すしログ No. 192 心白@白金高輪

※移転前の情報となります

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こちらに初めて伺ったのは、オープンから3ヶ月弱経った2015年2月。

初回で感銘を覚えたため、その数か月後に貸切で楽しませて頂き、特に鮎の調理には特筆すべきものを感じました。

再訪したいと思いつつ、人気が非常に高まったため、暫く訪問出来ずにおりました。

この度、友人が誘ってくれたので、久々の訪問が叶った次第です。

伺った感想としては、端的に、オープンの頃から着実に進化されております。

個性的な素材の仕入れ先と共に、素材の引き出し方が巧くなっておられ、センス(と若さ!)によって更なる高みに上がられていると感じました。

中でも個人的に印象深かったのは、握り。

こちらの握りは熟成種が中心です。

得てして熟成を主軸に捉えると旨味が同質化し、また旨味の強さに舌が疲れかねません。
そして、魚の持ち味である香りと食感が弱くなるので、熟成の塩梅がモノを言います。

更にそれを支えるのは言うまでも無くシャリ。

熟成仕事を強調するお店でシャリが決まっていないと、満足感が高まらないのは常。

そう言った意味で石田さんのシャリは過去に比べて改良されており、熟成仕事を支えるシャリに進化しておりました。

飯尾醸造の14年熟成の赤酢にプレミアム純米酢をブレンドし、やや硬めに仕上げたシャリは、酸味と食感が熟成の強い旨味に輪郭を与えておりました。

(貸切故か)コースは4時間半くらいにもなるため、日本酒が好きな方でなければ真骨頂を味わえないのは確実。

反面、日本酒が好きな方にとっては新発見があり、料理との秀逸な組合せに舌鼓を打つ事になるでしょう。

→その後、5時間ほど掛かると聞いております

頂いた御料理は下記の通りです。

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秘伝豆と小田原産しらす

オープン以来使い続けておられる秘伝豆と旬もののしらすの組合せ。

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石巻産ワタリガニと宇和ゴールドの和えもの

宇和ゴールド(河内晩柑)がどう作用するのか?と頂いてみると、スッキリした酸味と甘みが巧く引き立てていた。

調味の塩気は抑え目。

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牡蠣

牡蠣漁師・阿部晃也さんの牡蠣。

シーズン最後となる嬉しい出会い。

風味豊かで美味しく、紐のシャクシャク感が印象的。

山和・純米吟醸 yamawa for oysterと共に。

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虎河豚の白子

巨大な白子をじっくりと焼き上げ、旨さを封印。

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醤油とバルサミコ酢を割った調味料で軽く照り焼きにしている。

とろろんと官能的な口福。

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伊予賀儀屋の飲み比べ

なんと、タンク違い、酵母違いの飲み比べ!

1つだけEK-7で、他はEK-1との事。

通常はこれら5種をブレンドして火入れした後に出荷する。

頂いた感想としては、タンクによって味が大きく異なる事に驚きつつ、EK-7を当てるのは至難の技だった。

ちなみに、この後の日本酒は、澤屋まつもとKocon、酔右衛門・阿波山田錦純米と超辛口純米の飲み比べ、綿屋特純と蔵付き酵母特純の飲み比べ。

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小田原産マゴチ

6月から8月にかけて旬を迎えるマゴチ。

ぷりぷりした食感と十分な香りがあるが、3日寝かせているとの事。

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青ツブ貝

ツブ貝よりも苦味が少なく、甘みを強く感じさせ、香りもしっかりとある。

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ムギイカ

スルメイカの稚魚。

30分干して軽く脱水して甘みを凝縮されているそう。

良い仕事。

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鰆の白子

福井美浜町産。白子は魚によって香りが異なり、面白い。

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ムギイカの下足

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桜海老の素揚げとおたんこ茄子の揚げ浸し

桜海老は75度で揚げているそうで、しっとり。

そして、強い香りがあり、良きトッピング。

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帆立のウロと紐

一般的には食用不適とされるウロ。

大船渡小石浜産のみオーケーで、この度頂く事に。

帆立の香りを十分感じさせ、苦味やクセは無く美味しい。

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ウマヅラハギ

肝は炊いた後に凍らせている。旨味たっぷり。

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帆立の磯辺焼き

前述の大船渡小石浜産で、甘みたっぷり!

そして、歯応えも抜群で繊維の歯切れが心地良い。

相澤太さんの海苔もやっぱり美味しい。

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虎河豚の身皮

皮はコリコリで身はぷりぷりと食感の二重奏。

皮に軽く振ったポン酢で。

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虎河豚の骨周り

むしゃぶりついて頂く。

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甘みが強く、生なのに非常に柔らか。

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モスソガイ

蝦夷バイガイ。

これもまた甘みがしっかりしており、苦味が少ない。

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ホタルイカ

滑川産を炙りで。じゅわっ、とろんと旨味が弾け、実に香ばしい。

用いられた喜界島の胡麻油も相性が良い。

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函館産の殻付き海胆とキタムラサキウニ(塩水パック)

微塵切りにしたアスパラガス入りの出汁ジュレにセンスが光る。

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五島の九絵と熟成マッシュルームのスープ

こちらのスープは秀逸です。

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イノシシの混ぜご飯

石田さんがイノシシを用い始めたと聞いた時は、

「大丈夫か!?」と思ったが、実際に頂いてみると一連の流れの中で違和感無し。

イノシシ肉は牛蒡と醤油かすで炊き、赤米、黒米、緑米と混ぜ合わせている。

味付けが良く、醤油かすの持つ「醤油と味噌の間」のような独特の味わいを活かしている。

見た目の色合いはワイルドながら、上品に纏められており、穏やかに食欲を刺激してくれる。

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トキシラズの焼きもの

初夏が旬の鮭、トキシラズ。

脂が程良くありながら、主張し過ぎないため、後半戦で良い焼きもの。

ブランド品である物集女(もずめ)の筍、カリフラワーと共に。

筍はシャクシャクで香り良く、甘みも十分。

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北寄貝の水管と紐

この後、遂に握りに移行します。

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墨烏賊

5日熟成。

極めてトロトロだが、墨烏賊特有のパツパツした食感も残している。

この食感の二重奏は非常に独特で、良い仕事。

包丁も奏功し、歯切れをサポートする。

掛けられているのは烏賊墨、肝、昆布を煮詰めたもの。

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春子

4日寝かせた後に皮のみ酢で〆、身は昆布で〆ている。

かなり特徴的な旨味成分のバランス。

皮がとろけた後に、鋭い旨味と甘みが走る。

柚子を噛ませているが相性が良い。

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カンパチ

熟成により甘みを強めているが、カンパチ特有の食感は周辺に残されている。

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甘みが強く、香りもある。

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太刀魚

軽く炙って香りを付加しつつ、太刀魚の香りも干物的に寄り添う。

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北寄貝

瑞々しく、甘みが横溢!

そして香りがふんわりと漂う。

これは秀逸。

3日熟成(貝ならば3日でも熟成と言えるだろう)し、35度で30分間干すと言う仕事も組み合わせているそう。

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九絵

強い旨味をかんずり引き締めている。

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車海老

茹で上げ。

シャクシャクした繊維はほどけ良く、甘みが強い。

独特の食感だったので茹で時間を伺ったところ、理由は茹で時間や方法ではなく、熟成している事にあった。

5日との事。

初訪問の際に頂いた車海老も印象深かったが、この度頂いたものも強く印象に残った。

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帆立と海胆の軍艦

海胆のストレートな旨味と帆立の甘みが絡み、津田大さんの海苔(こんとび)がアクセントになる。

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金目鯛

皮目は炭で直接焼き付け。

金目鯛の旨味を引き出しており、印象深い。

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玉子

姫卵と芝海老。

炙って温めており、香ばしい。

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今後も楽しみに足を運びたいと思います。

店名:鮨 心白(すし しんぱく)

シャリの特徴:飯尾醸造の酢を2種類ブレンド。酸味は強すぎず、それでいて熟成種を引き立てる。

予算の目安:〜15,000円 →15,000円~20,000円 →20,000円〜

最寄駅:恵比寿駅から500m

TEL:03-6721-7880

住所:東京都渋谷区恵比寿2-37-8 グランデュオ広尾1F →東京都渋谷区恵比寿4-22-4

営業時間:18:00~(最終入店 23:00) →18:00〜

定休日:水曜

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