こんにちは、鮨と日本酒をこよなく愛する、すしログ(@sushilog01)です。
今回は吉川醸造【雨降 生酛別誂酒】をテイスティングします。
気品のある香りと、甘味・コク、特徴的な苦味の調和が爽やかなお酒!
燗を付けると更に美味しく「大人の葡萄ジュース」と言った感!
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「吉川醸造」さんは神奈川県伊勢原市にある、1912年(大正元年)創業の酒蔵です。
しかし、経営が悪化したため2020年10月にシマダグループが株式を取得し、新体制に移行。
そして、2023年5月にフランスで開催される”Kura Master”でプラチナ賞を2銘柄で受賞する快挙を果たしました。
代表銘柄は【雨降】。
これは酒蔵が大山の麓にある事に由来します。
大山は古来より雨降山と呼ばれ、関東総鎮護・大山阿夫利神社とともに、雨乞い信仰の山として知られます。
そのような経緯がある事から、「吉川醸造」さんのラベルの「雨降」の文字は大山阿夫利神社の神官が揮毫されたものとの事です。
「吉川醸造」さんは洗米から仕込み水まで全て井戸水を使用しており、大山の水は硬度が高い硬水であるところが特徴です。
全国の水道水の平均硬度が50.9で、神奈川県の多くのエリアが50~75のところ、大山の水は150~160と、全国でも希少な超硬水です。
硬水だと低温下で発酵を進める事が出来るため、スッキリした酒質に仕上がります。
この超硬水を活かした取り組みとして面白いのが、お米を磨きすぎずに美味しい酒を造ろうとされている点です。
一般的には「お米を磨かないと雑味が出やすい」とされますが、極低温下で長期発酵を行えば雑味を抑えることが出来ます。
従来の日本酒は「磨けば磨くほど良い」とか「磨いている純米大吟醸こそが至上」と言う風潮があり、それには僕も違和感を感じていました。
重要なのは、味ではないのか?と。
しかも、高精白(磨いている)の純米大吟醸の多くには、極めて強い吟醸香を生み出す酵母が使用されていて、人為的に香りを強めている点も違和感の一因です。
山本 洋子さんの『ゼロから分かる! 図解日本酒入門』は定評ある入門書ですが、「大吟醸は日本酒の最高峰」や「大吟醸はスペシャルな酒」と言った「大吟醸信仰」のようなものがあり、その点については疑問を感じます。
日本酒「入門」者の方が精米歩合でお酒を判断するようにはなって欲しくないなと…
それ故に、土地の水を活かして先進的な試みをされる「吉川醸造」さんの酒造りに注目している次第です。
酒蔵を教えて頂いた山形「らじょうもん」の熊谷さんに深く感謝いたします。
それでは、吉川醸造【雨降 生酛別誂酒】のレビューに入ります。
外観については、透明感があり、クリスタルがかった淡いイエローで、ほのかにクリーム色の色調です。
香りについては、芳醇な第一印象で、メロンとヨーグルトがふわっと優雅に漂いつつ、青リンゴ、グレープフルーツとマスカットの香りが調和します。
果物系の香りが主体ながら、決して「華やか」ではなく上品です。
ほのかに生クリームの香りも含み、お米由来の香りは極々弱いです。
味わいの第一印象はやや強めながら、人によっては「やや軽め」と感じるかもしれない上品なアタックです。
ふくよかな甘味に丸みがある酸味とコクを与える苦味がふんわりと合わさります。
全てが調和して、グレープフルーツと生クリームを予感させます。
バランスはドライかつ豊潤で、余韻はやや長め。
甘味とコク、ある種特徴的な苦味のじんわりとした調和が持ち味です。
燗を50℃まで上げてから下げると、甘味が引き立ち、苦味をマスキングします。
「大人の葡萄ジュース」と言った味わいを楽しめます。
ただ、55℃以上だと「ザ・燗酒」的になってしまうので、個人的には上げすぎない方が好みです。
吉川醸造【雨降 生酛別誂酒】のスペックについては、以下のとおりです。
- 醸造元(製造者):吉川醸造(神奈川県伊勢原市)
- ブランド名:雨降 生酛別誂酒
- 特定名称:非公開
- 原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
- 原料米:特A山田錦(兵庫県東条産)
- 精米歩合:60%
- 酵母:協会6号(新政酵母)
- アルコール度:15%
- 日本酒度:非公開
- 酸度:非公開
- 価格:720ml・1,950円
吉川醸造【雨降 生酛別誂酒】については、生産量が少ないので特約店で入手するのがオススメです。
テイスティングの技量を上げて行きたい、すしログ(@sushilog01)でした。
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