こんにちは、全国の食べ歩きでじゅんさいの魅力を知った、すしログ(@sushilog01)です。
さて、じゅんさいとは、実に日本らしい食材ではないでしょうか?
蒸し暑い夏に清涼感を与えてくれる見た目。
キラキラと光を反射する清々しい姿は、椀の中で凛とした存在感を放ちます。
見た目に加えて独特の食感は万葉の頃より人の心を惹きつけてきました。
綺麗な水でないと育たないと言うところも、山が多く美しい国、日本ならでは。
今回は国内シェア90%超を誇る、秋田県三種町(みたねちょう)のじゅんさいをご紹介します。
「じゅんさいって何?」と言う人や「じゅんさいって美味しいの?」と言う人もじゅんさいの魅力にお気づき頂けるかと思います!
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そもそも「じゅんさい」とは?
じゅんさいを知っている人でも意識せずに食べている人が多いかもしれません。
漢字で書くと蓴菜、別名はヌナワ(沼縄)。
じゅんさいは沼や池に生えるスイレン科の植物となります。
ハスをイメージすると分かりやすいかと思います。
じゅんさいは水底の根茎から水面まで伸びて、夏に浮葉を広げます。
食べられる部分は水中にある葉っぱの部分です。
葉っぱは寒天のようなプルプル、ぬるぬるした透明な物質(=ヌル、ヌメリ)に覆われていて、新芽、若芽、若葉などと呼ばれます。
ざっくり言うと、じゅんさいは「ハス状の植物のヌルッとした新芽」となります。
生のじゅんさいを頂ける時期は6月から8月上旬までと限られていて、採るのも大変なので、上質なものは高級食材として扱われます。
誰しもが感じる味わいの魅力としては、食感と瑞々しさ。
上質なじゅんさいはヌルのぷるんとした食感が強く、噛み締めると葉がプチッと弾けて快感です。
そして、青く瑞々しい風味が広がり、山の清浄な空気が鼻を抜けるような感覚を楽しませてくれます。
清涼感を与える風味はウリ科の植物に似ているところがあります。
じゅんさいは古来より北海道から、本州、四国、九州まで広く分布していましたが、現在は25都県で絶滅もしくは準絶滅危惧種となっています。
また、後述する摘み取りが過酷であることから後継者不足も懸念されています。
さらに、本記事を書こうと思った直接的な理由は、コロナ禍に伴う需要の激減です。
飲食店の自粛休業に伴い、じゅんさいの出荷量も減ってしまい、生産者の方が困窮しているとニュースで知りました。
そこで、お取り寄せや都内で販売されているお店に伺った次第ですが、個人では微力なので情報発信を行い、じゅんさいファンを増やそうと決めました。
まずは、じゅんさいの生態系と収穫方法を簡単に記述します。
じゅんさいの生態系と収穫方法
じゅんさいは水温10℃前後の春に生長を開始し、25℃前後まで上がった夏場に活動を最大化します。
水質が良くないと育たないデリケートな植物で、酸、アルカリ、農薬などに弱いため、自ずと水が綺麗な沼で栽培されています。
そして、じゅんさいは2種類に分類され、葉の裏が緑色の青系品種と、赤みを帯びた赤系品種があります。
摘み採りには「じゅんさい舟」が用いられ、タタミ一畳ほどの大きさの木造舟で沼に繰り出します。
摘み採りは手と指で行います。
水面に身をかがめて、水中の新芽を指で確認し、収穫できるものならば爪で茎から摘み採ります。
公園のボートや釣り船を漕いだ(乗った)ことがある人ならば、重労働っぷりが想像つくのではないでしょうか?
筆者は以前じゅんさいの違いを知ろうと、かつて産地ごとの食べ比べを行いました。
北海道・大沼、秋田県・三種町、兵庫県・三田、広島県・東広島など。
そして、産地ごとに味が異なり、驚きました。
かつて『美味しんぼ』50巻で山岡士郎がじゅんさいによって窮地に陥るエピソードがあり、「そんな大げさな…」と思ったものですが、上質なじゅんさいを食べたり産地ごとの食べ比べをしたりすると雁屋哲先生の想いが実感できました(笑)
じゅんさいはピュアな味わいだけに料理人の腕が表れやすく、特に出汁や調味料使いのセンスが必要な食材なので、日本料理において大変魅力的な食材だと思います。
…とは言え、古来より日本各地で愛されてきた食材なので、家庭で気軽に頂くのも異なる楽しみがあります!
家庭で頂く時は堅苦しいことを考えず、気の向くままに楽しめるのがじゅんさいだと、今回調理して実感した次第です。
以降の項目では、秋田県三種町のじゅんさいの魅力や調理のポイント、今回作った料理などを順にご紹介していきます。
秋田県三種町のじゅんさいの魅力と調理のポイント
秋田県三種町は冒頭に記載した通り、国内シェアの90%超を誇ります。
今では産業化している生産地となりますが、昭和初期までは自生しているものを摘んで、家庭で食べるに留まっていたそうです。
1936年(昭和11年)に関西から栽培方法や収穫方法が伝わり、一気に産業化が進んだとのことです。
時代によって増減が結構ありますが、近年も安定的に栽培されている状況です。
長年培ったノウハウと世界遺産・白神山地の清らかな水によって、安定的に高品質なじゅんさいを生産されています。
今回は「うまいもんドットコム」で500g手配しましたが、家庭では中々見ないボリューム感で、届いた瞬間に笑顔になりました。
大ぶりなものであっても緑が美しく、「食べるエメラルド」と称される理由に納得です。
こんなにたっぷりあるのに、しにゃっとくたびれたものがゼロで、ヌルもぷるんぷるん。
最初から最後まで高品質なじゅんさいを楽しませて頂きました。
じゅんさいを料理する上で必須と言えることは2点あると思います。
- ぬるぬるした透明な物質(=ヌル、ヌメリ)を落とさないこと
- 高温に長時間さらさないこと
生は調理前にお湯にサッとくぐらせることが必要ですが、長い時間お湯に泳がせるのは厳禁です。
天麩羅やしゃぶしゃぶのように「高温・短時間」ならば問題ありませんが、鍋や煮込みのように「高温・長時間」となるとじゅんさいの魅力を大きく損ねてしまうリスクがあります。
高温の調理を行う場合、手早くサッと行うのが鉄則だと思います。
生じゅんさいの下ごしらえの手順
以下が、じゅんさいを美味しく食べるための下ごしらえです。
- ボールで軽く水洗いを行う。ヌルが落ちないよう、2~3回で!
- 30分ほど水にさらす(都会であればミネラルウォーターを推奨)
- 別途、氷水を用意しておく
- じゅんさいをザルに入れて、沸騰したお湯にさらす
- 鮮やかな緑色に変わったところで、2の氷水に入れて冷やす
下ごしらえ後、冷蔵庫で1週間ほどもつそうです。
じゅんさいの調理例(三杯酢和え、天麩羅、比内地鶏の冷製鍋)
今回作った料理は以下の3つです。
- じゅんさいの三杯酢和え
- じゅんさいの天麩羅
- じゅんさいと比内地鶏の冷製鍋
じゅんさいの三杯酢和え
定番中の定番の料理ですが、清涼感が嬉しい先付ですね。
じゅんさいの調理法としても完成しており、瑞々しさと食感を楽しむならば申し分ない一品だと再認識しました。
家庭で作る際は、味付けの甘みに注意!
甘みが強いと恐ろしく野暮ッたくなります。
三杯酢は酢、醤油、砂糖/味醂で作る合わせ調味料ですが、砂糖は使わず味醂がベターです。
じゅんさいの天麩羅
いきなりやってみましたが、かなり高難度の天種でした(笑)
衣を厚くベッタリ付ければ楽なのかもしれませんが、じゅんさいらしさを失ってしまうのは嫌だと言うジレンマ。
サラッとした衣液でも、高温短時間で一気に仕上げると良い事に気付きました。
あと、揚げる前に室温で馴染ませるところもポイントかと。
上手く出来ると、サクッとした衣の中からヌルが現れ、何とも言えない食感の対比が面白いです。
そして、青い清涼感ある香りも爽やかです。
じゅんさいと比内地鶏の冷製鍋
温かい鍋に長時間さらすのは無粋なので、冷製の鍋を試してみました。
出汁は比内地鶏のガラ(1羽分)、本枯節、真昆布で、調味料は魯山人醤油と三河味醂を使用。
結果的に新感覚のじゅんさい料理となったので、オススメです!
食感の異なるキノコや野菜を用いると楽しいです。
そして、〆はじゅんさい、比内地鶏と同じ産地の稲庭うどんで。
秋田づくしの冷製鍋は、新しい街おこし料理になると思いますが、如何でしょうか、三種町役場さん??
生じゅんさいは割烹や日本料理店で頂く食材と言うイメージがありましたが、自分で調理してみると、かなり面白い食材でした!
良い調味料さえ使えば、すぐに一品完成するところも魅力です。
上記のうまいもんドットコムでは記事執筆段階で品切れとなっていました。
三種町のじゅんさいは無事に消費者に救われたのかな?と少し安心感を抱きました。
三種町のじゅんさいは楽天ふるさと納税でも入手可能です。
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鍋のセットもあるようです。
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これからもじゅんさいファンが増え続けることを願う、すしログ(@sushilog01)でした。
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