こんにちは、鮨ブロガーのすしログ(@sushilog01)です。
2月2日に初回の放送を行ったClubhouse(クラブハウス)。この度、3月4日(水)に第6回目の放送を行いました。ついては、アーカイブとして記事にまとめます。
すしログ
後編は3月10日(水)20:30より放送しますので、よろしくお願いします!
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Clubhouse【今さら聞けない寿司/鮨のあれこれ】について
番組の概要をご説明します(既読の方は飛ばしてください)。
株式会社iDの金沢社長(兼おいしんぐ!編集長)がモデレーターとなり、当ブログの運営者である鮨ブロガーの「すしログ大谷」と鮨談義を行う番組です。【今さら聞けない寿司/鮨のあれこれ】と言うテーマにのっとり、鮨に対する疑問や不安を解消し、鮨ファンを増やすのが目的です。
金沢さんは今や大の鮨好きですが、鮨ビギナーの頃からご一緒させて頂いているので、ビギナーの方の気持ちが分かる方!「鮨店はハードルが高い」、「鮨は美味しいけど、ちょっと怖い」と言った方は必ず「鮨店に行ってみたい!」と思って頂けるかと思います。
もちろん鮨が大好きな方、食べるのが大好きな方も、是非ともよろしくお願いします。
放送では、他には無いマニアックな情報を盛り込みつつ、あくまでもハードルは低く…と考えています。自分が鮨店通いを始める前に聞きたかった事、金沢さんが鮨好きになる過程で感じた事などを面白く話していきたいと思います。願いはブログ設立の目的と同じで、鮨好きを増やしたい!と言う一心です。
構成としては、まずは金沢さんから素朴な疑問を3〜4つほど頂き、僕が面白くマニアックに解説。時おり金沢さんからのツッコミを頂きつつ、マニアックな話題をエンタメに転換。
その後、2〜3名の方のご質問にお答えして、トータル30分+αのイメージです。
今さら聞けない寿司/鮨のあれこれ No.006の内容
No.006の質問項目は下記の4つでした。
- 色違いのシャリを見ますが、何種類あるのでしょうか?
- お店ごとにご飯の硬さや粒の大きさが違うように思うのですが、合ってますか?
- 「シャリ」とは、ご飯だけを指すのでしょうか?それとも酢飯になった状態を指すの??
- シャリの楽しみ方を教えてください!
順に、ご説明していきます。
1. 色違いのシャリを見ますが、何種類あるのでしょうか?
基本的に2種類です!白いもの、赤いものの2種類で、それぞれ米酢か赤酢かの違いです。
米酢は読んで字の通りお米が原料のお酢です。
赤酢は酒粕=お酒を造る時の絞り粕が原料のお酢です。
関西のお寿司や郷土寿司は米酢が主流でしたが、江戸時代にミツカンの創業者が赤酢を生み出したことで、江戸前の握り鮨が大ヒットしました。
そのあたりのエピソードを知りたい方は、下記の小説がオススメです。ミツカンの創業から握り鮨がヒットするまでの時代小説です。文体は軽いので、すぐ読めます。
ちなみに、「赤シャリ」と言っているお店でも、実は米酢をブレンドしている事が多いです。
米酢の方が酸味が立つので、ブレンドして調整されているのです。
大阪の寿し おおはたさんは「ロゼ」と呼ばれています(笑)
2. お店ごとにご飯の硬さや粒の大きさが違うように思うのですが、合ってますか?
間違いありません。
硬さ(つまり炊き加減)や粒の大きさ(使用するお米の品種)は職人さんが考え抜いて使用されています。
なぜなら、間違えると粘度が高くて握りにくいからです。
また、口の中でのほどけ方に大きな影響を及ぼしますので。
パラッとほどけるシャリを目指して、職人さんは考え抜いているのです。
3. 「シャリ」とは、ご飯だけを指すのでしょうか?それとも酢飯になった状態を指すの??
鮨店では酢飯を指しますが、本来はお米を指します。
なので、おにぎりを「銀シャリ」と表現するのは間違っていません。
これは鮨好きでも誤解されている方が多いように感じます。
「シャリ」は漢字で書くと「舎利」。
これはサンスクリット語で「米」を意味する「シャーリ」が語源です。
または、同じく仏教用語の「仏舎利」を語源とする説もあり、その場合、「ブッダの骨」を意味します。
お米の形状が似ているため…と言われますが、これはインドでお米が長粒米だからだと個人的に納得しています。
日本のお米は流石に骨には見えませんよねえ。
いずれにせよ、空海(774年〜835年)が唐に渡った際に既に「舎利」と言う言葉が使われていたそうなので、実は日本のスシよりも歴史が古い単語です。
4.シャリの楽しみ方を教えてください!
マニアックになりますが、鉄板の楽しみ方を伝授します。
味覚と触覚(食感)に分けてご説明します!
まず、味覚の上で着目すべきポイントは、酸味、塩味、甘みです。
お酢の酸味、塩の強さ、砂糖の甘み、お米の甘みに分けて吟味するとシャリの面白さがアップします。
そして、触覚の上で着目すべきポイントは、前のご質問にある硬さ、粒の大きさに加えて、粘度、口当たり、温度が上げられます。
簡単に言うと、パラッとほどけて、お米とタネが一体化して、温度的に違和感が無いか?がポイントです。
すしログ
要素を上げると難しい事を言っているように聞こえますが、部分的にでも意識してみると、楽しさが一気にアップするはずです!
鮨の美味しさの80%ほどはシャリだと思いますので、間違いないです。
以降が、No. 007の内容です。
今さら聞けない寿司/鮨のあれこれ No.007の内容
- 「シャリを切る」って、どういう意味?寿司桶とおひつの役割とは?
- 回らない鮨店と回転寿司のシャリに違いはあるの?
- シャリにも流行りがあるの?
- 握り方に違いがあるように感じたのですが、正解でしょうか?
1.「シャリを切る」って、どういう意味? 寿司桶とおひつの役割とは?
「シャリを切る」とは酢飯を作ることです。
炊きたてのご飯に合わせ酢を掛けて、しゃもじでご飯を切るように混ぜるため、「シャリを切る」と呼ばれます。
ここで言う「寿司桶」は正確に言うと「飯台(はんだい)」ですね。
シャリ切りするための円形の木の器を「飯台」と呼びます。
役割は米粒一つ一つに効果的に合わせ酢を含ませて、適度に放熱させること。
「飯台」が無いと美味しい酢飯を作ることは困難です。
過程で寿司を作る時は、必ず「飯台」を用意しましょう。
そして、おひつの役割は保温するためです。
酢飯は「人肌が最適」と言われて久しいですし、最近では温度を細かくコントロールされる親方も登場しています。
「何度がベストか?」に対する正答は無い時代ですが、いずれにせよおひつも酢飯の管理の上では必須です。
2. 回らない鮨店と回転寿司のシャリに違いはあるの?
極めて異なります!
一言で言うと、一流の鮨店は価格が高いか安いかではなく、「シャリが美味しいかどうか」で見極められます。
「口の中でパラッとほどけるかどうか」「口の中で適切な温度か」が重要です。
回転寿司は子どもからお年寄りまで食べるので、甘みが強く、柔らかめである事が一般的です。
それが歴史的に「スタンダード」だからですね。
かたや、回らない鮨店のシャリは甘みが弱く、硬め、酸味と塩気がしっかりある事が一般的です。
回転寿司と回らない鮨では一度に炊くご飯の量も異なり、管理方法も違うので、シャリの完成度に大きな差が出るのです。
すしログ
もしも「米粒がパラッとほどけて、人肌の温度のシャリ」の美味しい回転寿司をご存知でしたら、教えてください!
3. シャリにも流行りがあるの?
あります。
現在の流行りは明らかに赤酢ですね。
しかも、新橋しみづの清水親方が酸味と塩気を強めた赤酢のシャリをヒットさせてから、同じ方向性のシャリが流行になったように感じます。
清水親方は江戸前鮨源流の流れをくむお店で修行されたので古典的な江戸前のお店ですが、独自のシャリで鮨業界を変えた方だと思います。
同業の職人さんですらインパクトを感じて、赤酢ファンが増えて今に至る気がします。
また、赤酢のお店が増えることで、必然的に輩出する職人数も増えたので、赤酢のお店が自然発生的に右肩上がりなのだと思います。
「米酢のお店についてはどうなんですか?」と言う金沢さんの質問を受けて。
もちろん、米酢のお店は流行とは関係なく多数存在しています。
しかし、「最も有名な米酢のシャリの流派」と言えば、間違いなくすきやばし次郎の系譜でしょう。
すきやばし次郎出身の人気店と言えば、青空(はるたか)さん、みずかみさん、あおさん、水谷さんの系譜の常盤鮨の林ノ内さんは何れも美味しい米酢のシャリを切られています。
「系譜って面白いですね。今度まとめてみてくれませんか?」と言う金沢さんの要望を受けて。
すしログ
4. 握り方に違いがあるように感じたのですが、正解でしょうか?
間違いないです。
主な握り方は3種類あります。
手数が多く昔ながらの「本手返し」に始まり、手数を少なくした「小手返し」や、立て返し(別名・仏壇返し)があります。
これらは簡単に言うと「掌に置いたシャリ玉(酢飯を丸めたもの)をどう扱うか?」と言うスタイルの違いです。
独自のアレンジを加えられている器用な職人さんもいらっしゃいます。
握り方はダンスと同じく、型は同じでも人によって異なるものなので、着目すると面白いです。
握り方に着目すると、きっと鮨をもっと好きになりますよ。
今さら聞けない寿司/鮨のあれこれ No.008の予告
まさかの番組放送中に次回の日程が決まりました!
- 日時:3月19日(金) 20:30〜21:00+質問2〜3個
- テーマ:お鮨初心者大歓迎! はじめてのデートに回らない鮨はOK?(デート向けの鮨店の選び方)
すしログ
シャリの会がマニアックだったので、カジュアルに行きます(笑)
(鮨職人の系譜についてまとめないといけなくなったのは思わぬ宿題だな…)
何はともあれ、次回も是非ともよろしくお願いします!
鮨ブロガーのすしログ(@sushilog01)でした。