酒ディプロマ(SAKE DIPLOMA)攻略マニュアル Day.4「醪(もろみ)」

酒ディプロマ04

こんにちは、鮨と日本酒をこよなく愛する、すしログ(@sushilog01)です。

前回は「酒母(酛)」について、説明しました。

今回のDay.4については、「酒母(酛)」の次のプロセスであるもろみに入ります。

  • 醪:酒母+米麹掛米、水

「醪」は、一言で述べると「アルコール発酵の仕上げ」です。

伝統的な「三段仕込み」を行うことで酒質を安定させ、腐造(一般細菌の増殖)を防ぎます。

「三段仕込み」は室町時代には既に用いられていたとされるので、世界に誇る醸造技術です!

※本記事は2022年度のテキストである『SAKE DIPLOMA教本 Second Edition』(2020/3/1)に基づきます

日本酒の造り:醪

醪01
写真:飯尾醸造

醪は、酒母(米麹、掛米、酵母、水、乳酸)に、掛米、米麹、仕込水を加えていくプロセスです。

酒母との違いを復習すると、以下のとおりです。

  • 酒母:米麹+掛米、酵母、水、乳酸→強い酸味や苦味、アルコール10〜12度、麹歩合33%
  • 醪:酒母+米麹掛米、水→整えられた香味、アルコール16〜18度、麹歩合22%

醪の中では「並行複式醗酵」が行われます。

「並行複式醗酵」とは、「蒸米(掛米)の糖化」と、「酵母による糖の消費(アルコール発酵)」が同時に行われること。

麹・蒸米(デンプン)が、デキストリンやブドウ糖に転化され「エキス」になります。


最初に醪の工程をまとめると、以下のとおりです。

工程日1234
工程名初添踊り仲添留添
温度6℃6〜7℃7~10℃
吟醸6~7℃
8.5℃
ボーメ度777〜8
アルコール度1%1%1〜2%2.5%
備考材料を混ぜる酵母の増殖を待つ醪中最低温筋泡が発生


「留添」以降の醪日数については、およそ20日(最高品温15~16℃の場合)〜25日(最高品温13℃の場合)かかります。

吟醸酒の場合は、低温でじっくりと造る方法なので、28〜35日(4〜5週間)となります。

留添段階での6〜6.5℃から、1日あたり0.5℃ずつ上がりながら10℃を目指し、醪中期で10〜11℃となり、終盤には6〜9℃となります。


醪では、泡の形などの外観を読む力に加えて、香味判断、温度管理、化学分析などの管理が必要とされます。

醪の三段仕込み

醪02
写真:飯尾醸造

醪では「三段仕込み」が行われます。

三段仕込みは火落ち=悪玉乳酸菌の混入を防ぐ知恵です。

醪のpHは4.2です。


三段仕込みの流れ

  • 初添:酒母+蒸米(掛米)、米麹、仕込み水→仕込み温度が最も高温
  • 踊り:酵母の増殖を待つ
  • 仲添:+蒸米(掛米)、米麹、仕込み水
  • 留添:+蒸米(掛米)、米麹、仕込み水→仕込み温度が最も低温、醪日数の1日目

初添、仲添、留添の各過程では、10〜12時間後に櫂入れを行います。

この作業は「荒櫂」と呼ばれます。


留添(醪日数1日目)では、醪全体の過程で最低温度を目指します。

目安としては、吟醸酒で6〜7℃、ほかのお酒で7〜10℃です。

この目的は、酵母の活動にブレーキを掛けるためです。


留添での温度が高くなると、品温が急上昇するリスクがあり、醪管理が難しくなります。

その結果、酸が多く、辛口や粗い酒になり、火落ちのリスクも高まります。

醪の比重変化

発酵の進行具合については、醪の比重変化を参考にします。

ただ、単式発酵のビールやワインは比重変化で発酵を管理できますが、日本酒は発酵中に糖が供給される複式発酵であるため、完全に管理することができません。

醪03
写真:飯尾醸造
醪04
写真:飯尾醸造

醪の比重変化の関係

  • 15℃において、水の比重は1.0000
  • アルコールの比重は0.79422
  • 比重へのエキスの影響は、エキスを糖のみと仮定して、
    エキス分が1%上昇すると、比重が0.004上昇
  • アルコール分が1%上昇すると、比重が0.0012減少

数値が非常に細かいですが、全て覚える必要があります。

ボーメ

醪05
写真:飯尾醸造
醪06
写真:飯尾醸造

「ボーメ」とは、日本酒造りにおける比重の単位の一つです。

「ボーメ1」は「食塩濃度1%の比重」となります。

「ボーメ」関連で覚える事項は下記のとおりです。

  • 留添の数日後にエキスのピークが訪れる=最高ボーメ
  • その後、アルコールの上昇に伴い、比重は減少していく
  • ボーメの減少が鈍ることを「ボーメの切れが悪い」と表現
  • 醪でボーメ3(日本酒度マイナス30)以下になったら日本酒時計に切り替える
  • その後、1日ごとに日本酒度が5ずつ増えていく

アルコール度数と日本酒酵母の動き

アルコール度数に応じて、酵母は下記のような動きになります。

  • 誘導期:枯らした酵母を、暖かい環境で半日ほどかけて目を覚ます
  • アルコール度数2〜10度:元気に発酵+増殖
  • アルコール11〜14度:元気に発酵
  • アルコール15度:鈍化し始める
  • アルコール16度:発行停止
  • アルコール18度:自己消化

酵母(特に香り酵母)は高濃度のアルコールに弱い性質があります。

酵母が自己消化を起こしてしまうと、香味が悪くなり、老香につながります。

醪(三段仕込み)の仕込み配合

「仕込み配合」とは、いわば「日本酒のレシピ」です。

「仕込み配合」では、以下のような数字を決めます。

  • 汲水歩合:総米に対する仕込み水の割合で、発酵速度を支配する
    歩合を上げると麹に収容できる酵母の絶対数が増えるため発酵が活発化
  • 酒母配合:酒母から留添までの、総米重量に対する酒母用の総米の割合
    歩合を上げると発酵速度が速くなる
  • 麹歩合:酒母から留添までの、総米重量に対する麹米の割合
    歩合を上げると発酵速度が速くなる
  • 四段歩合:総米に対する四段用総米の割合
  • アルコール添加割合:上槽の3日前〜前日か直前に行う
    通常濃度30%の醸造アルコールを加える

これらを酒母から醪の留添まで、味への影響も含めてまとめると、以下の通りになります。

代表値歩合を上げた
場合の発酵速度
歩合を上げた
場合の味の変化
汲水歩合130%速くなる辛口になりやすい
酒母歩合7〜8%速くなる醪前半の発酵速度が上がる
品温も高くなり、酸が増える
麹歩合20〜23%速くなる濃醇で幅があり、酸も増える
酒母から留添までの発酵に影響する歩合

留添以降の調整

留添以降に任意で行う各種調整については、下記のものがあります。

  • 追水:留添の後に水を加えること
    →醪の前半では発酵を活発化できる
    ※アルコール12度以上では発酵が旺盛にならず、味が薄くなるだけ
  • 四段:酵素剤を使用して蒸米を55℃で糖化させ、冷まして醪に添加する
    →甘みと味の幅を調整する
  • もち米四段:伝統的な手法で、うるち米よりも溶けやすいもち米を用いる
    あるいはもち米の蒸米を熱いまま添加する
  • アルコール添加:上槽の3日前〜前日、あるいは上槽直前に添加
    本醸造は米1tに対して360Lのアルコール(度数30%)添加
    日本酒度は+になるので、必要に応じて四段で日本酒度を調整する

四段を行うと一般的に味が甘口になり、アルコール添加を行うと辛口になる傾向があります。


さて、これで醪が完成です!

Day.3とDay.4の説明は、現代の日本酒造りで最も一般的な「速醸酛酒母」の内容でした。

その他の酒母については、Day.5で説明します。


それでは、Day.5で会いましょう。

日本酒大好き、すしログ(@sushilog01)でした。

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