すしログ No. 137 紀文寿司@浅草

紀文寿司

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こちらは観光地・浅草にあって、とりわけ強い存在感を示す老舗の鮨店です。

創業は1903年(明治36年)と、ゆうに110年以上が経過しております。

他の老舗と異なるところは、建物。

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外観に歴史が滲み出ており、誰しもが見た途端に「おっ!?」と思うかと察しますが、店内は外観に輪を掛けて渋味を帯びております。

入った瞬間に軽いショックを覚えるはず。

設えの全てに歴史が滲み込んでおり、正に「古色蒼然」と言う言葉がピッタリです。

ここまで雰囲気のある鮨店は、他に人形町・喜寿司東銀座・二葉鮨くらいなのではないでしょうか。

 

そして、紀文寿司と言えば、四代目親方の関谷文吉氏が記された『魚味礼賛』が有名です。

 こちらの書籍は筆者独特の感性で魚の魅力を綴っており、「グルメ番組の評論家はレベルが低い」と一刀両断されているところが痛快です。
魚好きであれば一読の価値のある名著であり怪著だと思います。

 

平日の12時に伺ったところ、僕以外は常連さん。

雰囲気に加えて、常連さんと店員さんの間に交わされる穏やかな会話も味のうち。

最新の再訪記事もございます。

紀文寿司さんのちらし

この度頂いたものは、ちらし。

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オーダーの後に卸し金で本山葵をすりおろされるところは流石。

お茶も濃厚な粉茶を用いており、酢飯に合う。

 

こちらのちらしは酢飯に薬味を多用していないところが特徴かと思います。

海苔を使用しておりますが、香りの良いものを味が邪魔しない程度に使用されております。

ガリは刻んでおらず、甘みが少なくシャープな味わいのガリは箸休めに最適です。

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タネは墨烏賊、鮪赤身、鮪トロ、小鰭、鯖、煮烏賊、玉子。

墨烏賊は食感と甘みがあり、中々良いモノを使用されていると感じましたし、鮪も鉄の爽やかな香りを感じられる。

鯖はしっかりと〆ているものの中心部はしっとり仕上げており、老舗の仕事を感じさせます。

そして、何よりも良かったのが、煮烏賊。

正確に言うと、煮烏賊の煮ツメ。

烏賊自体は結構強めの火入れで甘みに乏しいものの、コクのある濃厚な煮ツメが魅力を格段に高めております。

惜しむらくは穴子が入っていなかった点。

お店に入った時に目の前で捌いておられただけに、残念な気持ちが残りました。

また、他のタネに比して玉子がたっぷり過ぎる程たっぷりだったところも、2,600円と言う価格を考慮すると割高感を感じました。

とは言え、老舗の空気を味わうならば、他のあらゆるお店に先駆けて伺う価値があるかと思います。

今度はふらりと伺って、握りを頂いてみようと思います。

 

店名:紀文寿司(きぶんずし)

予算の目安:3,000円~

最寄駅:浅草駅(東武・都営・メトロ)から210m

TEL:03-3841-0984

住所:東京都台東区浅草1-17-10

営業時間:平日・土曜12:00~14:00、17:00~21:00、日曜12:00~19:30

定休日:水曜

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