます。

日本酒造りの流れは、以下のとおりです。

  1. 麹:お米+麹菌=麹米
  2. 酒母(酛):麹米掛米(蒸米)、酵母、乳酸、水
  3. 醪:酒母+麹米掛米(蒸米)、水
  4. 上槽(しぼり)

日本酒を勉強しないと、意外に製造方法については知ることがないと思います。

しかし、「一麹、二酛、三造り」と呼ばれるほどに各パートが奥深いもの。

知っておくと受験にかかわらず日本酒が楽しくなると思います!


それでは、Day.2でお会いしましょう。

日本酒大好き、すしログ(@sushilog01)でした。

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