こんにちは、琵琶湖と湖魚が大好きな、すしログ(@sushilog01)です。
さて、夏場に【小鮎】を頼んで感動した、滋賀県の中村水産さん。
【小鮎】を購入した際に、【ビワマス】も取り扱っているのを見つけてマークしていました。
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しかし、ビワマスは「幻の魚」「琵琶湖の宝石」と呼ばれる、感動的な美味しさの魚です!
地元滋賀県でも流通が少ないため、他県のスーパーで見かけることは有り得ない魚なので、生産者直送で頂ける世の中になって本当に嬉しいところです。
また、美味しさだけでなく、湖魚なのでアニサキスを気にせずに生で食べられるところも大きなアドバンテージです!
・鮮度が良いビワマスを船上神経〆で出荷!(美味しいまま長持ち)
・小鮎が豊漁な年は脂が乗って絶品中の絶品!
・サケやサーモンが好きな人なら、高確率でハマる美味しさ!
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なお、僕は1尾まるまる入手しましたが、冷凍モノの切り身もあります。
さばくのに自身がない方や一気に消費しきれなさそうな方も、ご安心ください。
▶中村水産:切るだけ簡単お刺身用【天然】ビワマス急速冷凍フィレ
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琵琶湖の「ビワマス」とは?
滋賀県が誇る「マザーレイク」琵琶湖。
琵琶湖には、なんと16種類もの固有種が存在します。
その中で、高級魚の一つとして知られるのが【ビワマス(琵琶鱒)】です。
ビワマスは「琵琶湖八珍」として知られ、昔から愛されてきました。
「琵琶湖八珍」とは
- ビワマス
- ニゴロブナ
- ホンモロコ
- イサザ
- ゴリ
- スジエビ
- ハス
- コアユ
ビワマスは琵琶湖で2年半〜3年半ほど(長いものは5年もの)回遊生活を送ります。
そして、10〜12月になると、産卵のために生まれ故郷の河川を遡上する…と言う、サケと似た生活史を送る魚です。
体長35~60cmまで成長する大型の淡水魚で、資源保護のため25cm未満は禁漁とされています。
ビワマスはサケ科に属しますので、日本人の多くが美味しいと感じるはず。
琵琶湖周辺では古くから「アメノイオ=雨の魚」と言う、美しい名前で呼ばれてきました。
雨が降って増水した川を遡上することから、このように呼ばれ始めたそうです。
そして、ビワマスのエサは、同じく「琵琶湖八珍」であるイサザ、スジエビ、コアユです。
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エビを食べるので、エビが持つアスタキサンチンのために身を薄紅色に染めます。
そして、人間も大好きなコアユを食べるため、夏のビワマスは脂が乗るのです。
「ビワマス」の味わいとは?
さて、気になるお味は?
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あるいは、10,000尾に1〜2尾しか獲れない希少な鮭である「鮭児」と比べても、遜色ありません。
さらに、同じく希少性の高い鮭である「時鮭」と比べると、ピンのビワマスが上を行きます。
しかも、脂が多いだけが魅力ではありません。
回転寿司で絶大な人気を誇る輸入モノの養殖サーモンは食べすぎると胸焼けがしますが、ビワマスの脂はサラッとしているので、もたれることがありません。
同時に、マスの香りも楽しませてくれるのが、ビワマスです。
脂が臭くないのです。
▲三枚におろし、骨などを掃除する前の状態のビワマス。脂のノリが凄い!!
そして、身は滑らかで、口の中でとろけるような柔らかさ。
火を入れてもしっとりしているのが特徴です。
和風の料理はもちろん洋風の料理にもバッチリ合います。
また、冒頭の通りアニサキスの心配が無いので生でも食べられますし、焼いても煮ても美味しい魚です。
「ビワマス」の旬はいつ?
ビワマスの旬は6月〜9月上旬になります。
産卵期が10月〜12月なので、琵琶湖では10月1日から11月30日まで禁漁になります。
冬も獲れるようですが、脂が最も乗っているのは産卵期前です。
先程書いた通り小鮎をバクバク食べる魚なので、小鮎が旬である夏場に最も美味しくなるわけですね。
小鮎が豊漁の年はビワマスの身が白っぽくなるそうです。
小鮎にも感謝しないといけませんね!
琵琶湖の「ビワマス」を使った料理をご紹介!(レシピ付き)
それでは、今回入手して作ったビワマス料理と、滋賀県で頂いたことのあるビワマス料理をご紹介します。
自身で作ったビワマス料理については、簡単なレシピを付けておきました。
ご参考になれば幸いです!
ビワマス丼(刺身&ビワマスフレーク)
何はともあれオススメしたいのが、ビワマス丼です!
漁師さんも一番にオススメするのが刺身!
そして、酢飯との相性が抜群なので、僕は【ビワマス丼】はビワマス料理の傑作の一つだと思います。
しかも、調理は簡単。
「急速冷凍フィレ」だと調理時間は15〜20分ほどで出来てしまうので、楽ちんだと思います。
僕は、刺身に加えて、焼きほぐしたフレークを合わせて作りました。
ビワマスの身はきめ細かく、とろけます。
そして、香りがふわっと漂い、清涼感があります。
脂は驚くほど乗っていますが、クドくありません。
身体は大きくても、滑らかな食感と柔らかさが印象的。
と言うか、今までに頂いたビワマスの中でもトップクラスの美味しさで、中村水産さん凄い!と感じました。
ビワマスのフレークは鮭フレークよりもホロッホロで、しっとり。
きめ細かく繊細なフレークになります。
【フレークの作り方】
- フレークは尾に近い部分(脂が少ない部分)で作る
- 両面に軽く塩を振り、臭み(トリメチルアミン)を取り、軽く脱水する
- 出てきた水分を拭き取り焼く
- 粗熱が取れたら冷まして、ほぐして、冷蔵庫で冷やす
皮は取り除き、潮汁に使うので取っておきます。
【ビワマス丼の作り方】
- ビワマスの皮目をバーナーで炙り、急冷する
- ビワマスを薄切りにする
- 酢飯に乗せて、うすくち醤油をハケで塗る
- ビワマスフレークをまぶす
- 好きな薬味をかけて完成
ちなみに、海苔との相性も良いので、手巻き寿司にしても美味しいです。
ビワマスの潮汁(お吸い物)
ビワマスは驚くほどに出汁が出ます。
昆布などの他の旨味と合わせなくても、バッチリ美味しい!
1尾で少量しか作れないので、希少なスープです。
これは丸々1尾を買ってさばいた者へのプレゼントです。
【ビワマスの潮汁の作り方】
- 水にビワマスの中骨と頭を入れて、強火にする
- アクが出てきたら弱火にして、アクを取る(そんなに出ません)
- 弱火でじっくりと煮て、旨味を抽出する
- こした後、塩とうすくち醤油で調味する
- フレークを作った際に出た皮を入れて、少し煮る
- 皮を取り除いて完成
最後に焼き目のついた皮を入れることで香ばしさが加わります。
ビワマスのタルタル
ワインセラーで熟成させたビワマスを用いて、【タルタル(フランスの和え物料理)】にしました。
熟成で旨味を強化したビワマスは、洋風の強い味付けにも全く負けません!
戻したドライトマトとブラジル野菜のビキーニョのピクルスと合わせていて、ビワマスはハーブが香るピクルス液とドゥルイのマスタードでマリネしています。
独特の香りのあるビキーニョと、コリアンダーなどのハーブが相性抜群!
旨味があり、香りが上品なドゥルイのマスタードがビワマスを活かしきります。
【ビワマスの熟成方法】
- ビワマスを立て塩(塩水)で軽く〆る
- 水分を完全に拭き取る
- 「フレッシュマスター」で包み、ラップで巻いて、袋に入れ、空気を抜く
- 2〜3℃で3日ほど寝かせる
- 熟成後、「ピチットシート」で2時間包み、脱水する
- 調理前に塩を振り、15分ほど軽く塩〆する
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「フレッシュマスター」と「ピチットシート」については、下記のまとめ記事と個別記事をご参照ください。
さて、次は【タルタル】の作り方です。
【ビワマスのタルタルの作り方】
- 塩〆したビワマスを細かく刻む(細かすぎると美味しくないので注意)
- ドライトマトを戻しておく(ゆっくりがベストだが水を加えてレンチン1分でも可能)
- ピクルス液とドゥルイのマスタードを合わせ、ビワマスをマリネする(20〜30分)
- ビワマスと、細かく刻んだスプラウト、ピクルス、戻したドライトマトを合わせる
ドゥルイのマスタードはこの料理に限らず、超オススメなので、是非!
ビワマスのミ・キュイ(半生火入れ)
そして、最後に作ったのが【ビワマスのミ・キュイ】です。
「ミ・キュイ」とは「半生の火入れ」を意味し、低温で中心まで火入れするフランス料理の調理法です。
「生」とも「焼き」とも全く違う食感、風味などを表現できるので、魚料理の定番と言えます。
すしログ
そこで浮かんだ調理法は、ビワマスの脂を溶かして、その脂でミ・キュイする方法です!
この方法はマニアックで、少しテクニックがいるので、レシピ箇条書きではなく、写真を用いてご紹介します。
脂がノリノリなハラスの部分を弱火で溶かしていきます。
結構出ました!ホッ…
脂部分のみ熱して、ビワマスに何度も掛けて火入れします。
すしログ
「表面の色の変化」と「指で押してみる」ことです。
少し白っぽくなり、指で押した時に生とは異なる反発を覚えたら、完成です。
熱を冷まして、盛り付けて頂きます。
アッサリした見た目ですが、熟成を掛けているので旨味の結晶です!
身はホロホロ、しっとりで超柔らかいのに、加熱によって旨味が引き出されています。
また、ビワマスの脂でミ・キュイしているので、風味が抜群です!
もしもビワマスの脂を使わない場合は、ピュアオリーブオイルやグレープシードオイル、米油や太白胡麻油などの香りが弱い油がオススメです。
また、低温調理器をお持ちの方は、低温調理でも美味しく作れます。
参考記事のリンクを貼っておきます。
この後は、滋賀県のお店で頂いたビワマス料理を写真でご紹介します。
インスピレーションになれば幸いです。
食べ歩きで出会ったビワマス料理たち
最初は、マキノの名店「湖里庵」さんのお造りです。
実に美しい盛り付けですね!
「湖里庵」さんは「鮒寿し懐石」を得意とする、唯一無二の名店です。
https://sushi-blog.com/entry/shiga-korian
そして、次は長浜の鮨店、京極寿司さんの握りです。
「漬け」にしているところが江戸前鮨の仕事で、ビワマスとの相性が良いです。
漬けの仕事は丼でも間違いなく合います!
https://sushi-blog.com/entry/shiga-kyogokuzushi
最後に、東近江にある日本料理店「湖香六根」さんの創作的な一品です。
これはビワマスに、ビワマスの子の塩漬け、桃味噌、トマトパウダーを合わせています。
さらに様々な野菜を使用していて、ターサイ、つるむらさき、オクラの花、ダビデの星(オクラ)、太キュウリの昆布〆、茄子。
ビワマスのポテンシャルを感じさせてくれたお料理です。
https://sushi-blog.com/entry/uka-rokkon
琵琶湖の漁師・中村水産さんの魅力
中村水産さんの魅力については、【小鮎】の記事で語り尽くしました。
詳しく知りたい方は、こちらのリンクをご参照ください。
【小鮎】の時にも感じましたが、中村水産さんは鮮度が抜群で、梱包もバッチリです。
そして、漁獲後の手当て(=魚の処置)も良く、神経〆や腹抜き(ワタの処理)も巧く、鮮度が落ちておらず、臭みも皆無です。
この美しい身と眼を見れば分かりますが、中村水産さんは「船上神経〆」を行っています。
「船上神経〆」は、活〆(脳殺)の後に、神経を抜く魚の処置法です。
脊髄を潰すことで死後硬直を遅らせられ、その間に旨味成分が増大します(ATPがイノシン酸に変化する)。
すしログ
どんなに美味しい魚でも、締め方と輸送方法で味が大きく変わってしまいますので。
「手当て」が良い漁師さんとは、末永くお付き合いしたいと思うばかりです。
…完全に料理人目線のコメントですが(笑)
まとめと「ビワマス」の販売サイト
以上、ビワマスファンはもちろん、ビワマスを食べたことが無い方にもビワマスの魅力が伝わったならば幸いです!
本当に美味しい魚なので、繰り返しになりますが、手に入るの自体が幸せなことかと思います(笑)
すしログ
シーズン外に欲しい場合には【急速冷凍フィレ】が便利です。
冷蔵庫でゆっくり解凍すれば、魚へのダメージはありません。
これも前述の「手当て」や冷凍技術のお陰です。
生のビワマスは僕が購入した【0.7~0.8kg】と【0.9~1kg】があり、【急速冷凍フィレ】については幾つかのサイズがあります。
量のイメージとしては、【0.7~0.8kg】半身で2人分のビワマス丼 or タルタル+ミ・キュイです。
個人的には【0.7~0.8kg】は「ちょっと少なかったかな」と感じたので、次回購入する時は【0.9~1kg】を頂きたいと思います。
多ければ多い方がオトクなので、料理好きな方には大きいサイズをオススメします。
食べチョクユーザーにオススメの食材まとめ記事もご覧ください。
琵琶湖が大好きな、すしログ(@sushilog01)でした。
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