こんにちは、鮨と日本酒をこよなく愛する、すしログ(@sushilog01)です。
この度、ふと思い立ち、「SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)」を目指すことにしました。
ついては、同じく目指されている方のために知識をまとめていきたいと思います。
ちょっとした自己紹介となりますが、僕は食べ歩きが趣味で、20代から6,000軒以上食べ歩いています。
ライフワークとして鮨の専門ブログである「すしログ」を運営しています。
鮨と和食が好きなので、飲むお酒は自然と日本酒が一番多い。
そこで、「極めよう」と思い立ち、難易度が高いと言われる「酒ディプロマ」を目指すことにしました。
思い立ったのは5月下旬で、勉強に着手したのが6月。
一次試験は7月20日~8月31日です。
当初は1年後に受けようと思っていたので無謀な試みかもしれません。
しかし、受験勉強の現在進行形で書くことで、自分へのムチとなり、同じく目指す方の参考になれば幸い!と感じて本サイトを創設しました。
→【追記】2022年11月1日に二次試験に合格して資格を取得しました。5ヶ月以内の学習で一発合格できたので、最短合格は非現実的ではありません!
まず、第1回は「酒ディプロマ(SAKE DIPLOMA)とは何か?」について、まとめます。
そして、一次試験と二次試験の両方について、傾向と対策を解説します。
なお「酒ディプロマ」を受けない方は、第2回以降の記事から読んで頂ければ、酒造りが分かるので面白いと思います。
タップできる目次
「酒ディプロマ(SAKE DIPLOMA)」とは、「日本ソムリエ協会(J.S.A.)」が主催する認定制度です。
よって、一言で述べると「日本酒と焼酎のソムリエ」です。
2017年に新設された資格で、正式名称は「J.S.A. SAKE DIPLOMA」となります。
2013年12月に「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されて以来、日本食が国際的な注目を集めています。
「国際舞台における日本の食文化が、より一層普及・向上すること、またそれを担う人材の育成」を目的に、「J.S.A. SAKE DIPLOMA」は創設されました。
日本ソムリエ協会の会長は、世界的に著名なソムリエである田崎真也さんです。
「J.S.A. SAKE DIPLOMA」は、田崎さんが会長になってから肝いりで作られたそうなので、「日本酒・焼酎の世界的な地位を高めたい!」という理念を感じます。
実際に、2018年にはロンドンで「SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL」の試験が開始となりました。
今後、開催国が増えることが期待されています。
「酒ディプロマ」の受験資格はシンプルで、「一次試験日に満20歳以上になっていること」です。
二次試験でテイスティングがあるので、ハタチ以上というわけですね(笑)
特筆すべき点は、飲食店などで日本酒に関係する仕事をしていなくても受験できるところです。
ソムリエについては以下の条件なので、酒ディプロマは一般人でも受けられるプロ向けの資格と言えます。
ありがたい!
以下のいずれかの職務を通算3年以上経験し、基準日においても従事し、月90時間以上勤務している方
◆ 酒類・飲料を提供する飲食サービス
◆酒類・飲料の仕入れ、管理、輸出入、流通、販売、製造、教育機関講師
◆酒類・飲料を取り扱うコンサルタント業務
ただ、受験資格のハードルこそ低くとも、ソムリエ資格を持つプロの方も受ける資格なので、難易度は非常に高いと言われています。
試験については、一次試験(CBT方式)と、二次試験(テイスティング・論述試験)で構成されます。
そして、一次試験:7月20日(土)~8月31日(土)、二次試験:10月7日(月)に開催されます(2024年情報)。
なお、出願期間は【3月1日(金)10時〜7月12日(金)17時59分まで】なので、要注意。
そして、合格発表は11月1日(金)で、ソムリエ協会のWEBサイトに実名(カタカナ)で掲載されます。
【追記】2023年度から実名ではなく、受験番号のみでの発表に変更となりました。
有名な日本酒に関する資格としては、「J.S.A. SAKE DIPLOMA」以外に、唎酒師があります。
こちらは「日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)」が主催する資格です。
違いをリストで示すと、下記のとおりです。
資格 | 合格率 | 受講 | 受講料 | 受験料 | 合格後にかかる費用 | 年会費 |
---|---|---|---|---|---|---|
唎酒師 | 80% | あり | 58,800円~139,100円 | 受講料に含む | 44,000円 | 15,900円 |
酒ディプロマ | 41% | なし | 0円 | 29,600円(一次1回)/34,440円(一次2回) | 20,950円 | 0円 |
大きな違いは、合格率とランニングコストです。
唎酒師は合格した場合、初年度に合計118,700円〜199,000円かかり、2年目以降は15,900円かかります。
そして、酒ディプロマについては、初年度50,550円もしくは55,390円かかり、2年目以降はお金がかかりません。
もう一つ、重要な違いとしては、知名度です。
2023年時点での知名度については、唎酒師の方が上を行きます。
どちらが良い悪いではなく、異なる方向性を向いているため、相互に高めあっていけば日本酒業界がさらに面白くなるはずです。
資格取得後、唎酒師のテキストである『新訂 日本酒の基』を熟読して、両方押さえよう!と考えています。
酒ディプロマの合格率は、上記の表のとおり「41%」となります(5年平均、以下同様)。
プロが多く受ける試験なので、受験者のレベルが高く、高難度だと言えます。
ソムリエの方は、ソムリエ協会から酒ディプロマも受けるよう、勧誘が来るそうです(笑)
一次、二次別々に見ると、一次試験の平均合格率は59%で、二次試験の平均合格率は66%とされます。
ちなみに、ストレート合格率は39%とのこと。
「だいたいの人が落ちる」と言われる理由はデータで示されていて、一発合格が難しい試験となっています。
僕は幸運にも一発で合格出来ました。
本シリーズで、合格のためのノウハウを伝えていきます!
一次試験は前述の通りたCBT方式で行われ、問題数は全100問です。
回答は4択式で、制限時間は60分。
問題は毎回ランダムで出題されます。
実際に受けた実感としては、長くもなく、短くもない、と感じました。
勉強していれば、ゆったり解いても30分以内に解けるはず!
イメージとしては、30分で全問解き、もう30分で見返すのが良いでしょう(回答済みの問題も確認できます)。
出題の傾向については、非常に細かいと言われています。
受験期間が7月20日~8月31日と長く、全国複数個所で行われるため、用意されている問題がカルトクイズ級になるようです。
実際に非常に細かく出題されました。
想定よりも難易度は高く、テイストを暗記しなければ突破は難しいです。
とは言え、明らかに回答できない難しすぎる問題も複数あります。
合格ラインは恐らく80%以上なので、難しすぎる問題に遭遇した時は、気にせずに気持ちを前向きに保ちましょう!
前向きな気持ちと集中力こそが合格には必須だと実感しました。
ちなみに、一次試験は「1回受験」と「2回受験」を選べますが、「2回受験」を選ぶ人が多数派のようです。
僕も、一発で受かったとは言え、精神衛生上、「2回受験」を選択しておいて良かった…と痛感しています。
出題の傾向については、事前にネットで調べて知ったとおり、日本酒の造り、兵庫県と山田錦関連、焼酎に関する問題が多かったです。
幅広く出題されますが、このあたりは確実に押さえるべきです。
また、各県の状況も細かく聞いてきますので、対象の県を押さえることで合格率をかなり高められると実感しました。
食べ物との相性についても覚えておいて損はありません。
中には「ん?」と思うペアリングもありますが、我を抑えて覚えましょう(笑)
そして、個人的に絶対に覚えておくべき情報は、以下だと感じます。
- 数値
- 単位
- 年号
- 地名
- 人名
このあたりは、テキストで出てくわす度に「テストに出る」と思って記憶していくのが鉄則です。
さらに、特に覚えておいて損の無い情報は、以下です。
- 課税移出数量
- 海外輸出数量
- 酒米の収穫量ランキング
- 酒米の誕生年
- 酒米の掛け合わせ品種
- 各県の特定名称酒ランキング
- 各県の清酒全体のランキング
- 各県の酒造場数
- 各県の生産品種
- 各県の酒米タイプ(自給自足など)
- 各県の日本酒製造の歴史
- 各県の味の特徴
山田錦に関して、特A地区の細かい地名については、最悪ヤマを張っても何とかなると感じました(笑)
全て覚えるのが厳しいようなら、「東条」の「秋津」地区など、重要な数か所のみ覚えましょう!
一次試験の対策としては、以下の3つが考えられます。
- 独学
- 独学+教材を購入
- スクールの講座を受講
個々人の状況にもよりますが、合格の確率は、独学 < 独学+教材を購入 < スクールだと思います。
コストも、独学 < 独学+教材を購入 < スクールのとおりなので、最適なものを選択しましょう!
独学の方法としては、テキストを読んで、自分でノートをまとめるアナログな方法がベストだと思います。
正直なところ、テキストは情報が点在しているので、まとめないと覚えにくいですので…
また、自分でクイズを考えて答えるのもアリです。
そして、教材については、「NANAME KIKAKU(ナナメ キカク)」さんのものがベストかと思います(リンクはAmazonです)。
テキストを読み、自分でまとめて、クイズを解く流れです。
「NANAME KIKAKU(ナナメ キカク)」さんの教材は、Kindle Unlimitedに申し込んでいればフリーで閲覧可能です。
そして、最強の学習方法はスクールです。
自身が最短合格できた最大の理由は、アカデミー・デュ・ヴァンの講座を受けて、徹底的にトレーニングを積んだためです。
知識投資は強い!と実感しました。
お金はかかりますが、最短合格のための近道であることは間違いありません。
受験者のほぼ全ての人が仕事の合間に勉強する方だと思いますので、お金をかけられる人は、スクールで学習時間を短縮できます。
テスト(クイズ)の項目数も膨大なので、反復学習に最適です。
僕は、移動時間や休憩時間などの合間に問題を解きました。
下記の公式サイトから「受験説明会」を申し込めるので、迷う方は参加して直接聞いてみるのが良いと思います。
一次試験は一度受かってしまえば、「翌5年間のうち3回まで一次試験免除」となります。
覚えるべき情報は余りにも多く、1年間覚えておくのはキツいので、個人的には全ての手段を講じて合格して良かった…と感じます。
次に、二次試験の傾向と対策を見てみます。
二次試験については、【論述試験】と【テイスティング試験】で構成されています。
2022年から【テイスティング試験】が先に行われました。
そして、テイスティングで使ったお酒についての論述問題が出るなど、ちょっと変則的な出題となりました。
【テイスティング試験】については、日本酒4種と焼酎2種をテイスティングします。
試験時間は30分で、マークシート形式です。
テイスティングで聞かれる項目は、以下のとおりです。
日本酒
- 外観
- 香り
- 味わい
- 特定名称(純米酒、本醸造酒、吟醸酒など)
- 酒米の品種(山田錦あるいは五百万石を判別する)
- 酒母の種類(生酛・山廃系の酒母を判別する)
- アルコール添加
- 酵母の種類(1801号などセルレニン耐性酵母を判別する)
焼酎
- 主原料(甘藷、麦、米、黒糖、泡盛)
- 蒸留方法(常圧、減圧)
- アルコール度数
そして、ソムリエ協会が公表している配点については、以下のとおりです。
2022年度から2023年度への変化を記載しておきます。
- 外観:10% →12%
- 香り:29% →31%
- 味わい:26% →24%
- 特定名称:13% →12%
- それぞれの飲料についての設問:22% →21%
「それぞれの飲料についての設問」については、上記の日本酒の「酒米の品種」から焼酎までとなります。
つまり、日本酒の香りと味わいが圧倒的に重要だと言えます(67%)。
まんべんなく答えられるようにした方が良いですが、香りと味わいを取れないと、合格率が一気に下がると言えます。
そして、2023年度には外観と香りの比率がアップしたので、いかにもソムリエ協会らしいと感じます。
そこで、テイスティング試験の対策については、ソムリエ以外の人はプロに習うのが近道だと感じました。
酒ディプロマのテイスティング用語はソムリエと同じく「共通言語」なので、主観やセンスに頼ると外れます。
外国語を習う感覚で勉強、習得する必要があります。
僕は「アカデミー・デュ・ヴァン」の講座に助けられました。
また、デュ・ヴァンでなくてもプロのコメントを聞く事は非常に効果的だと実感しました。
なので、テイスティングを行っている酒屋さんに訪問したり、酒ディプロマを持っている方のお店に行ったりして、楽しみながら勉強しました。
ちなみに、地味にマークシート用のシャープペンシルが威力を発揮しましたので、オススメです(笑)
手で書く事が少ない現代人ですもんねえ。
二次試験の【論述試験】については、例年問題数が変わっています。
2021年は3問が出題されました。
各問200字で回答し、試験時間は20分と短いです。
論述なので、漢字も正確に書く必要があります。
過去問については、以下のとおりです。
- 2017年「山廃・生酛の現状と将来の展望について、200字以内で説明しなさい」
- 2018年「セルレニン耐性酵母について」
- 2019年「美山錦について」、「村米制度について」
- 2020年「奈良県の産地の特徴について」、「球磨焼酎と相性が良い料理について」
- 2021年「扁平精米について」、「貴醸酒の今後の展望について」、「泡盛と相性が良い料理について」
- 2022年「3のお酒(山廃)と合う料理について」、「雄町について」、「黒糖焼酎と相性が良い料理について」
- 2023年「GI球磨について」、「近年の清酒において、特定名称を名乗らないことのメリットとデメリットを200字以内で説明してください」、「テイスティング試験で供出された2のお酒に合う料理と飲み方」
一次試験の知識がもとになっているので、復習こそが最大の対策と言えます。
上記を見る限り、傾向は以下の3点だと言えます。
- 焼酎は高確率で出題
- 日本酒の酒米や造りについて
- 料理とのペアリング(テイスティングベース)
どうやら年々焼酎のウェイトが高まっているようなので、3問中1問は焼酎が出る可能性が高いと思った方が良いと感じます。
二次試験対策として、受験前に下記の記事を書きました。
ご参考にしてください!
また、2023年度については、初めて模範解答(PDF)が公開されました。
最後に、気になる二次試験の合否判定方法は、相対評価のようです。
合格ラインは決められておらず、平均点に基づき、上位から決められた割合の人を合格させるシステムと言われています。
【テイスティング試験】も【論述試験】も全力で向き合い、ちょっとやそっとのミスで落ち込まないことが重要です!
実は、僕はアル添のお酒を外してしまい絶望を感じていましたが、それでも受かりました。
酒ディプロマを取得するメリットについては、日本酒に従事する方であれば、箔が付くので信頼につながるはずです。
今は唎酒師の方が圧倒的に高い知名度ですが、「ソムリエ協会がやっている、日本酒のソムリエ」と言えばお客さんで信頼しない人はいないのではないでしょうか。
そして、僕のように日本酒に従事していない方のメリットとしては、仕事に活きることはないかもしれません。
しかし、確信を持って言えることは、勉強の過程で日本酒がさらに好きになりました。
酒屋さんで日本酒を選ぶのが楽しくなり、お店で知らない日本酒を飲むのが格段に楽しみになります。
これは他にかえがたいメリットです。
また、勉強の過程で得られる知識は一般的な日本酒マニアをしのぎます。
さすが、ソムリエ協会が作っている試験だと実感しました。
個人的に、日本酒が大好きならば受ける価値がある!と感じます。
不安混じりの受験でしたが、無事に受かって心から感激しました。
では、次回より酒ディプロマ(SAKE DIPLOMA)のテキストに基づき、日本酒の知識をまとめていきます!
日本酒の魅力を伝えていきたい、すしログ(@sushilog01)でした。
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